ラーフィアの日記

 今日、ステキな出会いがあった。


 職員室からの帰りに廊下の曲がり角で編入した一年生とぶつかっちゃって、その娘が持ってたプリントばらまいて、ってナニこのラブコメ展開?って思ったら!


 わたしの目の前に尻もちついて転んでたのはぐるぐるメガネ、膝下スカートのだっさい地味子ジミコ


 でもでも。


 ずり落ちたぐるぐるメガネからちらっと覗いたのは、ぱっちりした目と綺麗な睫毛。

 恥ずかしそうに乱れたスカートをささっと直すその姿にキュンときて。


 わたしの本能が囁いた。


 この娘は宝の原石だと。


 メガネが壊れてないか確認してみて。

 と、我ながら巧みに、ごく自然にメガネを外させてみたら……


 わたしの本能の囁きに間違いは無かった。


 ぐるぐるメガネのダっっサい地味子ジミコかと思ったら!


 超!超絶美少女!宝の原石なんてもんじゃない!

 瞳なんてうるうるのキラキラ!

 鼻筋の横にうっすらとそばかす、が私には直球ど真ん中!なんですけど!


 しかもっ!ボクっ!!


 一目惚れなんてこの世に存在しないって思ってたのは間違いだった。


 決めた。


 絶対、わたしのカノジョにするんだっ!


 その子の名前は、コウダヒカリちゃん。


 ヒカリちゃん。ヒカリちゃん♡


 ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん。ヒカリちゃん!ヒカリちゃん!ヒカリちゃん!!ヒカリちゃん!ヒカリちゃん!!ヒカリちゃん!!ヒカリちゃん!!

 

 コウダヒカリちゃん♡♡


 上目遣いでニッコリ微笑み返してくれた瞬間に、わたしのココロはあの娘の虜になった。


 こんな気持ち……初めてだよ、ヒカリちゃん。

 

 少しだったけど手と手が触れた時に、わたしの身体が熱くなっていくのがわかった。


 もっと、ヒカリちゃんの手に触れたい。


 ふわふわの柔らかそうな髪に触れたい。


 手を繋いで歩きたい。


 腕を組んで歩きたい。


 ぷにっとしたほっぺに、ぷるんとした唇にキスしたい。


 その先だって、そのずっと先だって……


 キモチいいコト、いっぱいいっぱいしたい!!してあげたい!!してほしい!!


 チラッと見えたカワイイ下着パンティー


 欲しい……


 穿きたい。被ってみたい。


 残り香を思い切り吸い込みたい!


 肺胞の隅々までヒカリちゃんの香りで満たしたい!


 ◇ ヒカリちゃん♡

    ああヒカリちゃん♡♡

     ヒカリちゃん♡♡♡  ◇


 決めた。


 一週間以内に、わたしはヒカリちゃんとキスをする。


 わたしは『やる』と決めた事はやる女だ。


 初志貫徹。


 この命を賭けてでも!


 わたしは!ヒカリちゃんと結ばれる!


 たとえ同士でも!


 いや!同性同士


 愛は全てを凌駕するんだから!


 あんな超絶美少女、絶対、誰にも渡さない!


 特に!特に特に!!男なんかに……ゲスで下劣で性欲と淫欲しか無い下等なオスなんかには、絶対に!!


 汚させやしないんだから!!


 ヒカリちゃん……あなたの全てが欲しい……


 ココロも……カラダも……


 わたしの全てをあげるから……


 ココロも……カラダも……


 ヒカリちゃんも『こっち側』だといいな……


 明日、ランチに誘ってみようかな。


 ああ、明日が待ち遠しい……ヒカリちゃんに会いたい!


 早く会いたい!


 今夜は、ヒカリちゃんのコトを想いながらベッドに入ろう。

 

 立ち上がらせてあげた時に少しだけヒカリちゃんに触れた右手で、この火照った身体を落ち着かせよう。


 ヒカリちゃん!


 ヒカリちゃん!


 ヒカリちゃん!!


「……ヒカリちゃんっ♡……あっ♡」


           ◇


 うわ!?なんか今、ゾクッとした!?


 なんだろう?風邪かな?


「……ヒカリ様?どうしました?」


 隣のベッドで寝ていたペリメール様が身体を起こして、心配そうに俺を見つめてくれていた。

 二段ベッドの上の段で寝てるフィルフィーからはすうすうと安らかな寝息が聞こえる。

 寝てる時ホントに静かなヤツですよ。


「寝付けないのですか?」


 ペリメール様のうっすいスケスケネグリジェからこぼれ落ちそうなオパイが、薄明かりに照らされてめちゃめちゃキレイですよ!

 お年頃の男子には刺激的過ぎますよー!

 でも、大事な所は『謎の光』で隠れてます。なんか眩しく無いのは、光度調節できるってコトかなっ?


「あ、いえ、ちょっと悪寒がして」


「まあ!いけませんですわヒカリ様!お身体を冷やしてしまっては、お風邪を召してしまいますわっ」


 そう言うとペリメール様がムクリとベッドから起き上がり。


「失礼いたしますですわ」


 えっ?ちょっとっ!?


 ペリメール様っ!?


 俺のベッドに入って来ましたよ!?


「私の体温でよろしければ温めて差し上げますですわ」


「えっ!?」


 ペリメール様は、たじろぎうろたえる俺を長くてしなやかな腕できゅっと抱き寄せてくれた。

 ペリメール様は俺の事を男として見てないな?めちゃめちゃ無防備だし、何のためらいも無く抱きしめてくれるし。

 その割には、風呂場でチラチラと黒光りのコヒカリ君見てたような……


「クラスのご学友とはいかがでしたか?仲良くなれそうですか?」


「あ、そうですね。たぶん……大丈夫です」


「たぶん、ですか?不安なコトも多いかもしれませんけれど……私で良ければ、なんでも話して下さいね?」


 静かに、諭すように、小さい子供をあやすように語りかけてくれるペリメール様。


 ペリメール様は温かくて柔らかくて、イイ匂いがして。

 なんだろう、このふわっと何かに包まれてる感じ……スゴく安心する。

 これも女神の力の一つなんだろうか。


 とくん、とくん、と聞こえるのはペリメール様の心臓の音……?

 それとも、俺のかな?


「いかがですか?これが『女神の癒し』の力です」


「すごく、心が安らぐ感じがします……あの、ペリメール様はどうして女神になろうって思ったんですか?」


「私の理由なんて単純明快ですわっ。困っている人々の力になりたい!こんな私でも出来る事はある筈!と思ったからですわっ」


 熱く語って、きゅ!と腕に力を入れるもんだから、ペリメール様のプルふわのオパイに埋まりましたよ、俺の顔!

 至福です!


「この学校で女神を志す者であれば誰しもが、何かしらの『夢』や『希望』を心に抱いていると思いますですわっ。勇者や魔王を目指す人達だって、大なり小なり『夢』を持っているのではないでしょうか、ですわっ」


 うーん『夢』ですか。まあ、そう言われれば……でも俺の夢は『ムフフでアハンなハーレム勇者』ですよ?

 ……なんか急に恥ずかしくなってきたっ!


「こんなボクでも、勇者になれますかね……?」


「うふふっ。ヒカリ様はカワイイですね」


 むう。カワイイとか言ってくれちゃってますけどもペリメール様っ!

 下半身の『コヒカリ君』が『おっ!?ヒカリ君!?』になりそうになってるんですからねっ!

 今は、なんか柔らかな温もりの影響でムラムラとエッチな気持ちにはなりませんけども!

 男はオオカミなんですよペリメール様っ!

 今はトイプードルとかチワワでもっ!ガオー!とオオカミになっちゃうんですよー!


「よしよし、ですわっ」


 ああそんな、アタマなでなでされたら、ほっこり気分でふにゃふにゃですよ色んな意味でえ。


「今はザコでヘタレでも、ヒカリ様はきっと、勇者の名に相応しいお方になると信じておりますですわっ」


 おいっ!ペリメール様っ!?

 ザコでヘタレって!まあ、否定は出来ませんけれども!


「共に頑張りましょうね、ですわっ」


 イヤらしい気持ちなんて何処かに消え去るくらいの優しい声と柔らかな笑顔。

 ペリメール様の『女神の癒し』の温もりが俺を包み込み、緩やかに眠くなってきた。


 そう言えば。


 フィルフィーは、なんで女神になろうって思ったんだろ……?


 そう考えてからペリメール様に聞いてみようかなって思うまでに。


 女神様の温もりと優しさに包まれて。


 俺は深い眠りに落ちた。

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