メンタル強いよアーラさん
「只今戻りましたっ♪ ですわっ♪」
おっと、ペリメール様がご帰宅ですよ。
なんだか機嫌が良いみたい。
ここはペリメール様におまかせしようじゃないですか。
フィルフィーとアーラさん、ペリメール様を加えて三人同期生ですからねっ。
積もる話もあったりするのでは?
と、思いきや!
「あっ、アーラさんっ!?どうして貴女がココにっ!?」
「やあペリメールちゃん、久しぶりっ。
ペリメールちゃんの髪は相変わらずツヤツヤのつるつるだねえ。
今日は女神事務所からお使いに来たんだよ♪
では三人の再会を祝してっ。
あ~あ~♪ 愛しいフィルフィ~♪
い~つにぃ♪ な~ったぁらぁ~♪
私のぉ~お嫁さんにぃ~♪
なってっ♪ くぅれるんだい~♪
ららら~♪ ららら~♪ ららら~♪」
急に歌い出しちゃったよアーラさん!
ミュージカル好きなのかなっ?
って言うか、再会を祝うフレーズなんてひとつも無いんですけど!
しかもお嫁さんて!
「誰がオマエの嫁になんかなるかっ!
あたしのココロは幼稚園の時に惚れた銀髪君のモンなんだからなっ!」
「……銀髪君?って、それってペリ……」
「危ないですわアーラさあああああんっ!」
ばちーん!
「ぷわっ!?」
刹那で炸裂!
ペリメールスマッシュがアーラさんの口元に炸裂です!
お股おっぴろげて壁まで吹っ飛んじゃいましたよアーラさん!スカートじゃなくて良かったですよー!
「おほー♪ やるなあペリ子っ」
「ああっ!アーラさんが大変ですわっ!誰がこんなヒドイ事をっ!?ですわっ!」
強烈なスマッシュ食らわせといてナニを言ってるんですかね、ペリメール様っ。
再会してすぐに三人でコントおっぱじめるとは、さすが幼馴染みは仲良きですよっ。
「ちょっと、おさらいをしようじゃないか。
ペリメールちゃんはどうしてフィルフィーちゃんと一緒に住んでるんだい?」
何事も無かったみたいに、しゅっと復活したよアーラさん。
やっぱり女神なだけあって、めっちゃタフですよ!
「わっ私はっ、フィルフィーさんの監視役を神様にお申し付けられているのですわっ。望んで一緒にいるワケではありません!ですわっ」
「ふーん、へーえ、そうなんだー。望んで無い、ってホントかなあー?」
キャノラさんと全く同じ反応ですよアーラさん。
めっちゃギワクの眼差しです!
「抜け駆けはズルいなあ、ペリメールちゃーん。
フィルフィーちゃんの一番近くにいられるってそれだけで羨ましいのに、一緒に住んでるなんてズルいなあ。いいなあ」
「べべべっ別に抜け駆けなんてしてませぬっですわっ!あああアーラさんは今日はナニしにお越しになられたのですかっ、ですわんっ」
うーん、キョドってますよペリメール様。
目が泳ぎまくりです。
キャノラさんといいアーラさんといい、フィルフィーって幼馴染みにモテモテだなー。
「今日は二人に女神ポイント明細書を持ってきてあげたのさっ。さあフィルフィーちゃんっ!感謝のキッスを受ける準備はオッケーだよ!」
「誰がチューなんかするかっ!あたしにチューしてイイのは銀髪君だけなんだからなっ!
アイツならべろチューもオッケーなんだからなっ」
「べべべべべべべべべろチューっっ!?ふぃふぃふぃフィルフィーしゃんっ!あにゃたというヒトはっ!
まったくもってハシタナイでおじゃりましゅるでしゅわあっ!」
「ああん!?だから、なんでペリ子がワタワタするんだよっ!」
「そそそそそそれはあっ!あにょっ!そにょっ!わわわわわわたきゅしがあっ!」
おおっ!これはっ!?
遂にペリメール様が『ご本人登場!』シチュに持っていく流れ的なカンジにっ!?
俺が数々のギャルゲエロゲで得たあらゆるシチュエーションを瞬時にシュミレーション!
ピキピキちーん!と出た答えはっ!
ここでペリメール様がフィルフィーに『愛の告白シチュ』になるルートになるような気がしないでもないですよー!
ところがですよ!
「あらっ?あらあららっ!?
あっ!あいたたたたっ!私ったら、お腹が痛いですわあっ!」
愛の告白ならんのかいっ!
俺の予想はダダスベリっ!
ペリメール様がまさかの仮病ですよっ!
「なんだよハライタかー?ベンジョ行って来いよベンジョによー」
「フィルフィーさんたらもうっ。おトイレとお言いなさいっ、ですわっ」
「ヤンキーは『おトイレ』なんて言わねーの!気合い入れてバリバリのブリブリに出してきやがれ!ってなもんでい!」
ペリメール様に向かってなんてコトを。
まったくもー、どうしようもないくらいにお下品女神ですよフィルフィーはっ。
「アイタタタアアデスワアっ。モレチャイソウデスワアっ」
セリフ棒読みで、すてててっとトイレに行っちゃいましたよペリメール様。
これは。
逃げた。逃げちゃったな、うん。
台風の目みたいなアーラさんの登場で二人の仲に少しは変化があるのかと思いきや。
なんかフィルフィーもペリメール様も煮え切らないというかなんというか。
そう言えばラーフィアちゃんも言ってたなー。
『二人ってまだそんななのー?お子ちゃまだねー』
ってねー。
ラーフィアちゃんの事を思い出したその時ですよ。
ズキン。
ん?
あれ。
あれれ?
なんだろうな……
ラーフィアちゃんのコト思い出すと。
胸の辺りが、きゅうううって締め付けられるみたいにイタイな……
ラーフィアちゃん……
元気に頑張ってるのかな……
更正施設って、何をするのかな……
◇
◇
「じゃあ、コレ。フィルフィーちゃんのポイント明細書ね」
「あ? おう、あんがとよ」
明細書の入った茶封筒。
アーラさんが手渡す時に手の甲にキスをしようとしてるのがバレバレで、ぱしっと素早く受け取りましたよフィルフィーは。
なかなかに警戒心が強いですよ!
「と言うわけで、今日の所は帰らせていただきますけれどもフィルフィーちゃんっ!」
びしいっ!とフィルフィーを鋭く指差すアーラさん!
「いつでもお嫁さんになってくれて構わないんだよっ!」
お嫁さんにしたいと思う相手を指差しちゃダメなんじゃないですかねアーラさんっ。
やっぱり変わったヒトですよー。
「嫁になんてならねえっつーのっ。用が済んだんなら帰りやがれっ。しっしっ」
ブレませんよ、フィルフィーは。
コバエでも追っ払うみたいな仕草ですよ。
「あらあらお早いお帰りでっ。お茶もお出しせずに申し訳ございませんっですわっ。
なんならお茶漬けでもいかがですか?ですわっ」
トイレから戻ってきたよペリメール様。
アーラさんが帰ると聞いてなんだかとっても嬉しそうですよ!
にっこにこの笑顔です!
でも、お茶漬けってこれはっ!
知る人ぞ知る暗黙の伝言『さっさと帰って下さいね』ですよ!
こっちの世界でもあるんだな、それ。
ところがですよ!
「えっ?いいのかい?じゃあ、いただこうかなっ」
食べる気まんまんですよアーラさん!
無言の『帰って下さい』をスルー出来るなんてメンタル強いなっ。
空気を読む気なんてゼロですよー!
◇
◇
じゅるるるーずびびっ。ぷはー。
なんつって。
みんなしてホントにお茶漬け食べてるし。
何なんですかね、この時間。
「はー。ごちそうさまでしたっ」
お茶漬けを食べ終えてから、しゅっと素早くペリメール様に近づいて何やらこそこそ耳打ちですよアーラさん。
「ねえ、ペリメールちゃんっ。フィルフィーちゃんとはホントにナニもないのっ?一緒に住んでてナニもないってオカシイよねっ?」
「べべべっ!別にっ!にゃにもごじゃりませぬですわっ!」
「おい、アーラっ!ナニこそこそしてんだよっ?ペリ子にベタベタくっつくなっ」
「えー?ただのナイショ話だよう?」
ペリメール様にひそひそと耳打ちするのが気に入らなかったのか、フィルフィーが不機嫌になっちゃいましたよ。
コドモかっ。
「これは浮気じゃないよっ?浮気なんかじゃないからねフィルフィーちゃんっ。私にはフィルフィーちゃんしか目に入らないのさっ」
のさっ、と言いつつ電光石火の素早さでフィルフィーに近づき、ぐっと腰を抱き寄せるアーラさん!
「あああアーラさんっ!フィルフィーさんをベタベタ触ってはいけませぬ!ですわっ」
「えー?ただのスキンシップだよう?」
今度はペリメール様がワタワタし始めましたよ。
何なんですかね、この茶番劇はっ。
なんだか置いてけぼりですよ、男の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます