ここから始まる!
三人横並びで寮に向かって歩きつつ。
俺は、ぷるぷる揺れるペリメール様の
「そんなにペリ子のおっぱいが
ニターリと悪魔の笑みですよヤンキー女神っ。
「え!?イヤそんなっ」
「フィルフィーさん!人をからかうものではありませんですわよっ」
「へいへーい」
なんて喋りながら、校庭を後に辿り着いた俺達の生活拠点。
その名も!
『ユリユリ寮』って……まんまのネーミングじゃないですかっ!?
ここで夜な夜なうら若きオトメ達のめくるめく百合の花園的なアレが……っ!
ウフフでアハンなお姉さまと妹達の妖艶な宴が……っ!!
でもそれは俺の妄想にしか過ぎなくて、現実はあまりにも現実的でした。
寮母さん、めっちゃ厳しそう。
「私の名前はエフレフ。神様から話は聞いている。たとえ女神であろうとこの寮に入る限り、ここのルールに従ってもらう」
神様からの事前連絡があるなんて、さすが異世界!
寮母のエフレフさん。30歳くらいかな?
日曜なのにビシッとスーツ。タイトスカートが良く似合う長身の黒髪美人。
髪もきちんとアップに結ってあるけど、ほどいたら結構長そう。
両端がつり上がったメガネのせいもあってか、ちょっとキツい印象を受けるのがもったいないような気がする。
ゴスロリメイドの俺とほぼ全裸の女神二人を見ても眉一つ動かさない。
クールビューティーって言葉より、何て言うか、女王様感の方が強いような……
「ここは男子禁制だ。もし男を連れ込むような事が発覚したらその時は……」
ここで言葉を切って俺達をじろりと見やり。
「男も女も全裸にひん剥いて逆さ吊りにして晒す」
マジですか晒されるんですか男女とも!?
しかも逆さ吊り!えっ!?神様、俺の事は言ってあるのかなっ?
俺、見た目女の子だけど『コヒカリ君』が付いてるんですけど!?
男の
背中にじょんじょろりんと冷や汗がっ!
ペリメール様は何処からか取り出したメモ帳に言われた事や注意する事をサラサラとメモってる。
フィルフィーはというと。
チラッと見てみる。
あー……やっぱり。つまんなそうな顔ですよ。
今にも欠伸でも出そうな顔してます。
でも。
何かを
この寮母さん、さっきからにこりともしないし、どちらかと言えばご機嫌ナナメみたいだ。
抑揚の無い声で淡々と説明してくんだもんなー。
絶対的威圧感、とでも言えばいいのかな?
そんなオーラがにじみ出てます。
現在、寮には1年生が10人、2年生が5人、3年生が5人の計20名。
俺達が加わって23名。こぢんまりしててイイじゃないですか?
仲良くやっていけるだろうか?
俺が男だってバレたらどうなるんだろうか?
簀巻きにされて『コヒカリ君』だけ晒されて木の棒で突っつかれたり、
不安しかない……
逆に!ハーレム展開とか?
お風呂でうら若き乙女達がきゃっきゃきゃっきゃ言いながら!
「○○ちゃんのおっぱい、おっき~い♡」
「やだ○○ちゃん、やめてええっ、あんっ♡」
「ヒカリ君も一緒に洗いっこしよっ♡」
「え!?ヒカリ君の『コヒカリ君』が大暴れっ♡」
的な展開があああっ!ムハー!いいっしょ?いいっしょ?
「一度しか言わないからよく聞いておけ」
寮母さんの冷静沈着な声で、俺の妄想はブチ破られました。
「朝は6時起床、朝食は6時30分から7時の間。7時30分には登校してもらう。
昼食は寮から弁当が出るが不要な者は事前に申し出る事。
夕食は18時から19時の間。夕食が不要な者は事前に申し出る事。
土日の食事が出るのは朝食のみ。
入浴時間は毎日19時から21時の間。夜は22時に消灯。23時には就寝する事。
門限は20時だが遅れる者は必ず連絡を入れる事。
週に一度は抜き打ちで部屋のチェックを行う。整理整頓清潔には生活の基礎と心得ておくように。以上。返事は?」
「はいっ!ですわっ」と、ペリメール様。さすが良いお返事です。
「あっ、ハイっ!わかりましたっ」と、俺。うわ、ホントは不安でいっぱいなんですけどっ!
「……うっす」と、小声のフィルフィー。
寮母さんはチラッとフィルフィーの方を見ただけで後は何も言わなかった。
寮母さんもフィルフィーに対して何かを察してるみたいだな。
「ではついて来い」
めっちゃ高圧的な態度のお姉さんに冷たい感じで言われて、こう、キュン!てしたけどこのキモチは何なんですかね?
「ここだ」
と、通された部屋は。
三階建ての二階の三人部屋。
どの部屋も陽当たりは良さそうだし、清潔感溢れる内装になってる。
三人部屋の中もキレイな造りで、見晴らしもいいし風通しも良さそうだ。
「キレイな部屋ですよねー。って……ボクもこの部屋なんですかっ!?」
「何か問題でも?」
背の高いエフレフさんが見下ろす、というか見下す感じで俺を見る目が、何故かすごーく冷ややかに見えるのは気のせいですかっ!?
「えっ、あのっ、だってっ」
俺、男ですよ!?多感なお年頃の男子高校生なんですよ本当はっ!たとえ一人がヤンキーだとしても、キレイなお姉さん二人と同じ部屋ってイロイロまずくないですかっ!?
朝とか、ホラっ!『コヒカリ君』じゃなくて『おっ!?ヒカリ君!?』になっちゃうんですよっ!?
「いえ、大丈夫ですわっ!何も問題ありませんですわっ!」
と、後ろからペリメール様の声、そして後頭部に感じる柔らかな感触、これはっ!
ペリメール様のオパイですよっ!後ろからきゅっと抱き締めてくれるもんですから、もろに後頭部直撃してますよっ!
はー、顔面だけじゃなくて後頭部までペリメール様のオパイに埋もれるなんてっ!
しなやかで美しい腕が俺を抱き締めてくれてます。それだけでなんかこう、不安感が消えていきますよー。
「何か質問は?」
「あっ、あのっ」
「大丈夫ですわエフレフ様っ!これからの寮生活が楽しみですわっ!どうぞよろしくお願いいたしますですわっ」
そう言ってペリメール様が俺を抱き締めたままペコリと頭を下げた。
ペリメール様のオパイが俺の後頭部でむにーっと押し潰されてますよー!
後頭部にオパイっ!
なんですかこの未体験の感覚はっ。
「そうか。こちらこそよろしく頼むよ」
ここで初めて寮母さん、エフレフさんがニコッと笑った。
やっぱり女の人は笑顔が一番だなー。印象が全然違うよねー。
俺も気を付けないとっ。
「着替えの制服や寝巻きはクローゼットに入っているから、各々確認しておくように。寮生との顔合わせは明日の朝食の時でいいだろう。
今日は特に何もしないから、寛ぐなり散歩でもするなり好きに過ごすといい」
「はいっ!ですわっ」
「あっ、わかりましたっ」
「うっす」
エフレフさんが退室すると、俺は一気に緊張感から解放された。
それはフィルフィーも同じだったようで。
「ここはもらったあ!」
フィルフィーがぴょんとジャンプして二段ベッドの上に飛び乗った。
エフレフさんがいなくなった途端にコレですよ。
「もうっ!コドモですかフィルフィーさんっ!」
と、ペリメール様は呆れ顔。
はー、本当にここから始まるんだな……
俺の異世界転生物語が!
俺の思惑から大きく外れた、男の
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