一触即発!? ラーフィアとヒミコ!

 俺と話してる間中、視線を逸らさずに、ずーっとニコニコ笑顔ですよ、ムラサメさん。

 うむむ、なんか照れちゃいますよー。


 いや、それにしても、ホントに別人みたいにカワイクなっちゃってますよ。

 うごおおって泣いてたムラサメさんとは思えない発育っぷりじゃないデスカっ!


 クロジョのクラスメートだった頃は、ちっこくて座敷わらしっぽかったのに、まあ、リッパに成長したもんですよ、ムラサメさんっ!

 オパイなんてぺったんこだったのに、たゆんたゆんしちゃってますよっ!


 俺よりアタマひとつ背が高くなって、身体の線は細いのに、出てるとこは出てて、引っ込むとこは引っ込んでるっていうナイスボディー!

 スリットのすき間からチラリズムする白いフトモモがなんともエロス!


 ちょっとえっちでカッコいい『くのいち』のゲームキャラクターがモニターから飛び出した!

 って、まあ、そんなカンジですよ! 



「くのいち勇者、ムラサメヒミコが!

 妄想勇者コウダヒカリ殿とタッグを組んで、全力で魔王と闘いますでござる!

 そして勝利のあかつきには!

 拙者はヒカリ殿と結婚するのでござるっ!」


 また言い切っちゃった!


 結婚なんて全然遠い未来のコトか、もしくは出来ないんじゃないかってくらいに思ってたのにっ!

 新妻が『くのいち』って、どんな新婚生活なのかしらっ?

 やっぱ、朝食はごはんとお味噌汁だよねー。御昼は愛妻弁当で、夕食は軽く済ませて、後はまったりしながら自然に肩と肩が触れあって、そんでもって絡み合っちゃう指と指っ。

 みたいなー!

 ってイヤ違うっ!


 甘い結婚生活に妄想抱いてる場合じゃないぞ、男のっ!

 って言うか、俺にはラーフィアちゃんていうカノジョがいるんですけどっ!


 はっ!

 これが『モテ期』ってヤツなのかっ!?

 『カノジョいるヤツモテる説』ってホントだったってコトなのかっ!?

 

 ラーフィアちゃんは静かに黙って二人の会話を聞いてますがっ。

 ツヤサラ銀髪がユラユラゆらりと揺れちゃって、なんかこう、嵐の前の静けさ的なオーラがズゴゴゴっちゃってますよー!

 

「ヒカリチャン? ソノカワイイヒトヲ、クワシクショウカイシテイタダケマセン、カッ? 

 アト、ケッコンッテドウイウコト、DEATH、カッ?」


「おえあっ!?」


 なんで片言カタコトなのかな、ラーフィアちゃんっ?

『です』が『DEATH』に聞こえるのは気のせいなんかじゃないデスよー!

 俺にはケッコンってなんのコトだかワカリマセンよー!

 

「あのっ? えっ?とデスネっ。

 コチラは、ボクがクロジョにいた時にクラスメートだった『ムラサメヒミコ』さんデスっ。

 ムラサメさん、こちらは……」


 ラーフィアちゃんを紹介しようとすると、つついっとラーフィアちゃんの前に歩み寄りましたよ、ムラサメさん。

 二人向かい合わせで立つと同じくらいの身長で、なんかこう、見えないヒバナがバチバチっちゃってますよっ。

 

「拙者は知りおいているでござるよ。魔王育成コースを飛び級で卒業した『ラーフィア=リンデル』殿でござろう?」


 ご存知でしたか、そーですか。

 まあ、同じ学校だったし、ラーフィアちゃんは目立ってたから知ってても不思議じゃないかな?


「えっ。私のコト知ってるのっ?」


「モチロンでござるっ。

 たぐまれなる好成績で魔王育成コースを卒業して、あっという間に魔王になって、あっという間に魔王失格になっちゃったラーフィア=リンデル殿でござろうっ?」


 あれあれっ? ちょっとだけコトバにトゲがあるんじゃないですかね、ムラサメさん?


 ラーフィアちゃんは少し表情を強ばらせただけで、平常心っぽいですがっ。

 なんかこう、さざ波が立ち始めちゃった、みたいなっ?


「しかしてそののち、女神にジョブチェンジされた事は、クロジョでも大きな話題になったでござるよっ」


「えっ……そうなんだー。ふーん」

 

 さざ波は荒波にならずに済んだかなっ?

 とりあえず、なんか、ほっ。


「ヒカリ殿もラーフィア殿も、クロジョにいた頃よりも随分とおキレイになられましたでござるが……」


 おやおやっ?

 じーっと、ラーフィアちゃんの胸の辺りを見てますよ、ムラサメさん。

 え。まさかっ?

 地雷踏んじゃうつもりじゃ無いよねっ?


「まあ、発育の速度はヒトそれぞれでござるよ、ラーフィア殿っ! 拙者も1年前はAカップだったでござるよっ。ニンっ!」


「アハハー……そう、DEATHっ、かッ……」


 ニンっ!て、なんかごまかしちゃってますけど、ムラサメさんっ。

 ラーフィアちゃんのご機嫌がナナメっちゃってますよっ!

『です』が『DEATH』に聞こえるのは気のせいなんかじゃ無いデスよー!

 


 俺達が久々の再会を喜び、お互いの自己紹介をしてたその時ですよ。


「あー、いたいた。オマエら、まーだ騒いでんのかー?」


「えっ。フィルフィーっ?」


「帰りが遅いもんだから、ペリ子が見てこいっつってうるさくってなー。

 あれ? シフォンがいねーじゃん。

 んあ? コスプレニンジャがいるじゃん。

 オマエら、ナニやってんだー?」


 ずかずかとでっかい声で現れましたよ、ヤンキー女神っ。

 まあ、パッと見ただけじゃ状況はわかんないだろうけどっ。

 いったいナニから説明すればいいのやらっ。


 いぶかしげなフィルフィーに、すかさずラーフィアちゃんが説明してくれましたですよ。


「シフォンはカクカクシカジカで、ついさっき、大魔王サマに更正施設送りにされちゃったのよっ」


「あん? 更正コーセー施設? なんだそりゃ。また魔王が更正施設送りってか? 笑えるよなー!」


 笑えるかっ!

 急ごしらえのユニットだったとは言え、一緒のアイドルステージに立った仲間が急にいなくなっちゃったんだからなっ。

 心配になっちゃうのがフツーだろっ。


「とにかく、キンキュー事態なんだよ、フィルフィーっ」


「あん? それなら、ここでグダグダしててもしゃーねえなっ。みんなウチに来いっ。そこのコスプレニンジャもなっ」


「拙者、くのいち勇者ヒミコと申す者でござるっ。以後、お見知りおきをっ! ちなみにこの装束はコスプレでは無いでござるよ、女神フィルフィーマート殿っ」


「くのいち勇者? へー。まあ、おサルでもござるでもなんでもいーから、みんな行くぞっ。早く帰んないとペリ子がうるせーからなっ」


 フィルフィーは結婚してからペリメール様にあんまり逆らわなくなっちゃって。

 ちょっとはカドが取れて丸くなったと言うよりは、ペリメール様のお尻に敷かれちゃってるカンジですよ、ヤンキー女神!



 俺達はそそくさと後片付けを済ませて、みんなでアパートに直行ですよ。


 降って湧いたようなコトばかりが身の周りで起きるけどっ!

 これからどうなるんだ男のっ!


           ◇


 いきなり現れた大魔王サマと妹魔王ルルコちゃんのオカゲで、ファミレスでの打ち上げが台無しになっちゃったな……


 ダイジョブかな、シフォンちゃん。

 この騒動が無事に終わったら、お見舞いに行ってみようかな。


 とは思ってみるものの。


 無事に終わるような気がしないんですけどうおおおおおおっ!

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