目前に迫る、決戦の時!

「さあさあ、こっちだべっす、おらの嫁で戦友セフレのヒカリよっ。迷いそうになったら、おらのジエンドオブソウロウに掴まってくれてもかまわねっすよー!

 なんつってなっ!

 ぬはっ!ぬはっ!ぬははははっ!」


 誰がそんなもん掴むかっ。

 ぬはぬはウルサイわ、セクハラ発言するわでやかましいぞスズキさんっ!

 あんまり俺に絡むないっ!

 レイルさんの怒りのオーラがズゴゴゴっちゃってるだろっ!


「……なあ、ヒカちくりんっ。キサマとはいつか白黒ハッキリさせようと思っているのだが……っ」


「おえあっ!? シロクロってっっ!?」


「それは今日、今、この瞬間でもいいのではないだろう……かっ」


「えっ!? イヤ、それはちょっとアレじゃないデスカネっ!?」


 妹魔王ルルコちゃんとの決戦に来たハズなのに、このままだと先にレイルさんにられちゃいますよ、男のっっ!


「まあまあ、落ち着きなっせ、フォレタスちゃんっ。本妻ほんさいはフォレタスちゃんに決まってっから、ヒカリは付け合わせみたいなもんだべさっ。

 あっ。今のウマイっぺなっ?

 ぬはっ!ぬはっ!ぬはははははっ!」


 誰が付け合わせじゃいっ。

 そんなもんになってたまるもんですかってなもんですよっっ!

 しょーもないダジャレなんかウマくもなんともないんだからなっ。

 勝手な妄想を暴走させるんじゃないぞ、スズキさんっ!


「レイルもモノ好きよねー。二人が結婚したら、毎日このバカ笑いを聞かなきゃいけないんじゃないの? そんなの地獄じゃない?」


 バカ笑いで地獄って、ズバっと言っちゃいましたよ、ラーフィアちゃん。

 でも、言い過ぎなんかじゃナイですよー!

 もっとビシバシ言っちゃって下さいなっ!


「なななナニを仰いますか、ラーフィア様っ! 地獄なんてとんでもないですっ! 家の中が明るくなってイイじゃないですかっ!」


「ふーん。ねえ、レイル。前から訊きたいと思ってたんだけど、スズキ君のドコがいいのっ?」


 おおっ!こんなところでガールズトーク!

 訊き難いコトをズバリ訊いちゃってますよ、ラーフィアちゃんっ。しかも本人の目の前でっ!

 レイルさんは応えるのかなっ?

 どうなのかなっ?

 と思ってると、なんとっ。


「やっ……優しいトコロ、ですっ」


 ほんのり頬を赤らめつつも答えちゃったよ、レイルさん。

 優しいトコロってマジですか。

 なんてベタな答えなんですかねっ。

 まあ確かに、サンドイッチばら蒔き事件の時のフォローの仕方は良かったかもしれないけどっ。


「さすがは未来の本妻だべっす、フォレタスちゃんっ! おらのコトわかってるなっすー!

 ほれほれ、どうだべさ、ヒカリよっ。おらの嫁になる気になったべさっ?」


 なるワケないだろっ。

 今の話の流れでナニをどう理解したら、スズキさんの嫁になる気になるんじゃいっ。

 ここはもう、ハッキリくっきり言っとかないと!


「あのですねっ。ボクは、スズキさんのお嫁さんになる気はありませんからねっ!」


 それに、なんてったって男同士だし!

 いくら同性婚がアリな世界とは言え、俺にそんな気はさらさら無いのだっ!


「ええー? そんなら仕方ねえっすなー。じゃあ、永遠の戦友セフレってコトでいいっぺなっ!」


 おい、またかっ。

 戦友をセフレって言うんじゃないっっ!

 誤解されちゃうでしょーがっ!


「あのっ、ヒカリ殿は、そのっ、そちらの殿方のセセセっ、セフ……なのでござるかっ?」


 ござりませんっ!

 ほら見たコトかですよ、誤解しちゃってますよ、ムラサメさんっ!

 カワイイお顔が真っ赤っかですよー!


「あのっ、違うからねっ? このヒトは、戦友のコトをセフレって言っちゃってるだけだからねっ?」


「戦友セフレってかー? あたしらの知らないトコで、ヒカリもヤる事ヤってんだなー♪」


 ぬうう、言い方をすり替えるんじゃないぞ、ヤンキー女神っ。

 ますますみんなに誤解されちゃうでしょーがっ。


「セセセ、セフっ……なんて、嫁入り前の男のがそんなふしだらなコトではいけませぬっ!ですわっ、ヒカリ様っ!」


 ああもう、ペリメール様までワケわからんコト言い出しちゃったっ。

 嫁入り前の男のって、男の娘って嫁に行くもんなんですかねっ!

 ここらで歯止めをしとかないと、坂道を転がる石が止まりませんよー!


「あのあのっ! 話がややこしくなるから、この話題はもうヤメにしませんかっっ?」


「それもそうだな……では、後でじっくりたっぷり話し合おうじゃないか、ヒカちくりんっ」


 話すもナニも『レイルさんは本妻で俺はただの戦友』って、答えは出ちゃってるんですけど!

 レイルさんたら、どんだけスズキさんのコトが好きなんデスカネっ。


           ◇


「さあさあ、着いたべさっ。ここが魔王様のお部屋だべっすっ」


「えっっ!?」


 ワチャワチャくっちゃべりながら歩いてる内に着いちゃいましたよ、最上階!

 あっと言う間に最上階ですよ、妹魔王が鎮座まします魔王の間ですよー!


 マンガとかゲームだったら、なんかこう、双頭の邪竜とか、三ツ頭の凶獣とか、フロアボス的なナニかと戦ってからラスボスバトル!みたいなカンジになると思うんだけどっ。


 話しながら歩いてると、時間ってあっと言うまに過ぎるよね。


 なんて思ってる場合ではナイですよっっ!


 こここココロのゾンビが、いや、準備が、いや、やっぱゾンビがっっ!

 ココロのゾンビが、カクカクしながらゾンビダンスを踊っちゃってますよー!


 やっべ!やっべーですよー!

 大した作戦も無く、女神様達と来てみたは良いもののっ!

 実質、戦力になりそうなのは『くのいち勇者』のムラサメさんのみですよっ!

 て言うか、前みたいにお着替えガチャを封じられたら、俺はただの男のっ!

 なんにも出来ないまま、サクッと首を狩られちゃいますよっっ!


 ぬおおおおおおっ!

 俺の心臓ばっくばくですようごおおおっ!

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