まさかの!ダブルスキル!?

「ナニしやがんでいペリ子っ!いてえじゃねえかよっ!」


 涙目で言うフィルフィーマートの口の周りに、ペリメール様の手形がくっきりはっきり赤く浮かんでる。

 さっきは強がって痛くないとか言ってたけど、さすがに二度目は痛かったようです。

 ……面白い。


「めめめっ女神ともあろう者が不浄な仕草をするからですわっ!」


「なんっでだよ、オマエもいつかはするんだろー?こうやってさー?」


 言うと同時にフィルフィーマートが、しゅぱっ!と俺の背後に素早く回り込んできた!


 えっ!?見えなかったんですけどっ?


「うりゃ!」

 ずぽっ!

 と、後ろから俺のブルマの中に手を突っ込んできた!しかも『ナニ』を鷲掴み!


 マジか!!


「っ!?きゃあああっ!」


 またしても女の子のような悲鳴をあげる俺!

 イヤ、今はそれどころじゃなくってさ!


「ふーん。コレがアレか。ナニか?『ナニ』だな?初めて触ったけど、なんかふにゃふにゃだな。こんなモンなのか?」


 違います。


 こう、ね!大変なコトになるんですよ、それ以上ふにふにフニフニされるとね!

 やわこいオパイを背中に密着させてフニフニふにふにされるとね!

 イイ匂いさせて耳元で吐息なんて吹き掛けられたりしちゃうとね!


 あっ!!


 膨らむんですよ!?

 暴れるんですよ!?

 バクハツするんですよー!

 ドカーン、ってね!


 てゆーか、なんってコトするんだこの女神!

 女神って清らかな乙女の最上位の存在とかじゃないの!?

 こんなの不祥事じゃないの!?

 女神が『ナニ』を鷲掴みですよ!?


「フィフィフィフィっ!フィルフィーしゃああん!にゃにゃにゃにゃんてコトをっっ!!ふっ!ふっ!ふにゃあああっ!」


 ぱたっ。


「ペリメール様っ!?」


 女神ともあろう者が、俺の背後から覆い被さるように抱き付いてブルマの中に手を突っ込むという変質者丸出しの悪行!


 ペリメール様には刺激が強過ぎたのか倒れちゃいましたよ!?


「あ?なんだよつまんねーなあ」


 すいっと俺から離れるヤンキー女神。

 解放される俺の『ブツ』が平穏を取り戻す。


 ……ホッ。


 どうやらペリメール様をびっくりさせるのが目的だったみたいだけど。


「やりすぎだったかなー」


 へー、反省するんだ……


「まあ、いっか!」


 おいっ、ヤンキー女神っ!

 せめて介抱してあげないとっ。


 俺は左手を下から上に振り挙げ、っぽん!という音と共にメイドの姿に戻った。体操着よりメイドの方が介抱スキルありそうでしょ?

 あ。メイド姿は今の俺だからカンケー無いのか。


「ペリメール様っ!しっかりして下さいっ」


 俺は横に倒れたままのペリメール様を仰向けにして、気道確保の為に顎を少しだけ上向きにした。

 人工呼吸とかそんなのは必要無く、ただ単に気を失っただけみたいだ。


 それにしても、キレイなお顔ですよー。そんで、仰向けになってるのにオパイの形が崩れない!

 バイバイオパイにならないんですよスゴいです。


 あ、バイバイオパイっていうのはね、乳離れのコトではなく、おっきなオパイの人が仰向けになった時にオパイが脇の方に流れちゃう現象の事をいうのですよ。

 ヒカリのオリジナル造語です!


 ペリメール様が無事な事にホッとすると同時に、俺の中にフィルフィーマートに対する怒りの感情がふつふつと湧いてきた。


 ペリメール様……優しくて優しくて、甘いイイ匂いがして優しくて。

 考えてみるまでも無く、転生前にだって女の人に優しくされた事なんて一度も無い。

 かーさん以外はね。


 初対面の俺に優しくしてくれて、抱き締めてくれたりもして、ヤンキー女神から俺を庇ってくれて。


 そんなペリメール様を侮辱するような事を言ったり、気絶するほどヒワイな行為を見せつけたりするヤンキー女神に対しての怒りを!


 俺は!


 感じずにはいられない!


 あ、怒りを感じる、ってだけで何をどうするとかいうのはね、後回しというか、ここは穏便に、みたいなね?

 ペリメール様は無事なわけだし、ね?


 でもね!やっぱり許せない!


 ここが勇気の出しどころですよ!

 

「もっ、もうダメです!ガマンの限界です!女神事務所に報告します!」


 俺は言ってやったともさビシッとね!

 倒れたままのペリメール様の身体の陰に隠れてね!

 勇気を出して言った結果が『女神事務所にチクる』っていうなんともヘタレなアレですけどもね!


「ほーう?いーい、度胸だなヒカリぃ~?」


 うわあ、なんて眼光なんですかっ!?

 またしても、きゅっと縮みますよ俺の股間の双子ツインズが!

 でもでもひるみましぇんよ、俺はっ!


「だだだだっダメですよっ!脅してもダメなんですからねっ!」

 

 ひいいっ。ゆっくりと近づいてきますよヤンキー女神!

 その姿は、破滅の国からやってきた絶望の狩人!破滅の国の狩人なんて見たコトないからわかんないけど、まあそんなカンジです!


 俺とペリメール様を見下ろす位置まで近付いて、フィルフィーマートがピタッと止まると。

 すうっと俺に顔を近付け、囁くようにこう言った。


「スキルもういっこヤるからよー。それでチャラだ。文句なんかねーよなあ?ヒカリぃ?」


 えっ?スキル!?ダブルスキル!?駆け出し女神なのにそんなコトできるの?


 口止め料として、二つ目のスキルを与えると提示してきましたよヤンキー女神!

 俺を買収する気ですよヤンキー女神!


 なんて狡猾なっ!


 だがしかし!そんな事に屈する俺だと思うなよヤンキー女神!


 でも気にはなるよね。

 聞くだけ聞いてあげようじゃないですか。

 聞くだけ。聞くだけだからねっ!


「……ちゃんとしたスキルなんですか?」


「あったりめーじゃん。女神はウソはつけねーからな」


「ホントのホントですね?」


「ああ」


「ホントのホントにホントですねっ?」


「ああ」


「ホントのホン……」


「ぐだぐだウルセエ……」


「えっ?」


 なに、またこのパターンなのっ?またキレちゃうのっ!?また勝手にスキル付与されちゃうのっ!?


「ちょっ!ま……」


 フィルフィーマートが大きく振りかぶり!


「エターナル……っ!ビィィィームっ!!」


 指先からフィルフィーマート光線ビームを発射した!

 ださっ!三度目のビームの名前もだっさ!


 しゅぱぱぱぱっ!ぱしゅん!


 ネズミ花火が鳴るようなショボい音。


「え……終わり?」


「バッチこいだぜっ」


 さっきもそうだったけど、演出が派手な割りに身体に感じないんだよなあ。

 なんか音がショボかったんですけど。

 こう、スキルゲット!みたいなカンジがね。

 何にも感じないんだな。


「え……どんなスキルなんですか?」


 俺の問いに、ニヤーリと口の端を吊り上げるフィルフィーマート。


 これは……悪い予感しかしない……


「今から見せてやるよ」


 見せる?フィルフィーマートが?

 俺のスキルじゃないの?

 どゆコトかな?


「ちょっとソコに立ちなよ」


 不思議がる俺を向かい合わせで立たせて……

 

「うらあっ!」

 ずるぅっ!

「きゃああああああっ!?」


 パンツ下ろされた!

 電光石火の速さでスカートめくられて無理矢理パンツ下ろされましたよ、俺!

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