ラーフィアの贈り物
やって来ました控え室。
フィルフィーとペリメール様が待機中の控え室ですよ。
俺の中では、ワクワクとドキドキがコラボ中!
コココンと扉をノックして、カチャリと扉を開けるとそこにはっ!
ウエディングドレスに着替え終えた、見目麗しい二人のお姿がっ!
フィルフィーは新郎役でタキシードなのかと思いきや、実はフィルフィーも新婦でした。
きらびやかなウエディングドレス!
普段からメイクいらずのキレイなお顔なんだけど、今日はメイクアップっぷしてますよ!
めちゃめちゃ美人度アップっぷ!
尊い! 尊いですよ、女神サマっ!
キレイな二人がウエディングドレスを着て静かにじっとしてると、ショーウインドウに飾られてるマネキンみたいですよ!
「わあー♪ スっゴく素敵だよ、お姉ちゃん!ついでにフィルフィーもっ」
「とってもステキですぅ♡ お姉さまぁ♡」
「お二人ともっ、お美しゅうございますっ!」
レイルさんとフェイリアちゃんも感激してますよー!
俺にも言わせて下さいよー!
「キレイですっ!ペリメール様っ、あとフィルフィーもっ!」
「ありがとうございますですわっ、皆さんっ♪
ラフィーさんが申し出てくれなかったら、こうして結婚式を挙げる事は出来なかったかも知れないのですわっ。
だから、皆さんっ、本当にありがとうございます!ですわっ」
「あたしからも礼を言うよ、ラフィー。
ペリ子とケッコンできただけでもスゲー嬉しいのに、式まで挙げられるなんて思ってなかったからなっ。
だから、ありがとなっ。みんなっ!」
「えっ!?やだ、そんなっ。照れちゃうようっ」
二人からの感謝の言葉に耳まで赤くなっちゃって照れ臭そうですよ、ラーフィアちゃん。
でもそれだけじゃなくて、とっても嬉しそうな笑顔ですよ!
「でもなー。ウエディングドレスって、もっさりしてて歩きにくいよなー。ホントはジャージでいいんだけどなー」
ナニ言ってるんですかねフィルフィーはっ!
ジャージで結婚式挙げるなんて見たコト無いだろっ。
フィルフィーの場合、照れ隠しじゃなくて本気で言ってるからオソロシイですよ!
「フィルフィーさんたら、ダダをこねちゃってもうっ、ですわっ。ウエディングドレス姿のフィルフィーさんも、とってもステキですわっ♡」
頬を赤らめつつ、ツンツンっとフィルフィーの腕を突っつくペリメール様。
あー、ハイハイ。存分にイチャコラしちゃって下さいましっ。
「あーん?言ったろー?あたしは銀髪君のトコに嫁に行くってさ!」
「えっ?じゃあ、フィルフィーさんは私が……」
「おっと、それ以上はヤボってモンだぜペリ子っ」
なんつってペリメール様の唇に人差し指を、ぴとっと当てましたよ、なーんかカッコいいですよー!
やっぱり、ペリメール様が初恋の銀髪君だってわかってたんだなフィルフィーはっ。
なんか純情がまどろっこしい一途なヤンキー女神様ですよー!
ここでラーフィアちゃんが俺にちらっと目配せしてきましたよ。
これは、アレかな?
二人に渡したい物って言ってたヤツかな?
「ねえ、お姉ちゃん。髪の毛一本、私にちょうだいっ。あと、ついでにフィルフィーもっ」
「髪の毛?そんなもんナニするんだ?
あ!呪う気かっ?」
「呪わないわよっ。失礼なっ」
「髪の毛の呪いって効力つえーからこえーんだよなー」
フィルフィーは面倒臭そうにしながらも長い髪の毛を一本抜いて、ラーフィアちゃんに手渡してあげた。
文句言う割りには断らないんだよなー。
素直じゃないですよヤンキー女神っ。
フィルフィーはペリメール様と違って髪をいつも無造作にしてるから、傷んでるのかと思いきや。
意外としなやかでキレイな髪ですよ。
染めてるのかと思ってたけど、実はホントに金髪だって言うし。
髪の根本は黒なのに途中で金色に変わるなんて、性格と同じで髪までひねくれてますよっ。
ペリメール様もキレイな髪を一本抜いてラーフィアちゃんに手渡してあげましたよ。
ペリメール様の髪はツヤツヤのつるつる。糸にして編んだら高級な反物になっちゃうんじゃないのってくらいにキレイですよ。
「あたしとペリ子の髪でナニするんだ?
あっ、呪う気かっ!?」
「呪わないっつったでしょーがっ。それ以上なんか言ったら呪うわよっ」
やっぱり呪うんですねラーフィアちゃん!
それはそれで見たいような気がしちゃいますよ!
「それじゃあ、ヒカリちゃんっ。お願いしますっ」
「ハイっ。了解ですっ」
二人に贈り物をしたいから手伝ってと言われて、ラーフィアちゃんに頼まれたのは魔力の分担。
ラーフィアちゃんの手を握って、魔力を少し送り込めばいいだけなんだけど。
「ナニが起きるかは見てのお楽しみねっ♪」
てコトで、俺にも内緒なのですよ。
はてさて、ナニが起きるのかしらっ?
二人の髪を器用にくるくるっと巻いて、きゅっと握りしめるラーフィアちゃん。
その小さな手を俺の小さな手で包み込む。
そんでもってっ。
「それじゃ、いきますよー!
ん~んっ!んんんっ!」
俺の魔力をラーフィアちゃんの手に送り込む。
これくらいは俺レベルでも出来るのです!
「きたきたっ!いいよヒカリちゃんっ!
良い魔力だよっ!」
順調にラーフィアちゃんに魔力を供給!
するとっ。
キン!キン!カン!という甲高い金属音がラーフィアちゃんの手の中から聞こえてくる!
この小さい手の中で、一体ナニが起きてるんですかねっ?
「うーんむむむっ。よしっ。もういいよ、ヒカリちゃんっ」
俺が手を離し、続けてラーフィアちゃんがゆっくりと手を開くと、ぽしゅん!っと真っ白いケムリがあがり。
ケムリが消えた後に現れたのは。
金の輪と銀の輪がらせん状に絡まったデザインのペアリング!
これはっ!もしかしてっ!
ケッコン指輪的なアレだったりするのかなっ!?
「一生に一度しか使えないスキルなんだからねっ!大事にしてくれないと呪うからねっ!」
なななんとっ!
やっぱり呪いの指輪なんですかねラーフィアちゃん!
「一生に一度って……そんな貴重なスキルを使うなんて本当によろしいのですかっ?ですわっ。ラフィーさんっ」
「うんっ。いいの!
今使わないと後悔しちゃうような気がするから……お姉ちゃんと、ついでにフィルフィーにプレゼントしたいの」
ラーフィアちゃんは、ちょっと照れ臭そうにはにかんで。
「受け取って……くれますか?」
「ええっ!もちろんですわっっ!」
「当ったり前だろ!断る理由がドコにあるってんでい、べらぼーめっ!」
出ましたよ江戸っ子女神!
照れ隠しなのかも知れないけど、もうちょっと素直に喜びなさいっ。
フィルフィーとペリメール様はお互いに顔を見合わせてから、ラーフィアちゃんの手のひらから指輪を受け取り、白い手袋を外して。
フィルフィーはペリメール様の左手の薬指に。
ペリメール様はフィルフィーの左手の薬指に。
ゆっくりと時間をかけて、指輪の交換をしましたよ。
「アハー♡ ステキですう♡ お姉様ぁ♡」
「お二人ともっ、お幸せに!」
フェイリアちゃんとレイルさんも感激しながら、二人を祝福してる。
なんだかとってもステキで幸せな空気がみんなを包み込んでますよー!
「指輪は用意してあったんだけど、こっちの方がいいやっ……ありがとな、ラフィー。最高だよ。一生のタカラモノにするぜっ」
「ラフィーさん……ありがとうございます、ですわっ」
そう言って幸せそうに微笑みながら、二人の女神様は。
ラーフィアちゃんをぎゅうっと抱き締めた。
「どうしても……二人にプレゼントしたくって……っ……っ」
「なーんでラフィーが泣くんだよー?」
「泣いてないっ!目から水が出ただけだよっ」
「上手く言葉に出来ません、ですわっ。ラフィーさん、本当にありがとうございます……ですわっ」
「お姉ちゃ、ん……っ」
ペリメール様がラーフィアちゃんの髪を優しく撫でると。
「ふうっ……うっっ……」
ラーフィアちゃんは、ぽろぽろっと大粒の涙を溢して、ペリメール様にぎゅうっとしがみついた。
ラーフィアちゃん。
やっぱり、優しいコだなー。
魔王になってからも心が歪むなんてコトは無くて。
純粋で純心なままで。
キレイな涙ですよー。
従姉妹だってコトもあるかもだけど、ペリメール様の事をお姉ちゃんて呼ぶくらいに信頼してて、フィルフィーのコトはついでに、なんて言うけど本心では全然嫌ってなくて。
幼馴染みの絆、っていうか、親友、っていうか。
ちょっとだけ、羨ましいな。
「ナニやってんでいヒカリっ!お前のオンナが泣いてるだろーがっ!こっち来て一緒にハグしやがれっ!」
「えっ?ちょっ!フィルフィーっ?」
強引に俺を引き寄せ、三人まとめて抱き締めるフィルフィー!
ナニやってんだっ!
ウエディングドレスがシワシワになっちゃうでしょーがっ!
「あっ♡ ヒカっ!ヒカリちゃんっ!?」
「あんっ。フィルフィーさんたらっ♡」
勢い余って必要以上に密着する俺とラーフィアちゃん!
うおお、ラーフィアちゃんのぷにぷにほっぺと俺のほっぺがくっついちゃってますよー!
そんでもって、ペリメール様のやわこいオパイが俺の背中に密着しちゃってますよー!
ムハー!
って違うっ!
「皆さんズルいですぅ。リアちゃんもハグしまあす♡ ほらほら、レイルちゃんもぉ♡」
「えっ!?うわっ!?フェイリアっ!?へろへろ尻尾でナニをする気だっ!?」
にょろろんっと
「おほー♪ やっぱ、あたしらはこうじゃなくっちゃなー!」
みんなしてむぎゅぎゅと完全密着ですよー!
ああもう、なんかワチャワチャです!
これから挙式だっていうのに、なんでこんな状況で嬉しそうなんですかねフィルフィーはっ!
でも、こんなのも楽しいかもっ?
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