魔王シフォンvsヤンキー女神!
いきなり乱入してきた、ちっこカワイイ女の子は、なんと魔王!
フィルフィーに会いに来たっぽいけど、いったいどんなご用件なんですかねっ?
「あたしとペリ子の晴れの日に、魔王が何の用だぁ?ああんっ!?」
顎をちょっと上に向け、眉間にシワを寄せてのハの字眉!
フィルフィーのヤンキーメンチ切りにもまったく動じてませんよ、魔王シフォン!
「フン!せいぜい強がってなさいフィルフィーマート!
あなたの母親同様、今から声を奪ってあげるからっ!」
なぬっ!
ポプラールさんの声を奪った超本人!?
と言うことはっ!
この娘がアイドル志望の魔王なのかっ!
「「かーちゃんの声を奪ったってのはテメエかあっっ!」」
ビリビリビリィ!っと、空気を震わせるほどのフィルフィーの大声っ!
うおお、スゴい闘気ですよヤンキー女神っ!
殺っちゃう気マンマンじゃないですかっ。
「イキがってんじゃないわよフィルフィーマート!
中立の女神は魔王に手出しできないってわかってるんでしょうねえっ?」
「グダグダうるせえっ!
そんなモン関係ねえわっ!
今ここでブチのめしてやらあっ!」
「フィルフィーさんっ!ダメですわっ!
そんなコトをしたら、女神の資格を剥奪されてしまいますですわっ!」
「そんなのどーでもいーんだよっ!
あたしの怒りはMAXなんだからなっ!
コイツをブチのめして、かーちゃんの声を取り戻ぉすっ!!」
うおお、見えるっ!
フィルフィーの闘気が見えますよっ!
金色のオーラがズゴゴゴ!って燃えたぎっちゃってますよー!
これはっ!
スーパーフィルフィー!って、まあ、そんなカンジです!
「落ち着いて下さいフィルフィーさんっ!
そんなコトをしてもポプラール様は喜びません!ですわっ!」
「止めてくれるなよ、ペリ子っ!
暴れさせろやあっ!」
「じゃあ、フィルフィーさんとは、もうチューしませんっ!それでもよろしいんですかっ?ですわあっっ!」
「えっっ!? チューしてくんないのっっ?
……しゃーねえなあ。わーったよ」
ぷしゅう、と風船がしぼむみたいに、フィルフィーの怒りのオーラが鎮まっちゃいましたよ。
おい。
おいフィルフィー。
ホントにそれでいいのかっ?
怒りMAXじゃなかったんかいっ。
燃えたぎる金色のオーラは何処いったんじゃいっ。
ペリメール様の『もうチューしません!』は、怒れるフィルフィーをおとなしくする効果バツグンですよ!
フィルフィーも相当ペリメール様にメロメロですよー!
「しょーもないコントは終わったかしらぁ?フィルフィーマートっ!」
フィルフィーとペリメール様のやり取りをコント呼ばわりするとはっ!
なかなかに的を得てますよ、魔王シフォン!
イヤ違うっ!
怒れるフィルフィーを見ても全くビビってない!
かなりいい度胸してるみたいですよっ!
「私を無視するとは、いい度胸じゃないのっ!シフォンっ!」
「んん? んー?
あらあら誰かと思ったら、落ちこぼれラーフィアじゃないの。
女神に堕ちたって聞いたけど、ホントにそうだったのね。ずいぶんとヘタレちゃったものねえ?」
むむっ!やたらと口のワルい魔王だなっ。
しかも、言葉にトゲがあるっ!
女神に堕ちるだなんて言い過ぎじゃないですかねっ?
ラーフィアちゃんは自分の意志で女神に転身したのであって、堕ちたワケじゃないですからねっ!
「女神は魔王に手出し出来ない。わかってるわよねえ?
魔王失格の落ちこぼれの恥さらしのペタン娘ラーフィアぁ?」
むむむむむっ!
いくらなんでも言い過ぎだぞ魔王シフォン!
「……なんっ、DEATH、って?
ペタン娘っ、DEATH、ってっ?」
え、そこですか?
他のいろんな悪口より『ペタン娘』に反応!
ツヤサラ銀髪が逆立ってオニのツノみたいになっちゃってますよラーフィアちゃんっ。
『です』が『DEATH』に聞こえるのは気のせいなんかじゃ無いデスよっ。
ラーフィアちゃんは屈辱的な言葉を浴びせられても、クチビルを噛んで耐え忍んでますがっ!
と、ここで魔王シフォンの前に、ずいっと進み出ましたよレイルさん!
「貴様っ……ラーフィア様を侮辱するのも大概にしておけよ……」
うおお、コワいっ!
めっちゃコワいですよレイルさん!
俺に対する冷たい態度の100倍は怒ってますよー!
「私のラーフィア様に対して、聞き捨てならないセリフですよねぇ……」
フェイリアちゃんも
私の、ってのがちょっと気になりますがっ。
「あーん?
そこのあなた達は、魔王失格ヘタレラーフィアの部下だったのよねえ?
三人仲良く『女神堕ち』とは笑わせてくれるわよねえ?
魔王がダメだったから女神になるだなんて、くっそダサすぎでしょー! おーっほっほっほっ!」
中立の女神は魔王に手出し出来ないとは言えっ!
言って良いコトと悪いコトの区別くらいつきそうなモンですよ魔王シフォンっ!
それならばっ!
ここが勇気の出しどころっ!
妄想勇者のこの俺が、ひとつビシッと言っちゃっても良い場面なのではっ!
ずずいっと前に進み出ますよ男の
「はっ!初めましてっ!
ボクは妄想勇者のコウダヒカリとモウシマスっ! 以後、お見知りおきをっっ!」
「あーん? へえ。あなた、勇者なの?
ずいぶんとカワイイ勇者なのねえ。
どうかしら?私とアイドルユニット組んでみない?」
「えっ!?」
なななんとっ!
現役の魔王にスカウトされちゃったよ男の
思わぬ展開にビックリですよ!
「勇者と魔王でアイドルユニットなんて面白そうでしょ?
そのヘンなぐるぐるメガネを外したら、超絶美少女な匂いがするわっ。
私の嗅覚に間違いは無いのっ!
つべこべ言わずに黙って私のモノになりなさいっ!」
うむむ、なんてワガママなんですかね、魔王シフォン!
つべこべ言わずにって、俺は自己紹介しただけで後はなーんも言ってないんですけど!
あと、ぐるぐるメガネはヘンじゃないぞっ。
魔王シフォンの話し方は全部上から目線だし、気に入ったモノは手に入れないと気がすまないってカンジが溢れてますよ!
ここは、ズバっとビシっと言っちゃりますよ男の
「たっ、他人の声を奪ってアイドルになるだなんて、間違ってると思いマスっ!」
「ああーん?」
言ったった、言ったったですよ!
勇気を振り絞って言ったったですよー!
もっとクチ悪く言いたいところですがっ。
今のこれが精一杯ですよ!
それでも魔王シフォンは細い眉をつり上げてご立腹のご様子です!
うおお、コワイっ。
カワイイ女の子が本気で怒った顔って、めっちゃコワイんですけどー!
「さあ、フィルフィーマートっ!
黙っておとなしく私とキスしなさいっ!」
あれっ!?
ちょっと魔王シフォンっ?
俺とのやり取りはどこいったっ?
俺の事は完全にスルーして、フィルフィーの方を向いちゃってるんですけどっ!?
「なんであたしがテメエとチューしなきゃいけねえんだっ!ふざけんなっ!」
「おバカねえ、やらしい意味なんて無いわよ。キスで声をいただくだけだもの。痛みなんて無くて、むしろ気持ちいいくらいよぉ?」
そう言って、ペロッっと舌を出す仕草はめっちゃカワイイですけども!
気持ちいいって言ってる時点でやらしい意味だぞ、魔王シフォンっ!
ところで、置き去りにされた俺の勇気はどうしたらいいんデスカネっ!?
新手の放置プレイなんデスカネっ!?
ほったらかしですよ男の
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