ふわっと動き出す!俺の物語!

洗礼!からの!出会い!

 そこの角をキュッと曲がって、真っ直ぐシュって行ってドーンと当たったとこが職員室って言ってたけど。


 このプリント用紙、ふにゃふにゃで持ちにくい!安い紙使ってるな?わら半紙か?

 なんて思ってたら!


「きゃっ!?」


 角をキュッと曲がった途端に、どん、と何かにぶつかって、どてっと尻もち付いちゃったよ、俺。

 当然、プリントはバサバサとぶちまけです。


「あいたたた……やぁっ!?」


 うわ!俺っ!おパンツと太もも丸出しでスカートめくれてるっ!?

 俺はめくれたスカートを即効で直しましたよ!『コヒカリ君』がコンニチワしないようにね!

 いくらおパンツ穿いてても、やっぱり気になりますからねっ。

 通常、相手の娘がすってんころりんして、お股おっぴろげ!的なシチュになるんだけれども!

 おパンツ丸見えは俺の方でした。


 一瞬、ポヨンとした感触があったんだけど、あれってもしかしてもしかするとっ!?

 ラッキー的な?しゅけべ的なヤツなのではっ?

 こんなシチュに出くわすコトがホントにあるんだなっ。

 驚きです!


「ごめんなさいっ!大丈夫?」


 先に声をかけてきたのはぶつかった相手の子だった。ネクタイの色は青と群青のストライプ。って事は2年生だ。


「あっ、ボクの方こそっ!スミマセンでしたっ!」


「……ボク?あなた、見かけない顔ね。編入生が三人いるって聞いたけど、その内の一人かな?」


 俺の事を知らないってコトは、全校集会の時には俺の姿が見えなかったみたいだな。

 俺、ちっこいですからね!


「あ、はいっ。ボク、コウダヒカリって言います。よろしくお願いしますっ」


「ごめんね、痛かった?」


 と、ぶつかっちゃった子が手を差し伸べてくれましたよ。

 女の子の手に触れるなんて何年振りだろ?中学の時のフォークダンス以来かな?

 あの時だって触れるか触れないかのビミョーなカンジだったから、こんな風にまともに手に触るなんて初めてかも。


 それにしてもっ!


 うわーカワイイ娘ですよー。


 立ち上がると俺より頭半分くらい背が高い。

 俺がちょっと見上げる感じの身長差だ。

 ペリメール様によく似た、腰まであるサラサラの長い銀色の髪は流れる水のようですよ。

 うっすらと青みががってるのがまたステキです!

 ちょっとつり目の切れ長な瞳の色はオーシャンブルーで、睫毛なんてツヤッツヤ。

 キメ細やかな白い肌、頬はうっすらとピンク色の、すらりとスレンダーなめっちゃめちゃ美少女!


「私はラーフィア。ラーフィア=リンデル。魔王育成コースの2年生だよ」


 え!?


 魔王育成コース!?


 こんな可愛い娘が!?なんで!?すんごく女神っぽいのに!


「えっと……ヒカリちゃん、て呼んでいいかな?」


「あ、はいっ。モチロンです!リンデルさん!」


「ラーフィアでいいわよ?」


「え、でも、センパイですから……」


「この学校では先輩後輩って、あまり関係ないの。実力と学力があれば飛び級だって出来るんだから。私は2年生って言ったけど、年齢的にはヒカリちゃんと同じだよ?」


 へー。そうなのか。賢い子は飛べるんだな。

 俺には無縁な話だなー。

 

「ごめんね、痛かったでしょ?あっ、メガネ壊れてないか確認してみてくれない?」


 おおー、優しい気配りの出来るいい娘ですよラーフィアさん。

 俺はぐるぐるメガネを外して確認してみたけど、全然大丈夫でした。

 ぱっと顔をあげてニコッと微笑み返します。

 笑顔は大事ですからね!


「あ、ダイジョブみたいですっ」


「………っ!」


「ん?あの、ラーフィアさん?」


「え、っ、あっ、ごめんなさいっ、ちょっとクラっとしちゃってっ」


「えっ?大丈夫ですかっ?」


 と、ちょっとだけ覗き込むと。


「あっ、そんなにっ、近……っ」


 なんだかあたふたしてますよラーフィアさん。どしたのかな?


「あのっ、あの、ね?知り合ったのも何かの縁だから、ねっ?ヒカリちゃんとお友達になりたいなっ」


「えっ?」


 何ですかこの展開はっ!こんな美少女からオトモダチ申請っ?


「ダメ、かなあ?」


 少し首を傾けて甘えるような表情で言うラーフィアさん!


 KAWAEEEE!


 断る理由が見つからないっ!イヤ、本当はっ!男とバレてはいけないこの俺がトモダチなんて作っていいのかっ!?

 ダメなのではっ!?

 フィルフィーとペリメール様以外信用してはいけないのではっ!?

 フィルフィーですら怪しいけども!


「あの……ヒカリちゃん?」


「はいっ!あのっ!えっとっ!コチラコソっよろしくお願いしますっ!」


 ラーフィアさんのキラキラの瞳に魅せられてお願いします!って言っちゃったっ。


「良かったあ!これからよろしくね、ヒカリちゃん!」


 ラーフィアさんはにっこり微笑んで俺の手を握ってくれた。

 はわー。ほんっとにカワイイよ、この娘。


「はいっ。よろしくお願いしますね、ラーフィアさんっ」


「ちゃん、でいいんだよ?ヒカリちゃん」


「あ、じゃあ……ラーフィアちゃん?」


「うん!ヒカリちゃん!あ、このプリント職員室持ってくんでしょ?手伝うよ!」


「あ、うん。ありがとう!」


 散らばったプリントを拾い集めて職員室へ。 

 めっちゃカワイイ女の子と並んで歩いてますよ、俺!ムハー!

 

 職員室に入り、目にした担任の教師はなんと!

 エフレフさんじゃないですかっ。サトナカ先生って、姓で言われたから解らなかったんだな。


「あー、ご苦労ご苦労。そう言えばヒカリには私が担任だって言って無かったな。これからヨロシクな」


「あ、ハイっ!エフレフ先生っ」


「学校ではサトナカと呼んでくれ」


「あ、ハイっ!サトナカ先生っ」


 学校と寮とで呼び方変えるのはちょいややこしいな。寮母さんで担任かー。大変そうだな。人手不足なのかな?


          ◇


 プリントを渡し終えて、ラーフィアちゃんと会話をしながら教室へ戻る。

 歩きながら女子とお喋り。しかも銀髪美少女ですよ!

 職員室へのパシリ、といった洗礼を授けてくれたタナカさんに感謝ですよ!

 それが無ければ、ラーフィアちゃんとこんな風に会話出来ませんでしたからねっ。

 

「ヒカリちゃんは寮に入ってるんだね。どんな感じなの?」


「まだ初日だからわからない事が多いかなあ。ユリユリ寮の3人部屋だよ。狭いけど賑やかで楽しいよ?」


「ふーん。ユリユリ寮って、厳しいって有名なんだよー?サトナカ先生が寮母さんなんだよね。3人かあ。楽しそうでいいね。ルームメイトはどんな人?」


「ペリメール様っていうキレイな女神様と、あと、さっきの全校集会で見たと思うけど……フィルフィーマートっていうヤンキーみたいな女神の3人だよ」


「えっ?お姉ちゃんとフィルフィー?」


「え、お姉ちゃん?フィルフィー、って……」


「ペリメールお姉ちゃんは、私の従姉妹なの。フィルフィーは……アイツは……一応、幼馴染みになるのかな?」


「えっ?ペリメール様の従姉妹なのっ?」


 これはっ!なんたる偶然!あるんですかあるんですねこんな事がっ。アニメとかマンガとかゲームとか小説とかWeb小説とかでよくある話かもしれないけども!


「わたしのお母さんとペリメールお姉ちゃんのお母さんて、双子の姉妹なの。だからわたしとお姉ちゃんてよく姉妹と間違われるのよ」


「ああ!髪の色とか、すらっとしてる所とか雰囲気が似てるかも!」


「胸はお姉ちゃんの方がめっちゃ大きいんだけどね」


「えっ、あ、あはは」


 聞いて無いし聞けないコトを、さらっと言ってはくれましたけれどもラーフィアちゃん!


 俺はどんな顔をすればいいのかなっ?


 ここはっ!笑って誤魔化すしか無いヤツですよ!ラーフィアちゃんはスレンダーだけど、ペリメール様に比べたらオパイはかなりおしとやかです。

 触れてはイケナイ話題のような気がします!

 比べてはイケナイ案件です!


「あははってナニ?」


 えっ。ラーフィアちゃんご立腹!?怒らせちゃったっ!?


「いーの。わたしだって、おっきくなる予定なのっ」

 

 ちょっと拗ねた感じで、プクーと右のほっぺを膨らませるラーフィアちゃん。


 KAWAEEEE!


 なんですかこんなカワイイ生物ってこの世にいたんですねアニメとかマンガとかゲームとか小説の挿し絵とかの中だけかと思ってた俺が浅はか過ぎてこっぱずかしいですよー!


 なんだか、これからの学校生活が楽しくなりそうな出会いですよ!

 

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