ボーリング場のトイレで3回!

 ランジェリーショップを出ると、外でフィルフィーとペリメール様が待ってくれてて。


「オマエ達も一緒にボーリング来いよっ。タマタマぶん投げるとスッとするぞー!」


 と、ボーリングのお誘いです!


 またタマタマって言ってるよフィルフィーはっ。言いたいのかなっ?

 ボーリングなんて前の世界で何回かしかやったコト無いけど、まあまあ楽しかったかなー?

 久々にやってみたいかも!


 が、しかし!


 ボーリングってヤバいんじゃないかっ!?

 ボーリングの球を投げた瞬間に『お着替えガチャ』スキル発動して衣装チェンジ!しちゃうのではっ?


 俺はフィルフィーの元にしゅっと近づいて、こそっと聞いてみたっ。


「フィルフィーっ。これって、お着替えガチャスキル発動しちゃうんじゃないのっ!?」


「あー?そーいやそーだっけか?見られるのがイヤならベンジョでも行ってスッキリしてくりゃいーじゃん。3回出してこいよっ!」


 なぬ!3回出してこい、だとっ?


 短時間にっ!?

 3回出せとっ!?

 まあ出せないコトもナイですがっ!


 イヤ違うっ!


 男にとって、それがどういう意味合いを持つかわかってらっしゃるんでございますんデスカネ、ヤンキー女神!

 それって聞きようによっては『ヒワイ』に聞こえるし、捉えようによっては『大』が三回出るみたいな言い方なんだからねっ!

 1日に『大』が三回って出過ぎかなっ?


「なんでフィルフィーとコソコソするのヒカリちゃんっ!」


 フィルフィーから引き剥がすように、グイッと俺を引き寄せるラーフィアちゃん!

 右のほっぺをプクーと膨らませ、上目遣いで困り眉!


 KAWAEEEE!ちょっとヤキモチ妬いてくれたのかなっ?

 

ほっといてデートの続きしたいなー、みたいな?」


 俺の腕を掴みながら小首を左右にこくん、こくんっと傾げるラーフィアちゃん!

 サラサラ銀髪がユラユラ揺れるっ。

 やっぱKAWAEEEE!!


 小首を左右に傾げるのは、甘える時のクセみたいですなっ。

 あざとい?

 ノンノンですよー!めっちゃカワイイです!


「やらないならやらないで別にいーけどなっ。あたしの勝ちは見えてるからな!」


 なんつってどや顔ですよヤンキー女神!

 まあ俺がフィルフィーに勝てるワケが無いかなっ。なんせザコレベルだからねっ。


「なんっ、ですっ、てっ?フィルフィー……」


 あれっ?ラーフィアちゃんっ?なんかまた『お怒りモード』になっちゃってますよっ?

 フィルフィーが絡んでくると『負けたくないオーラ』がゴゴゴと出てくるよねラーフィアちゃん!


「お?ノってきたな、まな板ラフィー!勝負するかあ?」


「やってやるわよ!う○こフィルフィー!」


 ラーフィアちゃんっ!?ラーフィアちゃんのカワイイお口からまさかの汚言葉おことばがっ!


「ラフィーさんっ!はしたないですわよっ、ですわっ」


「だってお姉ちゃんっ!フィルフィーがあっ!」


「如何な理由があろうとも、どんなに相手がおバカでも汚く罵ってはいけませぬ!ですわっ」


「……はあい」


 ペリメール様に叱られたラーフィアちゃんはちょっとしゅんとしちゃったっ。

 ラーフィアちゃん、ペリメール様の言う事はちゃんと聞くんだなー。従姉妹で現役女神様ってのが効いてるのかなっ?

 あと、さらっとフィルフィーのコト、おバカって言ったよね?


 それにしても。


 ……う○こフィルフィーかっ。


 覚えておこう、うん。


           ◇


 やって来ましたボーリング場!


 みんなと一緒にボーリングはやってみたい!

 ボーリング場でバニーガールとか赤ブルマの体操服とか騎士の甲冑になんてなりたく無いから、やっぱり『お着替えガチャ』スキルは使い切っちゃった方が良さげです!


 受付を済ませて女神専用レーンへ。


 そうなんです。

 あるんですよ女神専用レーン!

 女神専用レーンがあるんなら、勇者専用とか魔王専用は?

 それもあるんです!さすがに隣同士とかでは無いけど、その有り余る力を一般のレーンで使っちゃうと色んなモノが破壊されてしまうんだそうで。

 力をセーブすればいいんじゃないのって思うんだけど、それじゃ面白くナイって事で。

 勇者、女神、魔王の各専用レーンが作られたそうです。

 勇者はともかく、魔王もボーリングするんかいっ。

 おかしな異世界ですよ、まったく。

 

 魔王専用レーンには誰もいない。どんな魔王がボーリングするのか見てみたかったなー。

 


「ここですわねっ、ですわっ!ズルはナシですわよ、フィルフィーさん!」


「おう!あたぼうよっ!どっちが強いか白黒ハッキリしようじゃねーかっ!」


 フィルフィーvsペリメール様、再び!これは見ものですよー!

 俺も参加しなきゃイケナイみたいだから、とりあえずお着替えガチャスキルは使い切っておこうかなっ。


「あ、ボクちょっとトイレに」

「私もー♡」


 と一緒に付いて来るラーフィアちゃん。

 えっ?これはっ!

 連れション!初の連れション!なんかこう、何て言うか背徳感?後ろめたいキモチになるのはなんなんデスカネっ?


 二人で来ました、女子トイレっ。

 ボーリング場内の女子トイレっ!

 学校は女子校だし、生活拠点は女子寮だから初めて入った一般施設の女子トイレっ!


 ◇ 初めての

    女子トイレなの

     男の ◇ ヒカリ


 でもね!

 そうは言ってもたかがトイレ!臆するコトなど一つも無い!

 男子トイレと大して変わりは無いでしょう!


 って、思っていたのにさっ!


 なんかイイ香り!めっちゃキレイ!床に寝っ転がれるくらいにピカピカです!イヤ、寝っ転がったりしないけど!

 はー。めっちゃ清潔感に溢れてますよっ!

 

 とりあえず一番端っこに入ってみようっ。

 扉を開け、ハイ閉めました、その瞬間。


「キレイなトイレだねー♪」

「えっ!?なんで一緒に入ってくるのラーフィアちゃんっ!?」


 音も気配も無く入ってきましたよラーフィアちゃん!

 忍びか?くの一かっ?てなくらいの忍術ですよ!

 トイレに忍び入る忍術なんて見たコトナイからわかんないけど、まあそんなカンジです!

 思わずとすん!と便座に尻もちですよ!


 あ、フタは閉じてました。助かりました。初の女子トイレでいきなり便器にハマらずに済みました。

 やっぱ、ちゃんとフタは閉じないとね!


 イヤ違うっ!


 便座に座る俺にすうっと近づくラーフィアちゃん!ランジェリーショップの試着室での秘め事が脳裏をよぎりますよ!


「らっ!ラーフィアちゃんっ!?」


「ヒカリちゃんがっ。見たいなー。みたいな?ねっ?」


 便座に座る俺のぐるぐるメガネを見つめながら、こくんっ、こくんっと首を左右に傾げるラーフィアちゃんっ!

 KAWAEEEEっ!!

 

 イヤ違うっ!


 出すトコロ……ですとっ!?

 ラーフィアちゃんっ!?ナニを口走ってるのかワカッテオラレマスノデスカっ!?

 ラーフィアちゃんのっ!性癖がっ!ヤバ過ぎるっ!


「なんてねっ!冗談だよう。笑えなかった?スベっちゃった?」


「えっ!?あははっ!ダヨネー」


 びっくりしたっ!びっくりしたっ!

 ラーフィアちゃんは、時々突拍子も無い行動に出る傾向がおありのようデスヨっ!


 で。


 なんで出てってくれないのラーフィアちゃん?


「あのねヒカリちゃん。さっきフィルフィーと話してたの聞こえちゃったんだけどお……スキルってナニ?ヒカリちゃんもスキル持ちなの?だったら気になるなー……みたいな?」


 えっ!聞こえてたのっ!?結構、離れてたと思うんですけどっ!

 うむむ、聞こえてましたかそーですか。

 なら隠しててもしょうがナイかな?ラーフィアちゃんになら教えても問題無いでしょう!たぶん!

 ただし!股間の『黒光くろびかり』は伏せておきますけどね!


「あの、実はっ!ボクもスキル持ってるんだよ、ラーフィアちゃんっ。でも、このスキルって、自分で制御出来ないっていうか、運任せっていうか……何が出るかわかんないのっ」


「何が出るかわからないスキル、って?」


「お着替えガチャ、って言うんだけど……」

「ふうん?」


「1日3回までの回数限定なんだけどね、右手を振り挙げるとスキル発動して衣装チェンジするんだよ。左手を振り挙げるコトで元に戻るんだけど」


「うんうん、それから?」


「ボーリング中にヘンな衣装になっちゃったら困るでしょ?だからここで1日3回のスキル使い切っちゃった方がいいかな、って」


「そのスキルをヒカリちゃんに与えたのって、もしかして……フィルフィーなの?」


「あの……うん。だからさっき、フィルフィーに相談してたんだよ」

「ふうん……」


 女神がスキルを与える、って知ってるのかー。それって一般人も知ってるのかな?

 まあ、コマカイコトは気しないでおこうかなっ。


「じゃあ、今からスキル使うから」

「うん」


「え、あの……ラーフィアちゃん?」

「うん?なに?」


「外に出ないの?」

「えー?どうして?ヒカリちゃんのスキルってどんなのか見たいなー、みたいな?」


 なぬっ!?どんなのか見たい、ですとっ!?


 うーん……別に構わないのかな?全裸になるワケじゃ無いし。ラーフィアちゃんも『漆黒の翼』見せてくれたしねっ。

 それよりもなによりもっ!

 ラーフィアちゃんの目がっ!期待に溢れる眼差しがっ!俺を逃がしてくれそうにありませんよー!


「えっと……あの、じゃあ、やってみるね?」

「うんうん♡」


 こくこくと頷くラーフィアちゃん!キレイな銀髪がサラサラ揺れてマジでカワイイっ!

 こんなカワイイ娘とトイレの個室で二人きり!

 ムハー!


 イヤ違うっ!

 

 さっさとスキル発動させないとこの場からは逃げられないぞうっ!


「1回目っ!いきますっ!うにゃっ!」


 右手を勢い良く振り挙げる!


 っぽん!

 と、やっぱり子供用シャンパンの栓をを抜いた時のような軽ーい音!

 久々のお着替えガチャで衣装チェンジした俺の姿、それはっ!


 赤ブルマっ!体操服の赤ブルマっ!2回目ですよ赤ブルマ!

 ラーフィアちゃんの反応はっ?


「……ふあうっ!くっ!クラクラするっ!クラクラするよヒカリちゃんっ!」


 ラーフィアちゃんっ!?なんでそんなコーフンしてるのデスカっ!?


「赤ブルマなんて今や絶滅危惧種!ハチマキってゆーのがポイント高いっ!なんて!なんて尊いのヒカリちゃんっ!後ろっ後ろ姿も見せてっ!」


 後ろ姿?まあ別に、っと思って背中を見せてみると。


「お尻っ!プリっとしたお尻っ!赤ブルマのお尻っ!ああもうなんてカワイイのヒカリちゃんっ!」


 お尻っ?俺のお尻に大コーフン!

 なかなかのフェチっぷりですよラーフィアちゃん!イヤ、この姿になりたくてなったワケじゃナイからね!

 赤ブルマはこの辺にしておいて!

 本日2回目のお着替えガチャスキル発動っ!

 右腕を勢い良く振り挙げる!


「つっ!次いくねっ!うにゃあっ!」


 っぽん!


 出ました、これはっ!

 チアガール!お初ですよチアガール!黄色いポンポン付きのチアガール!

 胸には『KUROJO』のプリント入りの黒と黄色のノースリーブ!プリーツのミニスカートとハイソックスはもちろん白!

 まごうコト無きチアガール!

 どーでもイイけど、連続お着替えすると紙吹雪って出ないんだなっ!


「ヒカっ!ヒカリちゃんっ!鼻血出そうっ!なんでそんなにグイグイくるのおおっ!?」


 チアガールの衣装も、ラーフィアちゃんのストライクゾーンをグイグイえぐっちゃってるみたいです!

 両手を頬に当てて目がハートマークになっちゃってマスよラーフィアちゃん!

 イヤこれも俺の意志じゃナイからねっ!

 

「これで最後っ!3回目っ!うにゃあっ!」


 ポンポン持った右腕を、ばさあっと勢い良く振り挙げる!

 っぽぽん!

 うお!これはSレアの音!

 

 そしてチェンジした俺の姿、これはっ!


 騎士の甲冑!重くて一歩も動けない騎士の甲冑再びっ!Sレアの割りには出現率高くないかっ!?


「ヒカっ!ヒカリちゃんっ!面白いっ面白すぎるようっ!あははははははっ!ナニコレっ!ウケるよー!あははははははっ」

 

 ラーフィアちゃんは大爆笑しながら、ガンガン俺をタコ殴りっ!

 音っ!音が兜の中で響いてウルサイんですけどおおっ!ラーフィアちゃあああんっ!

 

「うっ!うごけましぇんっ!」


 ◇ 女子トイレ

    甲冑姿の男の

     動けないまま

      タコ殴り  ◇ ヒカリ

  

「あははっ!あははははははっ!ヒカリちゃんっ!面白ーい!」            

 

 大爆笑しながら、尚もガンガンタコ殴りっ!

 ちょっ!ラーフィアちゃんっ!ラーフィアちゃんっ!?


 ラーフィアちゃあああんっ!

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