閑話 三人の新米女神はオバケ屋敷で迷走中  《フェイリア視点》

 やー、まいったまいったなのですぅ。


 ラーフィア様と一緒に落とし穴に落とされちゃってぇ、いったいドコに飛ばされるのかなぁ、って思ってたらぁ。


「ラーフィア様ぁ。ここってオバケ屋敷ですよねぇ。

 なんだか懐かしいですねぇー♪」


「もう何度も来てるから飽きちゃったわよっ。こんな所さっさと出て、ヒカリちゃんのサポートに行かないとっ!

 私のヒカリちゃんがズタボロにっっ!」


 ラーフィア様ったら、ご機嫌ナナメだなぁ。

 ヒカリ様とはぐれちゃったからかなぁ?

 でも、焦りは禁物ですよぉ。


「ラーフィア様ってぇ、最初にここに来た時はすごーく怖がってましたよねぇ? あの時はスゴーく可愛かったですよぉ? ウフフぅ♪」


「そっ、そんな昔の話はいいのよっ。さあ、行くわよ!フェイリアっ!」


「そうですねぇ。ラーフィア様がいない間にヒカリ様がズタボロにやられちゃったら困りますもんねえ」


「そうならないようにするのが、私達の役目なのっ。

 えっと、確かこっちだったわよねっ。

 ……あれっ? ルートが変更されてる?」


「んー? アップデートされてるみたいですねぇ♪ ちょっと楽しみですねぇ♪」


 ラーフィア様とオバケ屋敷デート♡

 これは思わぬ拾い物っ♪

 どさくさまぎれに、いろんなトコロをオサワリしちゃいましょー♡

 オバケ屋敷で密着なんてド定番のお約束ですものねぇ♪

 試しにおっぱいをくっつけてみようかなぁ。


 ぴとっ♡


「ちょっ。ちょっとフェイリアっ!

 そんなにくっつかないでよっ。私の肘がおっぱいに埋もれてるんですけどっ!」


「アハー♪ わざとでぇす♪ ラーフィア様のちっぱいにおすそ分けでぇす♪」


「ちっぱいって言わないでよっ。おっぱいくっつけるだけでお裾分けなんて、そんなの可能ならとっくにやってるわよっ」


 イヤがる割りには、振りほどこうとしないのがラーフィア様の優しいトコロなのですぅ。

 ラーフィア様と二人きりって久々だし、楽しいナー♪


「ムフー♪ ラーフィア様ってぇ、イイ匂いですよねえ♡」


「うわ!? ちょっ! フェイリアっ! やめなさいっ!」


 どさくさ紛れで首筋の匂いをクンクンすると、ラーフィア様の甘い香りがっ♡

 このくらいでピクピクするなんてウブだなぁ♡ ラーフィア様って、やっぱりカワイイっ♪

 

 お客様はまだ入ってナイから貸切状態♪

 このまま押し倒しちゃいたいくらいですぅ♡


「もうっ! ふざけてないで先を急ぐわよフェイリアっ!」


「あんっ。ラーフィア様のいけずぅ」


 リアちゃんたらフラれちゃいましたぁ。

 でもでも、諦めませんよぉ!

 チャンスがあれば、ラーフィア様のカワイイクチビルを奪っちゃおっかなぁ♪ みたいなぁ♪ アハー♪


 まっすぐ歩いて、矢印通りに曲がって曲がって。さらにまっすぐ。


「あれっ? ここって、また同じ場所じゃないのっ?」


 言われてみれば、ループしちゃってるカンジがするようなぁ?

 ルートに沿って進むだけなんだけどなぁ……


「んんー? あれぇ? 向こうに鬼火が見えますねぇ。さっきは、あんなのありませんでしたよねぇ?」


「おっ、鬼火っ? なかなか凝った演出じゃないのよっっ」


「あれぇ? ラーフィア様ったら、コワイんですかぁ?」


「ちっがうわよっ。ちょっとビックリしただけよっ。ちっとも怖くなんてないんだからねっっ」


 アハー♪ 強がるラーフィア様ってカワイイっ♪

 慎重に鬼火に近づいてみると……なんだか、幻術っぽい仕掛けがあるようなぁ……?


「おおー。鬼火がヒトのカタチに変化していきますよぉ。スゴくよく出来てますねぇ」


「感心してる場合じゃ無いでしょーがっ。アレが襲ってきたらぶっ飛ばすわよっ」


 アレって、元はヒトだよねぇ。さすがに襲ってはこないんじゃないかナー?

 それはみるみる内に変化してぇ。


 ぼぼんっ!


 おおー。鬼火が妖怪に変身しちゃったぁ。なかなか凝ったエフェクトだナー。


「『出たな妖怪、洗濯板!』」


「誰が洗濯板よっ! 妖怪ナーマハーゲっ!」


 おおー。妖怪が喋ったぁ。

 くぐもった声だけど、エフェクトがかかってるだけだよねぇ?

 洗濯板って……ラーフィア様のコトだよねぇ。

 向こうからもリアちゃん達のコトが別の何かに見えてるのかナ?

 でも、この声ってぇ……


「ヒトが気にしてるコトを、よくもっっ!

 はっ倒すわよっ! 妖怪ナーマハーゲっ!」


 ラーフィア様ったら戦闘モードっ♪

 ナーマハーゲって妖怪図鑑に載ってたナー。

 確かにそう見えるけど、あれって……

 レイルちゃんだよねえ?

 大鉈持ってるから、ナーマハーゲなんて妖怪に見えちゃってるのかナ?


「『洗濯板の隣にいるのは、妖怪垂れ乳ばあばっ!

 この大鉈の錆びになりたくなければ、おとなしく去るがいいっ!』」


「あっ。レイルちゃんたら、ひどぉーい。リアちゃんのコト、垂れ乳ばあばって言ったぁ」


「えっ!? レイルってっ? あの妖怪ナーマハーゲってレイルなのっ?」


「『その声はっ! まさかっ!?』」


 アハー♪

 ナーマハーゲがキョドってるぅ♪ 面白ーい♪


 ぼぼんっ!


 あっ。エフェクトが解けたら、やっぱりレイルちゃんでしたぁ♪


「レイルっ? なんであなたまでここにいるのっ? ヒカリちゃんはどうしたのっ?」


「えっ? ラーフィア様っ?

 ご無事でしたか、ラーフィア様っ。ついでにフェイリアっ。

 申し訳ありませんっ。ヒカちくりんとは、はぐれてしまいましたっ」


「ヒカちくりんっ? ヒカリちゃんにヘンなあだ名つけないでよね、もうっ!

 女神が三人とも勇者とはぐれちゃうなんて大失態じゃないのっ。ああ、もうっ。とにかく、早くここから出るわよっっ!」


 ナーマハーゲの正体は、やっぱりレイルちゃん♪

 レイルちゃんから見たラーフィア様は洗濯板に見えてたのかー。面白ーい♪


 三人揃ってオバケ屋敷デートなんてっ♪

 楽しくなってきましたよぉ♪


「ところでレイルっ。

 洗濯板ってどういうコトなのかしらっ?

 レイルったら私のコトそんな風に思ってたのねっっ! そうじゃなきゃ、洗濯板になんて見えないハズよっ!」


「それは、そのっ。エフェクト越しにはそう見えたんですっ。

 でも、ラーフィア様こそっ!

 ナーマハーゲだなんて、私のコトを変な妖怪みたいに思ってたんじゃないですかっっ?」


「ちっがうわよっ。私だってエフェクト越しにそう見えただけよっ」


 リアちゃんは『垂れ乳ばあば』なんて言われちゃったんですけどー。ぷう。

 でも、ここで言い争ってもしょーがないから言いませんよぉ♪


「二人ともぉ、ケンカはダメですよう♪

 早くヒカリ様のトコロに行かないとぉ」


「そっ、それもそうねっ」


「はっ。私とした事が取り乱してしまいましたっ。申し訳ありません、ラーフィア様っ」


 うんうん。

 仲良くしましょーねぇ♪ でも、時々こうやって言い合うのもアリだよねぇ♪

 だって、楽しいもん♪



「出口って、確かあっちだったわよねっ」


「違いますよラーフィア様っ。そっちは入り口ですっ」


「リアちゃんはこっちだと思いますよぉ?」


 三人もいるのに、まとまらなーい♪

 でも、わちゃわちゃしてて楽しいナー♪

 アハー♪


 でもでもぉ。

 こんなコトしてる間に、ヒカリ様がズタボロになっちゃってませんようにっ♪

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る