ラーフィアのヤバい性癖
「ブラジャーなんて着けなくてもいーじゃんよー」
「天界ならまだしも、地上世界には地上世界のマナーというものがあるのですわっ。ノーブラなんておっぱい丸出しで歩いてるようなもの!なのですわっ」
んっ?試着室のカーテンの向こうから聞き慣れた声がっ。
「あれ?この声って……」
試着室できゃっきゃウフフと上機嫌だったラーフィアちゃんの表情が一瞬にして強ばっちゃった。
「お姉ちゃんと……フィルフィー、だよね?」
「そういえば、二人で買い物するって言ってたね。ライバルって言う割には仲良いよね」
「ライバル?二人が?」
と、小首を傾げ次の瞬間!
しゃっ!と試着室のカーテンを勢いよく開けるラーフィアちゃん!
ちょっ!俺、上半身ブラジャーのみなんですけどっ!?
「お姉ちゃん!」
ラーフィアちゃんの声に振り向いたのは、紛れも無く、制服姿のペリメール様とフィルフィー!
ペリメール様はともかく、フィルフィーはヤンキー使用のセーラー服!その制服で町まで来たのかっ。勇気あるなっ。
「あらっラフィーさん?ヒカリ様も、ってヒカリ様がブラジャーをっ?」
「なーんだよヒカリぃ?
これまた見られたく無い所を、見られたくない二人に見られてしまったものですよ!
ニターリと悪魔の微笑みですよヤンキー女神!
俺はそそくさと試着ブラを外して元のスポブラにチェンジ!
電光石火でシャツと上着を身に着けます!
その間わずか約3秒!
「……久し振りね、フィルフィー」
「誰かと思ったら、ラフィー!おー!『ハナタレガン泣きラフィー』かあ!久しぶりだなー!」
「ちょっとっ!フィルフィーさんっ!そのヘンなあだ名を言ってはいけませぬ!ですわっ!」
「あーん?いーだろ別にー。お前もブラ買いに……って何だよ、まな板じゃん!ヒカリの方がおっぱいおっきいじゃん!ブラ要らねーじゃん!まな板ラフィー!あーははははっ」
大爆笑ですよヤンキー女神!
それでいいのかヤンキー女神!
16歳の絶賛発育中の女子のオパイを指差して笑う女神ってどうなのさ!?
「ハナタレっ……まなっ板っ……です、って……?」
ビキ!
ん?何の音ですかね?
なんか固い物にヒビでも入ったような音。
ふとラーフィアちゃんを見ると。
え!?
「ラっ……ラーフィアちゃん!?」
ラーフィアちゃんの銀色のキレイな髪が総毛立って、アニメとかマンガとか小説とかゲームに出て来る
ユラユラと蠢いて特撮班もビックリですよー!
「『フィルフィー……今、なんて言った……?』」
再びイケボっ!
普段のラーフィアちゃんからは想像出来ないくらいのクールでダンディーな重低音のイケてるボイスっ!
その声、どこから出してるのラーフィアちゃん!?
「あん?『ハナタレガン泣きラフィー』っつったけど?アレ、面白かったよなー!ラフィーの5歳の誕生日だっけか?
酔っ払って寝ぼけたオジサンが『ゾウサンだよー』つって、でっかい『アレ』をぶるんぶるん振り回してさー!みんな大爆笑だったよなー!思い出すだけで笑えるわー!」
「大爆笑してたのはアンタだけでしょーがっ!」
うわ!想像出来る!
おじさんの『アレ』を見せつけられて、わんわん号泣する幼いラーフィアちゃんを指差して大爆笑してる悪ガキフィルフィーの姿が!
あまりにも容易に!
意味がだだ被っちゃうほどに!
ぶるんぶるん振り回すってそんなコトしてたのかオジサンはっ!ヘンタイだなっ!
ラーフィアちゃんを侮辱するなんてサイテーです。サイテーですよヤンキー女神!
俺はっ!今日ほど!
フィルフィーに対しての怒りを!
ラーフィアちゃんの心の傷に粗塩を擦り込むような暴言を吐くヤンキー女神に対しての怒りを!
感じた事は無いのかも知れないような気がする!!
とは言え!
歯向かった所で、フィルフィーに勝てる気がしないのもまた事実!
どうする、俺!
「フィいいルううフィーいいっ!」
え!?ラーフィアちゃんっ!?
髪の毛がっ!ホントの生き物みたいに動き出してますよっ!?コレもしかして『魔王』の片鱗だったりするのかなっ!?
ラーフィアちゃんの怒髪が天を突いちゃってますよー!
「ラフィーさんっ?およしなさいなっですわっ」
「お姉ちゃん邪魔しないでっ!いくらお姉ちゃんでも……フィルフィーの味方するならっ!手加減出来ないよっ!!」
「いくらなんでもお店の中で暴れるのはダメダメ!ですわっラフィーさんっ!ヒカリ様からも何か言ってあげて下さいっ、ですわっ」
え!?そんなコト急に言われてもっ!髪の毛ががゆらゆら蠢くラーフィアちゃんに近付くのコワイんですけどっ?
どうする俺っ!?
ここはっ!とりあえず呼び掛けてみようっ!
「あのっ!おっ、落ち着いてラーフィアちゃんっ!ねっ?お揃いの下着買うんだよねっ?ねっ!一緒に選ぼうよっ!」
俺の言葉に、ピクっ!と反応して、ゆらゆら蠢いてたラーフィアちゃんの髪から怒りのオーラが、すうっと消えていく。
ほっ。
良かったっ。なんとか落ち着いてくれたっ。
「今、確かに言ったよね……?」
んっ?お揃いの下着買うんデスヨネ、ラーフィアちゃんっ?
「パンティーくれるって言ったよねっ?」
「え!?」
「ヒカリちゃんが穿いてるパンティーくれるって言ったよねっ?」
言ってない!パンティーの『パ』の字も言って無いデスヨっ!?
「パンティーくれるって言ったよねっ!?」
必死過ぎるよラーフィアちゃん!
俺に掴みかかりそうな勢いですよ!
ドコからどうしてそんなに思考がぶっ飛びになられましたんデスカっ!?
「ヒカリちゃんのパンティーに免じてここは見逃してあげるわよっ。命拾いしたわねっフィルフィー!」
びし!と凛々しくフィルフィーを指差すラーフィアちゃん!
でもちょっと待ってっ!
俺のおパンツに免じてって!俺のおパンツ、ラーフィアちゃんの手に渡るコト確定してるのっ!?
「みんな仲良く穏便に、ですわっ。フィルフィーさんもオトナげ無いですわよっですわっ」
「ああん?一緒にブラジャーとパンツ買いに来てる時点でガキだろー?そんなもんくらい一人で買いに来いっての!」
なんて正論をかざすんですかヤンキー女神っ。
だが、ここはっ!
フィルフィーにガツンと言ってやってもいい場面!
「ガキって言うわりには、フィルフィーだってペリメール様と一緒に買いに来てるじゃんっ!」
精一杯の反抗!これが俺の限界値!
言うやいなや、ささっとラーフィアちゃんの後ろに隠れる俺!
しっとり艶やかで流れるような銀髪が俺の目の前にっ。ラーフィアちゃんの後ろ姿は、ワンサイズ小さいペリメール様みたいですよ!
「ああん?ついでだよ、ついで!ペリ子とボーリング勝負しに来たついでになっ!」
ささやかに歯向かう俺に怒るかと思いきや。
へー。ボーリングかあ。
二人の女神によるボーリング対決!
ちょっと見たいかも!
「ボーリングのついでに下着買いに来るなんて、それもうデートじゃない。ねえヒカリちゃん。ヒカリちゃんもそう思わない?」
「えっ、うん、まあ……そうだよね」
「ででででででででででっ、デートっっ!?私とフィルフィーしゃんがっ、でででででででででデートって!?」
狼狽えすぎですよ、ペリメール様っ。ほんのり顔を赤らめて恋する乙女の様ですよ!
……ん?
イヤ、まさかねっ。
「お姉ちゃん、どんなの買うの?エッチなやつ?」
イタズラっぽくペリメール様を覗き込むラーフィアちゃん。
よっぽど俺のおパンツに抑止力があったのか、ラーフィアちゃんのお怒りモードは消えてます。
てゆーか、どうしてもおパンツは渡さなきゃいけないんデスカネっ?
「スケスケのならあっちのコーナーだよっ?」
「ちっ、違いますですわっラフィーさんっ。最近また大きくなったから買い換えですわっ」
「今まで女神ってた時はプラプラさせててラクだったんだけどなー。ペリ子が着けろ着けろってウルサクってよー」
女神ってたって軽く言うよね、フィルフィーは。そんなコトより、今聞き流すトコだったけど!
ペリメール様のオパイが大きくなってる、ですとっ!?
あの、たわわでふわわでぷるぷるなオパイが成長中っ!
マジですかそーですか。
ん?ラーフィアちゃんはペリメール様のオパイをガン見しながらフリーズっ?
「ペリ子は、まな板ラフィーにちょっと分けてやった方がいーんじゃねーのかあ?」
「フィルフィーさんっ!ヘンなあだ名で呼ぶのはおよしなさいなっ!ですわっ!」
「まなっ、板っ……ですってっ……!?」
「だってヒカリの方がおっぱいおっきいじゃん!なあヒカリ!」
「えっ!?あのっ!ラーフィアちゃんは成長期だから!これから成長するから!ねっ!そうですよねっペリメール様っ!」
「そっ!そうですわっ!これから!これからですわラフィーさんっ!どんまいですわっ!」
「ちなみにペリ子は15歳の時、トップ85センチだったよな」
「えっ!?どうしてそれをっ!?」
「あたしと同じだったからなー。
「えっ!?一生っ!?」
「甘じょっぱい青春の思い出ってヤツだ!」
それを言うなら『甘酸っぱい』ですよヤンキー女神。
そーですかフィルフィーとペリメール様は15歳にして85センチもあったんですか。
ラーフィアちゃんはフィルフィーが言った『15歳で85センチ』の辺りからフリーズ中ですよ。
解凍時間は短いみたいだけど、あんまりフリーズするとクラッシュしちゃいますよラーフィアちゃん!
「あたしとペリ子は身体のサイズ同じだし、着回し出来て便利だよなー。一着二鳥!ってヤツだな」
「服ならともかく、下着の着回しなんてよろしくありませんわっ、ですわっ」
「あー?なんでだよ?あたしはペリ子のなら全然OKだぞー?」
「えっ!?」
「お揃いのブラパン買えば同じコトだろー?」
「おおおおおおおおおお揃いのっ!下着をっ!?」
「お姉ちゃん達、もうケッコンしちゃえばいいのにねっ」
フリーズから解凍した途端に何を言い出すんデスカネ、ラーフィアちゃん!
「けけけけけけけけけけけけっケッコン!?」
ペリメール様は、それはもうあからさまに動揺してますよ。
なんでそんなに狼狽えるんですかペリメール様っ!?
耳まで真っ赤になって……あれ?でもなんか嬉しそうなカンジ?
イヤ、そんな。まさか……ねえ?
「ラララっ、ラフィーしゃんはお買い物は済んだのでしゅかっ?ですわっ」
と、話を逸らすようにしてラーフィアちゃんに問いかけるペリメール様。
冷静なフリしてるけど動揺は隠し切れてませんよっ!
「これからお揃いの下着買うんだよっ♪ねー?ヒカリちゃんっ♪」
と小首を傾げて俺を覗き込むラーフィアちゃん!
KAWAEEEEっ!
マンガとかアニメとかギャルゲとかエロゲとかにしか存在しないと思ってた仕草を!ラーフィアちゃんはことごとく3次元でやってのけちゃってくれますよ!
言ってるコトはちょっとアレですけどもね!
「ほーう?ヒカリとお揃いのブラパンねえ?」
ニヤニヤと悪魔の薄ら笑いですよヤンキー女神!
「お姉ちゃんとフィルフィーもお揃いの買うんでしょっ!?だったらここからは別行動!二人のジャマはしないから、フィルフィーも私達のジャマしないでよねっ!」
「へいへい。つーか、なーんで名指しであたしなんだよっ」
「じゃあ、もう一回、ねっ♪ヒカリちゃんっ♪」
フィルフィーの文句は無視して、しゃっ!とカーテンを閉めるラーフィアちゃん!
に、逃げられなかった……かっ。
再び試着室という密室で二人きりの時間となって、ラーフィアちゃんは上機嫌ですよー!
てなワケで。
二人で選んだお揃いのブラパンは、サイズ違いの薄いピンクと白のストライプ模様。
人生初の彼女との、人生初のお揃いの品がっ!
ブラジャーとおパンツですよ!
しかもっ!彼女からのプレゼントというカタチでっ!
クズ街道まっしぐらな男の
ぬおおおおっ!
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