くのいち勇者ヒミコ、見参! で、ござる!
「お着替えさせなきゃ、ただのカワイイ男の
おバカさんって。
いや、まあ、その、シフォンちゃんがちょっとおバカさんなのは、認めてもイイような気がしないでもないですがっ。
ルルコちゃんは細い腕なのに、俺ったら力負けしてるんですけどっっ!?
なんでっ!?
と、視線を移すとなんとっ!
いつの間にか、ルルコちゃんのお尻からにょろーりと
「わあ。リアちゃんと同じスキルだぁ。スゴーイ♡」
だよねー。
ってイヤ違うよ、フェイリアちゃんっ!
感心してる場合じゃナイですようごおおおっ!
「じゃ、サヨナラ、お兄ちゃん♡ そのカワイイ首もらっちゃうねっ♡」
マジか、マジですかっ!
俺ったら命の危機で大ピンチじゃないデスカっっ!
ひゅひゅひゅんっ!と、でっかい
ひゅわあっ!っと唸りをあげて振り下ろされる
店内に響くラーフィアちゃん達の悲鳴!
あっ、死んだ。
俺、死んだっ。
と、思った瞬間!その刹那!
ガギィンっ!
激しい金属音と同時に目の前に飛び散る火花!
あっつ!あっついですよー!
なんかよくわかんないけど命拾い!
たっ、助かったっっ!
ギャリギャリギャリィッ!と、激しい金属音を立ててルルコちゃんの
紫色の
その手には直刀!
って、これはっ!
くのいちってヤツですよ!
長い黒髪をポニーテールにして、フェイスマスクなんてカッコ良すぎる!
フトモモ部分に大胆なスリットが入ってて白い素肌がちらちらとチラリズムしちゃってる、くのいち装束の女の子ですよー!
あなたはいったい誰デスカっ!?
て言うか、ドコからわいて出たんだっ!?
ギャリィンッ!
と、金属音を響かせて間合いを取るルルコちゃんとくのいち装束の女の子ですよ!
互いに睨み合う、白ワンピの女の子vsくのいち!
こんな場面なんて、ゲームとかアニメの戦闘シーンでしか見たコト無いっ!
めちゃめちゃカッコいいですようおおー!
突然現れたくのいちに、ルルコちゃんもビックリしちゃってますよ!
「今、ドコから現れたのかわかんなかったなあ。でも、くのいちなんてカッコいいっ♪
あっ。もしかして勇者側のヒトですかあっ?」
ルルコちゃんたらカワイイおめめをキラキラさせて、くのいちさんに興味津々ですよ!
「いかにも!
拙者の名は、くのいち勇者ヒミコ!
妄想勇者ヒカリ殿の助太刀に馳せ参じた者にござる!
以後、お見知りおきをっ!」
くのいち勇者!
うおお、カッコいい!
俺の『妄想勇者』とは大違いでござるっ!
って、この声、なんか聞き覚えがあるような?
ヒミコ、って言ったよな?
「うーん。ジャマが入っちゃったなあ。どーしよっかなあ。お兄ちゃんひとりの首くらいならサクッと狩れるんだけどなあ」
サクッと狩るってマジですか。
出会って数秒でバトルにもならずに、首を狩られるトコロだったんですか男の
めちゃめちゃ無慈悲ですよ、ルルコちゃんっ!
「くのいちさん強そうだしなあ。うーん。いったん引こうかなっ。じゃあねっ、お兄ちゃんとくのいちさんっ。ばいばいっ♪」
ルルコちゃんは後ろ走りで、すてててっと、モニターに向かって退却ですよ。
なんて器用な娘なんですかねっ。
でも、とりあえず、ほっ。
「むっ! 逃がさんでござるっ!」
しゅしゅしゅん!っと小型の十字手裏剣を投げつけるくのいちさん!
「うわ、カッコいいっ! でも残念っ♪」
キキキンッ!と弾き落とされる十字手裏剣!
その内のひとつが俺の頭をかすめてったっ!
あぶなっっ!
「じゃあね、お兄ちゃん♪ 決戦は三日後に魔王城!でいいよねっ♪」
ルルコちゃんは、にゅるるんっとモニターの中に入ってっちゃいましたよっ。
「『それじゃあ、待ってるねー♪ もし来なかったら、ルルコがお兄ちゃんのトコロに行くからねっ♪』」
ぷつっと、消えるモニターの真っ黒な画面に反射して映ってるのは、あっけに取られてる俺達ですよ。
店内に台風が吹き荒れてったっていうか、突風が吹いたっていうか、まあ、そんなカンジです!
何事も無かったみたいに静まる店内で最初に口を開いたのは、くのいちさん。
「お久しぶりでござる、コウダさんっ!」
「えっ!?」
くのいち勇者さんからの思わぬ言葉でござる!
え。俺のコト知ってる?
なんで? 初対面じゃないのかなっ?
フェイスマスクしてるから顔は見えないんだけど、声には聞き覚えがあるような気がしますがっ。
あなたは、いったいどちら様デスカっ!?
スラリとスレンダーで、ちょっとえっちなくのいちに知り合いなんてイマセンよ?
「『ヒカリチャン? このステキなお
「おえあっ!?」
またまた出ましたよ、ラーフィアちゃんのイケボですよー!
ラーフィアちゃんたら、ちょっと妬いちゃってるみたいですけどもっ!
ホントに誰だかわかんないんですけどっ!?
キョドる俺に、すっ、とフェイスマスクをずらして見せてくれた素顔は、なんとっ!
「え……ムラサメ、さん?」
そうだ、そうです、そうですよ!
ムラサメヒミコさんですよ!
クロジョで一番最初に仲良くなった、涙もろくってちっこカワイイ座敷わらしのムラサメさん!
ところがどっこい、別人みたいに成長してるじゃないデスカっっ!!
「覚えててくれたでござるね、コウダさんっ!
会いたかったでござるようっ!」
がばっ!と抱きつくムラサメさん!
着やせしててわかんなかったけど、オパイでかっ! Fカップっぷは余裕でありそうデスヨっ!
たゆゆんなオパイに埋もれるでござるよ、俺の顔っ!
クロジョにいた頃のムラサメさんは俺と同じくらいちみっこかったのに、たった1年ちょいでとってもゴリッパに成長されたようですよー!
って言うか、こんな『ござるキャラ』じゃ無かったよなっ?
「むっ、ムラサメさんっ、苦しいデスっ!」
「あっ。これは申し訳ないでござるっ」
オパイの圧着から解放されて、ぷはーとひと息つく俺ですよ。
「ムラサメさん、って、あのムラサメさんだよねっ?」
「そうでござるよ、コウダさん! あの『ムラサメヒミコ』でござる! ニンッ!」
右手の人差し指と中指を立てて、胸の前でピッとかざす『ニン!ポーズ』!
マンガとかアニメとかゲームでよく見るアレですよ! 忍び装束でそのポーズはテッパン中のテッパン!カッコいい!
妄想勇者の決めポーズなんて想い浮かばないけど、俺もそういうのが欲しいですよ!
「あのあのっ!
なんでここにムラサメさんがっ?」
他にも聞きたいコトがイロイロあるけど、思考が追いつかねーですよっ。
「実は、ずっと天井裏に潜んでいたのでござるよっ」
天井裏ってマジですか。
それでさっき、どこから現れたのかわからなかったのかっ。
ニンジャらしいと言えばらしいけど、ちょいストーカーっぽくないデスカネっ!?
「コウダさんの大活躍は勇者通信で知ったのでござるっ。
猛り狂うヤンキー女神様を手なずけちゃったり、魔王を女神に更正させたり、つい最近だと、チビッコ魔王をズタボロにやっつけて、挙げ句の果てにはシモベにしてアイドルデビューしちゃったり!
まさに勇者街道まっしぐらでござるよ、コウダさんっ!」
えー!?
なんか、話に尾ひれとか胸びれとか背びれが付きまくってませんかねっ!?
鯉が龍に成るとか、トカゲがドラゴンに成るとか、まあとにかくそんなカンジで、話が盛られたり曲げられたりしちゃってますよ、勇者通信!
「ちなみにコウダさんがここでバイトしてるのも、勇者通信に載ってるでござるよっ」
マジですかっ。
情報ダダ漏れだな、勇者通信!
他の魔王が俺の
バイト先なんて本人の許可なく掲載したらダメですよー!
「久しぶりに会えて、拙者の想いは本物だったと確信したでござるよ、コウダさんっ!」
「えっ? 想い、って?」
ほんのり頬を赤らめてモジモジしちゃうムラサメさんですよ。
その辺はクロジョで一緒だった時の面影が残ってて、めっちゃカワイイじゃないですかっ。
「ザコレベルB班で共に学んでいた頃からずっと思っていたコトを、今! 言わせていただきますでござる!
拙者、ムラサメヒミコは!
コウダヒカリ殿のお嫁さんになりますでござるっ!」
「えっ!? オヨメサンっ?」
言い切っちゃった!?
そこって、普通なら『お嫁さんにして下さい』って言うところじゃないのかな?
って、イヤ違うっ!
俺は男の
ムラサメさんは俺がオトコだって知らないハズだよなっ?
「ケッコンってっ!? なんでっ!?」
「強いオトコの
コダネっ!? って、コトは、アレがナニしてそうなっちゃうってコトデスヨネっ!?
「あああのっ、ムラサメさんはボクがオトコだって、いつ知ったのっ?」
「クロジョでプールの授業があったでござろう? あの時から気づいていたのでござるよっ。
クロジョっていろんな人がいるから、別に変だとは思わなかったでござるよっ」
イヤ、ちょっと待って下さいよっ。
女子高に男の
「あと、勇者通信に『男の
男の
情報ダダ漏れすぎだろ、勇者通信!
そんなの本人の許可なく掲載しちゃダメですよー!
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