ウフフでムフフな入浴タイム!?

 無事に一日が終わり、寮に戻ってホッと一息。

 だがしかし!まだ残ってましたよ俺にとっての恐怖のイベントが!


 夕食?ノンノンですよ!

 楽しく美味しくいただきましたよ熱々の肉汁たっぷりハンバーグでした!

 ペリメール様もフィルフィーも美味しそうに食べてましたよ!フィルフィーなんて御飯のおかわり3杯もしたからね!あのバカヂカラの源はやっぱり御飯なのかな?


 あんなに食べるのにナイスバディなのは、周りの寮生からのヒンシュクを買うのでは?

 

 いや、フィルフィーの大飯食らいはどうでもよくて。

 俺が怖れるイベント……それはっ!


 戦慄の!お風呂タイム!

 本来ならばうら若き乙女達のスベスベの裸体に囲まれてムハー!ってなもんだったんだけど、それは『イケメン勇者』になってた場合のハナシですよ!


 入浴時間は19時から21時の間。

 人の少ない時間帯を狙うか、あえて『木を隠すには森の中作戦』をとるか。人数多ければこっそり目立たずっていけそうでしょ?

 だけど森の中作戦をチョイスした場合、もし『コヒカリ君』が発見されしまったら?黒光りを放つコヒカリ君が暴れだしてしまったら?


 うむむ。そう言えば『常に最悪の事態を想定せよ』って、ネトゲにあった異星間戦争ゲームのマッサ大佐が言ってたな。

 なんか有名な格言みたいだけど、俺が見たのはネトゲでした。

 ちなみにマッサ大佐は異星人です。


 入浴タイムでの最悪の事態とは!


 やっぱ、コヒカリ君が発見されて俺が男だってバレるコトだよなー。この寮から叩き出されても行く所が無いし、異世界で路頭に迷う事になっちゃいますよ、体力測定ザコレベルの男のが!


 とりあえず、何時に入浴時間を設定するかを考察してみようじゃないですか。

 夕食直後の19時から19時30分の間が混み合う時間帯なのでは?メシ食って直ぐに風呂は無いかな?

 やっぱ、20時が危険な時間帯か?21時ギリギリ10分前とかはイヤだしなあ。

 20時30分。この辺がベストチョイスなのでは?うむ。

 脱衣場で『黒光くろびかり』を目撃された場合、どう言おうか?素直に『スキルです』って言えば納得してくれるんだろうか?


 うむむむむ……


 なーんてういう俺の妄想と心配なんて、全くの稀有でした。


 何故ならば!

 まず。お風呂場が大きい!

 寮生23人しかいないんだからもっと狭いのかと思ってたんだけど、湯船なんて10人は余裕で入れる大きさですよ!

 なんかの魔法が施されてて、湯船のお湯は常にクリーンで使い捨てる事は無いんだとか。

 なんてエコなんですか異世界のお風呂!


 カラン+シャワーは8基。隣の人にシャンプーの泡とか飛び散るのを気にしないですむくらいに間隔が広い。

 そして入浴時間!回転率が良くてみんな慣れたものですよ。

 俺が入る頃には寮生全員お風呂タイムは終了です。したらば、各々の寛ぎと勉強の時間ですよ。


 ってコトは。

 貸し切りですよ!いきなりの!


 うーん。ラッキーですけどね!乙女達のアハハでウフフな入浴シーンが見られなかったのは残念です!

 イヤ違うっ!見た目は女の子な事を良いことにうら若き乙女達の裸体を鑑賞しようだなんて思ってないんだからねっ!


 これならゆったり入れます!元々、長風呂はしないから、こそこそする必要は無さそうですよー!

 

 ホッと一息つけるかと思いきや!


「おっ肌も~♪アッタマも~♪ぴ~いっかぴか~♪っとくらあっ!てなもんでい!」


 変な歌と共に脱衣室に現れましたよ、江戸っ子女神フィルフィーマート!


「よお、ヒカリぃ。今からかあ?一緒に入ろうぜー♪おっ?貸し切りじゃん!らっきー♪」


 なぬっ!?

 一緒に入ろう、だとっ?


 なんだかご機嫌みたいだけど、俺には不安しか無いっ。ここは平常心でやり過ごすのだ!

 が、しかし!


「あらよっと」


 どんな仕掛けなんだか、すぱあっ!と、俺の目の前で一瞬にして全裸になるフィルフィー!

 産まれたままの一糸まとわぬ、イヤ、大事なトコロは『謎の光』で隠れてはいるもののすっぽんぽんのポン!ですよ!

 なんでそんな恥ずかしげも無く脱げるの?女神ってそーゆーもんなのっ?


「なんだよヒカリぃ。脱がねーのかあ?コヒカリ君が心配なんだろー?」


「えっ!?そんなコトはっ」


 人がたくさんいたらどうしようとか、コヒカリ君がバレちゃったらどうしようとか思ってたのは確かな事実。

 なんだか妙なトコロで察しがいいなフィルフィーはっ。


「股間の大事なトコロは光るんだから心配すんなって!言ったろー?これなら女湯だって入れるぜ!てさー。誰もいねーんだから入るぞ、オラっ!」


「えっ!ちょっ!自分で脱ぐからっ!おパンツ引っ張っちゃダメっ!」


 下に脱がそうとするならまだしも、なんで上に引っ張りあげるかなっ?食い込んじゃうでしょ、色んなトコロに!


「やめてってばあっ!」

 びりぃっ!


「あ」


 なんてコトをしてくれちゃってるんですかヤンキー女神!おパンツズタボロに破けちゃいましたよっ。

 2枚目!フィルフィーの手で天に召される俺のおパンツは、これで2枚目っ!

 ……おパンツに合掌。


           ◇


 浴室に入ってまずは身体を洗う。次に湯船に浸かって身体を温め、最後に洗髪。あがり湯はぬるめのシャワー。これが俺の入浴ルーティン。

 いつもと違うのは、たとえヤンキーとは言えナイスバディのキレイなお姉さんが一緒に風呂にいる!ってコト。

 ひっひっふうう。

 ひっひっふうう。

 穏便に穏便にい。おとなしくしようねコヒカリ君っ。


「ヒカリぃ、どうだったよ、オンナだらけの教室はよー?ったか?」


「なんてコトを言うかな、もー。フィルフィーはっ」


「女の子だらけの中に男の。ある意味ハーレム!なんだろー?ヨリドリミドリじゃねーのかあ?」


 と、言いながらフィルフィーがするるっと、身体を洗う俺の背後に回り。

 うわ!俺の背中にふわわなオパイを押し付けてっ!俺のささやかなオパイを鷲掴みですよっ!なんてコトしてくれちゃってるんですかあっ!


「フィフィフィっフィルフィーっ!ちょ!やめてえっ!あんっ!」


 胸の先っちょつままれたっ!なんか変な声出た!なんだこれ!


「ヒカリはウエスト細くてアンダーバストが小さいからなー。なかなかいいおっぱいしてるじゃん!」


 あんだーばすと、ってナニ!?下乳したちちっ?ってゆーかオパイモミモミするにゃああ。

 身悶えして抵抗してはみるものの、胸の先っちょつままれてたら、なんだかチカラが入らない!


「コヒカリ君触らせろっ!ふにふにしてておもしれえ感触だからなー」


「なっ!えっ!?ちょ!!フィルフィーっ!?」


 すらりと伸びるフィルフィーの長い手指が俺の『コヒカリ君』をがっちりキャッチですよ!


 うわ!腕力強すぎて抵抗出来ない!

 俺は昼間の体力測定の光景を思い出した。

 フィルフィーは握力計を破壊するほどのバカヂカラだってコトを。

 むやみに抵抗しようものならっ!

 ツブされる……『コヒカリ君』どころか『股間の双子ツインズ』までも握り潰されてしまうっ!

 うわ!どうする俺っ!


 これっ!マジでヤバイですよー!


「なんだよヒカリぃ。抵抗しねーのかあ?」


 ニターリと悪魔の微笑みを浮かべるハレンチ女神っ!

 ナニしてくれちゃってるんですかっ!


 でも!

 あっ!あれっ!?

 されるがままも悪くないっ!?


 なんて思ってたらば!


「フィフィフィフィっ!フィルフィーしゃあああん!ナニをしてるんでしゅかああっ!ですわあっ!」

 ばちーん!

「ぶあっ!?」


 どぼーん!


 後から入ってきたペリメール様の平手打ちでの口封じが炸裂!フィルフィーは吹っ飛んで湯船に頭からダイブですよ!


 スマッシュ!これはもうスマッシュレベル!

 俺は名付けますよ、ペリメール様のこの技に!

『ペリメールスマッシュ!』とね!


「ぷあっ!げほげほっ!ナニしやがんでいペリ子っ!湯船のお湯飲んじゃったじゃねーかっ!」


 たっ、助かった……なんとか貞操は守られましたよ、だがしかし!

 ちょっと残念です!ちょっと!ちょっとだけなんだからねっ!


「まったくっ!ハレンチ極まり無しですわっ!ヒカリ様っ。ご無事ですかっ?ですわっ」


「あ、ハイっ。にゃんとかっ」


 とは言ったもののっ!ペリメール様も『謎の光』で大事なトコロは隠れてはいるもののすっぽんぽんのポン!ですよ!

 目のやり場に困りますよー!

 

「なんだよ、そんなコト言ってペリ子もヒカリの『コヒカリ君』に興味津々じゃねーのかあ?」


「えっ!?そんなコトあるハズがござりませぬですわっ!」


「って割にはチラチラ見てるよなあ?」

「それはっ!ご立派な黒光りだからですわっ」


 おいっ。ペリメール様っ!

 ご立派な黒光りって捉えようによってはめっちゃヒワイな言い方ですからねっ。


「初日の朝から晩まで騒ぎたてるなんて、大人げないコト極まり無しですわっ!」


「チッ。わーったよもー。つまんねーなあ」


 割りと本気でご立腹のペリメール様にぶつぶつ文句言いながらも、フィルフィーは大人しく髪を洗い始めた。


 ひとまず、ホッ。ペリメール様に感謝ですよ。

 でも、もし、ペリメール様が入って来なかったらどうなってたんだろ……?

 はー。初日からコレかあ。


 先が思いやられますよ!

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