SSレア!
フィルフィーが『勇気の出るおまじない』なんて言って、俺に『アゴクイでキス』した後。
「行ってこいやあっ!うらああっ!」
ばしーん!とまた俺の背中を叩くフィルフィーっ!
めっちゃ痛いんですけどっ!
女神のキスを受けたからって状況が変わったワケではないっ。
俺には『お着替えガチャ』しか無いんだからもうやるしかないっ。
とりあえず落ち着いてっ。
ひっひっふうう。
ひっひっふうう。
ひっひっふううう。
「あにょっ!少々お待ちクダサイね、スズキさんっ。ボクもデモンストレーション見せますからねっ」
「善きにハカラエだ、俺の嫁ヒカリよっ。そこの目付きの悪い女神との口づけは秀逸な面白き余興であったぞっ。ぬはっ!ぬはっ!ぬはははははっ!」
いちいち、ぬはぬはウルサイですよスズキさん!
黒竜王って言うからには、もっとクールでカッコよくあってもらいたいもんですよー!
フィルフィーのキスにはビックリしたけど!
とにかくもう!
やるしかない!
よしやるぞっ!お着替えガチャ1回目っ!気合いの声と共に右手を大きく振り挙げるっ!
「うにゃあっ!」
っぽん!と軽い音!
これはっ!
競泳水着っ!ちょっとエッチな競泳水着っ!
ゴーグルと水泳キャップ付き!
モニターにも大映しですよ競泳水着!
なんだかざわつく校舎で見守る生徒達!
「おおー。いーじゃん、ヒカリぃ。100メートルは息継ぎ無しで泳げるだろっ」
「なにそれっ!?今ここでそれは何の意味も無いよねっ!!」
「まあ、これじゃ死ぬわな。とりあえず戦えそうな衣装出るまでガチャってみなっ」
「えーっ!?」
出るまでって言っても!残りは2回!
なんでそんなにニヤニヤしてんのさ、ヤンキー女神っ!
もうっ!次!
もう一度、勢いよく右手を振り挙げる俺っ!
「うにゃあっ!」
っぽん!
これはっ!
下着っ!?赤いレースのエッチな下着っ!
ブラパンのみなんですけど!
なんだコレっ!スケスケもいいとこですよっ!『黒光り』スキル発動一歩手前のヤツですよー!
こんなちっさいおパンツ初めて穿いたっ!なにこの面積の小ささはっ!
校舎の生徒達がさっきよりざわついてますよっ!なんか悲鳴っぽいのまで聞こえたんだけどっ。
「おほー!やらしいなあ、ヒカリぃ!世の中の男ぜーんぶ前屈みだぜっ!見てみろよ黒竜王のあの顔をよっ!」
なぬっ!?
パッとスズキさんの顔を見てみるとっ。
対角コーナーで腕組みをして待つ黒竜王スズキさんの目がめっちゃイヤらしいんですけど!
微動だにせずに目をかっぴらいてガン見です!
「俺の嫁ヒカリよ。俺の嫁になるに相応しいエッチさではないか。今ここで!声を大にして宣言する!」
『『俺の嫁!エッチな下着の!俺の嫁!』』
でっかい声でナニを言ってるんですかね黒竜王スズキさんはっ!?
「俺様の!俺様のジエンドオブソウロウが猛り狂っておるわっ!俺の嫁ヒカリよ!覚悟するがいい!今夜は!今夜はお前とぬははははっ!」
いい終える前に笑っちゃったよっ。
何を言いたかったのか、おおよその検討はつくけどもっ!
このままではっ!
俺のお尻が大変なコトになってしまうっ!
黒竜王スズキさんの『ジエンドオブソウロウ』のお相手なんてしちゃったらっ!
お尻が使い物にならなくなっちゃいますよー!
俺はっ!夜の戦いに挑む気なんて無いんだからねっ!
ラスト1回!
お願いですガチャの神様っ!俺は消し炭にも黒竜王スズキさんの嫁にもなりたく無いですっ!せめて戦える衣装をお願いしまあすっ!
ムダかも知れない、でも!俺はお願いせずにはいられなかったですよガチャの神様なんて存在するかもわからないけど!
「最後の1回っ!!お願いガチャ神様あっ!!ううにゃああっ!!」
気合いを入れて右手を振り挙げるっ!
っぽぽぽんっ!
パンパカパーン!ちゃらりらり~ん!
というノンアルコールの子供用シャンパンの栓を3連続で抜いたような音と、ドコからともなく響くファンファーレ!
んおっ!?
初めて聞く音っ!
しゅわわわわあっ!と今までのお着替えガチャには無かったスモークエフェクトが俺を包み込み!
きらきらきらーん!っと謎の効果音!
パパパパパっ!とまばゆいフラッシュ!
どこからか出たのか、チカチカ飛び散る星屑と七色の光っ!
いかにも!な変身シーンのエフェクトですよ!
そしてっ!
現れた俺の姿、これはっ!
これは、もしかしてもしかするとおっ!
魔法少女っ!?
「キターっ!SSレア!やったな、ヒカリぃ!『愛の大魔王天使ラジカルラミィ』じゃねーかっ!大当たりだぜっ!」
お着替えガチャ初のSSレア!
その名も!
愛の大魔王天使ラジカルラミィ!!
イヤわかりません。
いかにも魔法少女っぽいけど俺にはわかりませんよ、初見ですよラジカルラミィ!
ちょっとフリーズしてる俺を尻目にフィルフィーは大はしゃぎ。
騒いでるのはフィルフィーだけかと思いきや。
「ヒカリちゃんスゴいスゴーい!第2期最終話のみの衣装!スゴイ!スゴいよっ、ヒカリちゃーん!再現度めっちゃ高いよー!」
もう一人の大はしゃぎの声はラーフィアちゃんでした。
他にも結構な人数の生徒達の黄色い声がきゃきゃあと聞こえてくる。どうやらこの年代の女の子達に人気のアニメだったみたい。
「ラストバトル
イヤ、だから、わかりませんて。
ナニそのアニメーター泣かせの最終話のラストバトルのみ衣装って!
『おおっとぉ!ヒカリちゃんがスキルで変身しましたあっ!
これは私達の世代で知らない人はいないでしょうっ!
なんとおっ!
『愛の大魔王天使ラジカルラミィ!』です!
激レア中の激レアのラストバトル衣装!
これはきっと!期待できますよおおーっ!』
実況のワタナベさんまで大コーフンですよ。
俺の元々の金髪はゆるふわセミショートのハズなんだけど、どピンク色のロングツインテールに変わってる。
ふわふわキラキラの衣装にはこれでもか!のフリル付き。
つってもこのおパンツみたいな水着みたいなホットパンツは股上が浅いっ!お尻が半分見えちゃってますよ!
コヒカリ君が不安になっちゃうレベル!
絶対領域はこの世界でもテッパン!
指無しグローブとか足首に羽根付きのサイハイブーツとか、お約束の小物も充実してますよっ。
極めつけは魔法少女お決まりの魔法のステッキ!なんか、でっかいぐるぐるキャンディに天使の羽根みたいなモノがくっついてる魔法のステッキ!
なんかイロイロとフリルだらけで動きづらいんですけどっ。
アニメの中では機敏に動けるんだろうけど、リアルでコスプレしてみたら、あれ?動けねー!みたいなカンジですよ!
アニメの再現度が高いみたいだけど、初見の俺にはわかりません。
重くて動けない騎士の鎧よりマシだけどっ!
俺、これで戦えるの!?
「ラミィはもとがポンコツ少女だからなっ。あの娘も衣装で強くなるヤツだったからイケる!ラジカルラミィの強さをそのままブッ込めるぞ、ヒカリぃ!」
なんですとっ?
中身がヘボい俺でも戦えるですとっ!?
衣装に応じた強さを使えるこのスキルならでは!ってコトですかっ。
それなら消し炭になる心配は無いかもっ!
だがしかし!
初見の俺には、ラジカルラミィの技とか全然まったくわかんないんですけどっ!
「フィルフィーっ!ラミィってどうやって戦ってたのっ?技とかあるのっ?ボクわかんないよっ?」
「ヒカリはラミィ知らねーんだっけかっ。あたしがアドバイスしてやっから、その通りに動いてみなっ!セコンド冥利につきるってモンだぜっ!なあペリ子っ!」
「そうですわねっ!それなら勝てる見込みもあるかも、ですわっ!フィルフィーさんのアニヲタっぷりは私が太鼓判をおしますから大丈夫っ、ですわっ!ヒカリ様っ!頑張れー!ですわあっ!」
ペリメール様の応援はココロに響きます!
そしてめっちゃめちゃカワイイですよ!
銀髪女神様に『頑張れー!』なんて言われたらっ!頑張るしかナイじゃないのっ!
「俺の嫁ヒカリよっ!それがお前の花嫁衣装だと理解したぞ!メイド服も良かったが、ラジラミの衣装も良く似合っているぞ俺の嫁ヒカリよおっ!」
なんで黒竜王までコーフンしてるんですかねっ。ラジラミって通称で言うってコトは、もしかして黒竜王もラジカルラミィ好きなのかっ?
「ちなみに俺はラリラリルレ美も大好きだぞ!俺の嫁ヒカリよっ、あの衣装も是非にっ!」
そんなの知らんわいっ。
ラリラリルレ美もどんなのか見たコトないからわかんないわいっ。
黒竜王が美少女ヲタってイメージダウンにならないのかっ?
「へー!黒竜王はルレ美も好きなのかー!なかなかわかってるじゃねーかっ!」
ナニを言ってるんじゃい、ヤンキー女神っ!
敵と意気投合してどーすんじゃいっ。
あ、でも。
そういえば女神って中立の立場だったっけ。
黒竜王とは完全に敵対するワケじゃないんだなー。
中立の立場ってそういうコトかっ。
『お互いのデモンストレーションは終了したようです!
我らがヒカリちゃんは、ラジカルラミィのコスプレで黒竜王の黒い炎にどう立ち向かうのでしょうかあっ!いよいよゴングの時間です!』
ワタナベさんの実況が合図となって!
カーン!
と乾いた
始まったっ!?
始まっちゃいましたよ黒竜王との戦いがあっ!
「先手必勝!食らうがいいっ!俺の嫁ヒカリよっ!」
すうううっ!と息を大きく吸い込む黒竜王!
え!?まさか一発目でソレやるのっ!?
ッゴオオオオオオッ!
唸りをあげる黒竜王の黒い炎がっ!
「きゃあああっ!?」
女の子みたいな悲鳴をあげる俺の全身を包み込んだっ!
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