奪われた女神声《ゴッデスボイス》!
アイドルユニットを組まないかとスカウトしておきながら、俺のコトはほったらかしですよ、魔王シフォン。
それはまあイイとしてっ!
たび重なる暴言と挑発でみんなの怒りを買っちゃってますよ!
「大好きなお姉ちゃんのっ、大切で素敵な記念日を汚すなんて許せない……っ!
しかもっ!私のっ!
私達の初仕事なのにっ!」
「らっ!ラーフィアちゃんっ!?」
うおお、見えるっ!
ラーフィアちゃんの白銀の闘気がズゴゴゴっちゃってますよー!
これはっ!
スーパーラーフィア!って、まあ、そんなカンジです!
「だっ、ダメだよラーフィアちゃんっ!
落ち着いてっ!せっかく頑張って女神になったのに、資格が失くなっちゃうよっ!」
「止めないでヒカリちゃんっ!
私の怒りはMAXなのっ!
私だけならともかく、フェイリアとレイルまで侮辱するなんてガマンできない!
暴れさせてよ、ヒカリちゃんっ!」
ぬぬぬ、これはマズイですよっ。
だがしかしっ。
俺は怒れるラーフィアちゃんを鎮める方法を知っているのだっ!
それはっ!
「だったら、もうラーフィアちゃんとはチューしませんっ!それでもいいのっ!?」
これです!
成功確率は極めて低いかもしれないけれどっ!
「えっっ!? チューしてくれないのっっ?
……しっ、仕方ないなあっ」
なななんと、大成功!
怒れる白銀のオーラがどっか行っちゃいましたよっ。
俺の『もうチューしませんっ!』は、ラーフィアちゃんを抑制する効果バツグンみたいですがっ!
なんかね、思考回路がフィルフィーと同レベルですよラーフィアちゃんっ!
「コント劇団の皆様ぁ、茶番劇は終わったかしらあ?」
なぬっ!
コント劇団ですとっ!?
なかなかウマイ事言うな魔王シフォンっ。
「とりあえず全員ブチのめしてから、フィルフィーマートの声を頂くとしようかしらねえ?
それがイヤなら、黙って私に口づけされなさぁいフィルフィーマートっ!」
「そんな事はさせませんっ!ですわっ!
魔王だって女神には手出しできないハズなのですわっ!」
ずずいっと前に出ましたよペリメール様っ。
こんな事は珍しいっ。フィルフィーの事となると積極的に『前へ前へ』ですよっ。
「あらあら、誰かと思えば。
あなたは恋愛の女神ペリメール=アコルディオーネ!
すこぶる美声と謳われる女神のひとりっ!
ついでにあなたの声も頂いちゃおうかしらあっ!」
言うが早いか、びゅん!と、ペリメール様に突進する魔王シフォン!
速いっ! 目で追えないくらいの尋常じゃない速さですよっ!
「このスキル『爆速』から逃れられる術なんて無いのよっ!いただきぃっ!」
ペリメール様の頭を小さな手で、がしっ!と掴む魔王シフォン!
ヤバいっ!
チューされちゃうっ!
ペリメール様の声が奪われちゃうっ!?
「させるかあっ!」
一瞬すぎて誰も反応できないと思いきや!
フィルフィーが咄嗟に二人の間に割り込んで、魔王シフォンのキスを阻止したっ!
だがしかしっ!
「ふふっ、作戦成功っ♪ ちょろーい♪」
二人の間に割り込んだフィルフィーの首に、するりと腕を回す魔王シフォン!
そのままの勢いでっ!
ぶちゅ。っと!
フィルフィーにキスしましたよー!
何が起こったのかわからないくらいに全てが一瞬すぎですよ!
「っぷはあっ!ごちそうさまっ♡」
「にゃにゃにゃっ!にゃにをしてるでごじゃりましゅるかあっ!」
ばちーん!
「ぷあっ!?」
フィルフィーから唇を放した瞬間、ペリメールスマッシュで吹っ飛ばされちゃいましたよ、魔王シフォン!
ヒラヒラフレアスカートがめくれて、おパンツ丸見えですよー!
「ふんっ!痛くも痒くもないビンタねっ!」
強がって何事も無かったように、しゅっと復活しましたがっ。
お口の周りにペリメール様の手形がくっきりはっきり残ってますよ魔王シフォン!
「あ、あー、んっ、んー!テステス。
ら~ら~らららあ~♪♪
うん。素晴らしく良い声音だわっ。さすがポプラールマートの娘ね、フィルフィーマートっ。
ポプラールマートと同じで、あなたのクチビルもとっても柔らかくってキモチ良かったわよっ♪」
あれっ!?
どことなくフィルフィーの声っぽい!?
ペロリと舌なめずりして、とっても満足そうですよ魔王シフォン!
「あとひとつ!あとひとつ美声を奪えばっ!
私はアイドルになれるっ!」
なんじゃいそれっ。
確かに見た目とかカワイイけど、そんなんでアイドルになれるほど甘くないと思うぞっ!
「ぶっちゃけ、このスキル『奪声』は1週間に1回しか使えないの。
というコトで次はあなたよ、女神ペリメール!新婚だって言うのなら、二人仲良く声を奪ってあげるわよおっ!」
ビシ!っとペリメール様を指差す魔王シフォン!
ぐぬぬ、なんてワルい魔王なんだっ!
「歌って踊れる魔王アイドル♡シフォン=ベイキング!
あなたのハートを、ぐちゃっとわしづかみしちゃうぞっ!
キュートでラブリーな私がっ!
世界を制してあげるわよおっ!
全ての
そこの勇者っ。どうかしら、このキャッチフレーズはっ!」
ビシ!っと俺を指差す魔王シフォン!
キャッチフレーズって、そんなの知らんがなっ。
ハートをぐちゃっとわしづかみされたら死んじゃうだろっ。
感想なんか言ってる場合じゃ無いですよっ!
「ヒドイっ!ヒドイよ、魔王シフォンっ!
今日は二人の大切な日だったのにっ!
これから楽しい新婚旅行に行く予定だったのにっ!」
「ああーん?
そんなの私にはカンケー無いし、知ったこっちゃ無いわね。それより、さっきの話の返事を聞かせて頂けるかしらぁ?
私とアイドルユニットを組めば、世界制覇だって夢じゃないわよっ!」
ぐぬぬ、どこまでもワガママで自己中心的な娘ですよ、魔王シフォンっ!
このくらい自己チューじゃないと、魔王には向かないって事ですかねっ。
だったら、やっぱり。
ラーフィアちゃんは魔王向きじゃ無かったってコトですよっ!
今さらだけど、よくわかるっ。
ラーフィアちゃんは、思いやりがあって優しくて、みんなに心配りが出来る、とってもイイ娘だってコトがっ!
俺はっ!
決意を込めて、ビシ!っと指差しちゃりましたよ!
「魔王シフォンっ!
アイドルユニットなんてお断りデスっ!
ボクはっ!勇者としてあなたを倒しますっ!」
「はーん?
面白いのはぐるぐるメガネだけじゃないのねえ?ますます気に入ったわっ」
と、その時ですよ。
ぴんぽろぱらりん♪ と魔王シフォンから時計のアラーム音が。
「あら、時間だわ。私はこれからダンスレッスンがあるのよっ。あなた達のつまんないコントなんかに付き合ってるヒマは無いのっ」
なにおうっ。
勝手にやって来て和やかムードをブチ壊し、新婚女神フィルフィーの声を奪っておきながらっ!
ダンスレッスンがあるからオサラバですとっ!?
傍若無人の振る舞いとは、まさにこのコト!
普段のフィルフィーのワガママがカワイク思えちゃいますよっ。
ここはっ!
お着替えガチャで変身して闘っちゃってもよい場面なのではっ!?
ところがですよ!
「せーのっ。はっ!」
魔王シフォンが掛け声とともに腕をひと振り。そして、ばささあっ!と現れたのは、なななんとっ!
漆黒の翼っ!
ラーフィアちゃんも持ってたスキル『漆黒の翼』ですよっ!
その数、なんと八枚!
翼の枚数だけだと、魔王だった頃のラーフィアちゃんを上回っちゃってマスよっ!
身体がちっこいもんだから、見た目では漆黒の翼の面積が全体の九割ってカンジですがっ。
「私を倒すと言うのなら魔王城にお越しなさいな、妄想勇者っ。返り討ちにしてあげるわよっ!おーっほっほっほっほっ!」
ばささあっ!と羽ばたき、飛び去る魔王シフォン!
と思いきやっ。
扉の前で一旦停止。
「ああもうっ。ジャマな翼ねっ」
翼が大きすぎてめっちゃ出にくそうですよ魔王シフォン。だったら、室内で漆黒の翼なんて出さなきゃいいのに。
ちょっとおバカさんなのかなっ?
「見てんじゃないわよっ。バーカバーカ!ブース!ペタン娘っ!ぐるぐるクソメガネっ!」
クチわるっ!
ぐるぐるクソメガネだとっ!?
見た目はちっこカワイイけど、性格はサイアクだなっ!
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