ペリメール様からのサプライズ!

「あのっ。ペリメール様にご相談があるのですがっ。聞いて頂けないでしょうかっ?」


 んっ?

 レイルさんが真剣な顔つきですよ。これはもしかして、恋のお悩み相談的なアレかもっ?


「はいっ。私でよろしければ、ですわっ」


「私にはっ、あのっ。好きなヒトがいるんですっ。でも、そのヒトには想い人がいるんですっ。そこのちんちくりんですっ」


 びし!っと俺を指差すレイルさん!


「えっ!?あのっ、レイルさんっ?ボクはラーフィアちゃんが好きなんですよっ?」


「ええっ?ヒカっ!ヒカリちゃんっ?」


 みんなの前であっさり『好き』って言っちゃったら、ラーフィアちゃんが一瞬で真っ赤になっちゃいましたよっ。

 でも、これは本心ですからねっ!

 恥ずかしくなんてないのです!


「貴様は黙っていろ、ちんちくりん。今は私とペリメール様が話しているんだからなっ。それ以上喋ると、この拳を貴様のカワイイ口に突っ込むぞっ」


 眼光鋭く、ぐぐっと拳を握りしめるレイルさん!

 拳を突っ込むってマジですか。

 いくらなんでも、そんなのはお口に入りませんよっ。


 レイルさんはくるりとペリメール様に向き直り、尚も真剣な眼差し!

 ここはおとなしく縮こまってた方が良さげですよー。


「あのっ。スズキ君はっ、私の想い人はっ、どうすれば私に振り向いてくれるでしょうかっ?」


「純粋な想いはきっと届きます、ですわっ。自分の素直な気持ちを、相手の目を見てハッキリと伝えるとよろしいと思います、ですわっ」


 あの、ペリメール様?

 ハッキリと伝えるとは言いますがっ。


 ペリメール様がフィルフィーに告白した時って、結構グダグダだったような気がしないでもないですよっ。

 ろれつが回ってなくて、涙と鼻水でキレイな顔がくしゃくしゃになっちゃってましたからねっ。


「まず、想いを伝える事。その場で返事を頂こうとしてはいけません、ですわっ」


 あの、ペリメール様?

 その場で返事を求めてはいけないと言いますがっ。

 ペリメール様がフィルフィーに告白した時って、直ぐに答えを欲しがってましたよねっ?


 レイルさんはフムフムと頷きつつメモってますよ。

 ホントに真剣なんだなー。

 ……参考になるのかな?



「あのっ、告白をしてから間を空けるというのは何故でしょうかっ?」


「それは、想いを伝えてから少しの間だけでも、お相手の心に『貴女』という存在を留める事に繋がるからですわっ」


「でもっ、スズキ君の心にはそこのちんちくりんがっ……」


 またしても、びし!と俺を指差すレイルさん! 

 ちょっとっ!

 簡単にヒトを指差しちゃダメですよっ!


「確かにヒカリ様は、見た目は超絶美少女ですわっ。

 ですが、時々、ゲスい視線で私やフィルフィーさんのおっぱいをガン見する男のなのですわっ」


 うおいっペリメール様っ!?

 ゲスい視線って人聞きワルいですよっ!


「貴女の尊い想いは、そんなのに負けるハズがありません!ですわっ。恋愛の女神ペリメールが応援いたします!ですわっ」


「ペリメール様っ!私、頑張りますっ!」


「貴女に、この御守りをプレゼントいたします、ですわっ。貴女の想いが届きますように、ですわっ」


「えっ!?よろしいのですかっ?ありがとうございますっ!」


 ペリメール様は内職で作った御守りをレイルさんに手渡しましたよ。

 めっちゃ嬉しそうですよ、レイルさん。


 にしても!

 うぬぬ、『ゲスい』とか『そんなの』呼ばわりですよ男のっ!

 キッパリ否定できないのがなんともかんともってヤツですよー!



「『ねえ、ヒカリちゃん……』」


「うえあっ!?ラーフィアちゃんっ!?」


 ラーフィアちゃんの地底から響くようなクールでダンディーなイケてるボイスは健在です!

 え?なに?

 なんかご機嫌がナナメっちゃってマスヨっ!?


「『……おっぱいガン見ってホントなの?』」


「えっ!?あのっ、イヤそんなっ」


 ちょっとだけ? アレっ?

 しょっちゅうかなっ?

 だって三人一緒に暮らしてるんですものー!

 見ないようにする方が大変ってなモンなのですよー!


 うおお、俺は今っ、怒れる虎に追い詰められたウサギさん!

 どうにかしてピョーンと逃げ出してーですよー!



 ここでペリメール様から、ラーフィアちゃん達に衝撃の一言がっ!


「さしでがましいようですが……皆さん。

 女神になる気はございませんか? ですわっ」


「「「えっ!?」」」


 いきなり、唐突、突然に!

 ペリメール様の思わぬサプライズに、かしまし三人娘の声がハモっちゃいましたよっ。


 元魔王とその側近が女神に転身!

 そんなコトってアリなのかっ?


「前々から思ってはいたのですが……私がしゃしゃり出て良いものか迷っていたのですわっ。

 ですが、今日、皆さんにお会いして気持ちが固まりましたのですわっ」


 三人は驚きつつも、静かにペリメール様の話に聞き入ってる。

 でも、いきなり女神に転身って。

 

「三人が女神に? ぺリ子はなんでそう思ったんだ?」


 俺と同じコトを思ってますよ、フィルフィーは。まあ当然ですよねっ。



「皆さんは純粋で一途で真っ直ぐな性格だからですわっ。

 それに将来の事を考えても、女神の方が需要が大きいのですわっ。

 フェイリアさんはまあ、その、尻軽ですけど、多くの人々に愛を与えられると思うのですわっ」


「えー? 尻軽ですかぁ♡」


 尻軽って言っちゃったよペリメール様っ。

 言われたフェイリアちゃんは、ナゼか嬉しそうにモジモジしてますがっ。


「ふーん、三人が女神にねえ。ヒカリはどう思うよ?」


 むむっ?俺に答えよとっ?

 ペリメール様が素質アリって認めてるんだから、その時点でかなり強力な太鼓判なんじゃないのかなっ?

 ここはいっちょ、ぶっこんでみるですよ!


「ヤンキーで根性ねじ曲がってるフィルフィーが女神になれたくらいだから、きっとみんなダイジョブだと思うよっ!」


「ああん!? 言ってくれるじゃねーかヒカリよーう?

 よーし。今夜は朝までヒイヒイ言わせてやっからなっ!カクゴしとけよっ」


「えっっ!?」


 ナニを言い出すんじゃいフィルフィーはっ!

 またラーフィアちゃんが不機嫌になっちゃうでしょーがっ!


「なななっ!ヒイヒイだなんてっ!

 そんなのダメダメっ!でしゅわあっ!」


「ナニを勘違いしてるか知らねーけど、ぺリ子は別の意味でヒイヒイ言わせてやっからなっ!楽しみにしとけよっ!」


「えっ!?ヒイヒイって、ですわんっっ♡」


 ペリメール様は一瞬で真っ赤になっちゃいましたよ。

 いったい、ナニを想像してらっしゃるんデスカネっ?

 

「ヒイヒイって何の事だ? フェイリアっ」


「ヒイヒイってアレの事だよう、レイルちゃんっ♡」


「ヒカリちゃんは私がヒイヒイ言わせるから、フィルフィーはお姉ちゃんを好きなだけヒイヒイ言わせればいいじゃないっ」

 

 ちょっとラーフィアちゃんっ?

 フィルフィーのワケわからん挑発に乗っちゃダメですよー!


「そんなコトよりさっきの話を詳しく聞かせてよ、お姉ちゃんっ」


 そうですよ、女神に転身の話ですよ。

 みんなしてヒイヒイ言ってる場合じゃないのですよー!

 

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