これ、スキルなんですか?
「よっしゃキター!美少女バニー!ちっぱいバニー!」
と、フィルフィーマートが右手でガッツポーズする。
っぽん!という音と共に、俺は衣装チェンジした。
フリフリひらひらのゴスロリメイドからウサ耳カチューシャ、黒レオタードに網タイツのバニーガール姿へと。
首には短い黒ネクタイ。手首にはカッターシャツの袖を切り取ったやつ。
お尻の部分には丸くて白いしっぽ付き。
ハイヒールなんて初めて履いたよ。
「……なんですか、コレ」
「あ!?バニーガールくらい知ってるだろ?エロいバニーガールのフィギュアも持ってるだろうが」
「え!?なんで知って……って違うっ!なんでメイドちゃんからバニーちゃんに変わったんですかっ!?山吹っ飛ばす超絶スキルは!?ボクの『山吹烈風砲』はドコいったんですかっ!?めっちゃスベってますよね、ボク!」
はっ、と俺は自分の姿を確認してみた。
バニーの衣装にチェンジしたのに、見た目コカンが『こんもり』してない。
ヤロウ特有の『こんもり』がない!
やたらスッキリしてるからホントに女の子にしか見えないがしかし!
ある。
確実に『ヤツ』はいる。
男の
「ペリメール様っ!なんとか言ってやって下さいっ!またボクの要望無視してますよっ!?」
「……くっ……いい仕事ですわっ」
えっ!?ペリメール様っ!?
「さすがは私のライバルですわっ!」
おいっ!ペリメール様っ!?
「ぐだぐだウルセエなあヒカリよぅ。じゃあ今度は左手を下から上に振ってみろや。『ゴールデンなんたら』っつってよー」
えっ?なんだ前フリ?前フリだったの?左手で超絶スキル発動する流れなの?
もー、ビックリさせないで欲しいなあ。
なんて言うと思ったら大間違いですよ!
根性ねじ曲がったヤンキー女神がすんなりとチートスキルを付与するとは思えない!
この流れでいくと……たぶん、そうなんだろう。
俺は左手を下から上に振り挙げてみた。
言いませんよ?『山吹烈風砲』なんて言わないんだからねっ!
っぽん!
やっぱり……やっぱりそうだった。
俺は元の衣装、フリフリひらひらのゴスロリメイドに衣装チェンジした。
「よっしゃ!お着替え大成功!どんなもんでい!」
「なかなかやりますですわねフィルフィーさん!流石は美少女ヲタ!美少女らしさを損なわずに、美少女の美少女による美少女のための美少女に!」
何を言ってるのか解りませんよ、ペリメール様。
俺の頭の悪さはカンケーないですよね?
美少女って言いたいだけに聞こえちゃいますよ。
「……これ、スキルなんですか?」
俺は素朴な疑問を口にした。
衣装を脱がずに衣装チェンジ出来るのは便利だけどバニーガールにしかなれないの?
「れっきとしたスキルだぜっ『お着替えガチャ』だ!」
「え!?ガチャ!?たまたまバニーガールになったってコトっ?」
「もっかい右手振ってみろや」
フィルフィーマートがニヤニヤしながら言う。
ええー?正直めんどくさい。でもやらないと終わりそうにない。放課後の教室掃除みたいだなー。
言われるままに俺はもう一度右手を下から上に振り挙げた。
言いませんよ?『山吹烈風砲』は封印です!
っぽん!
軽ーい音。そして、ひらひらと少しの紙吹雪。
これ、いるの?
次に『お着替えガチャ』で衣装チェンジしたその姿は!
これはっ!
体操着!しかもブルマ!今時見ない赤ぶるま!胸には『ヒカリ』とカタカナの名前入り。
アタマには赤いハチマキ。
なんかフェチが過ぎやしませんかっ?
一体、なんの役に立つんですかこのスキル。
「よく聞けヒカリ!衣装ってのは戦闘服だ!そのなかでも最強なのが
今のオマエのランクじゃ、せいぜい5種類くらいしか服が出ねえけどランクを上げればもっと数が増える!服の数だけ強くなる!
いいかヒカリ!
ナニ言ってんですかこのヤンキー女神。
言ってるコトが半分も理解できないのは俺の頭の悪さとはカンケー無いですよね?
「フィルフィーさんの説明は雑すぎますわっ。私が教えて差し上げますわヒカリ様っ!」
キョトンとしている俺を見て、ペリメール様が優しく解説を始めてくれた。
はー。ペリメール様が家庭教師とかしてくれてたら、もっと学力上がったかも。
いや……セクシーすぎて勉強どころじゃないかな?
「戦闘服、と言うよりユニフォームと言った方が正しいですわ、ヒカリ様。今、ヒカリ様が着ている体操着で行う事と言えば?」
体操着で行う事と言えば?
赤ぶるまで行う事と言えば……
体育座り!からのM字開脚かなっ!?
フトモモの内側のぷにっとぽよっとやらかそーなあのカンジがたまらんよね!
ちなみに俺は、手は膝に置いてて欲しい派です!
ちょっと上目遣いではにかむとかね!ムハー!いいっしょ?いいっしょ?
「ヒカリ様?」
「はっ。えー、と?体操着は体育の授業の時しか着ないモノですから……」
「お察しの通りですわ、ヒカリ様!」
え?俺、なんか察したの?ぶるまでM字開脚の妄想しかしてなかったけど。
「体育の授業で行う事全てがお得意さんになるのでございますですわっ」
ん?お得意さんの使い方間違ってるけど、言ってる事は解るような気がする。
体育の授業全てが得意に……
と言うことは。
組体操とか?ってやらないか?危ないからねー。
校庭20周とか?ってやらないか?熱中症が怖いからねー。
じゃあ体育館でバスケットボールとかバレーボールとか?
体操着で……マット運動とか跳び箱とか?
ん?
ユニフォーム……バスケもバレーもユニフォームってあるよな……
「あの、ペリメール様。それぞれのユニフォームに衣装チェンジすれば、その競技や仕事……が得意になる、ということでいいんですか?」
「素晴らしいですわヒカリ様!ご名答でございますですわあっ!」
ペリメール様がやや興奮気味にぎゅうっと俺を抱き締めた。
またしても、ふわふわでやらかくて、いい匂いがするおっきなオパイに埋もれますよ俺の顔!
はー……俺、ここで一生暮らしたい……
「ヒカリ様のランクを上げれば衣装の種類も、その衣装で行う競技やお仕事のスキルレベルも上がるというコトですわ!」
なるほどー。
今はちんちくりんな俺でも、バスケのユニフォーム着ればそれなりに動けて、俺のランクを上げればもっと動けるようになる、ってコトか。
って事は、ゆくゆくはNBAプレイヤーも夢じゃない!?
でも、この世界にはNBAなんて無いのでは?
まだこの白い空間から出て無いから、外の世界がどんなかわかんないけど!
衣装の数だけ強くなるとは言うものの!
そもそも衣装チェンジガチャなんだし何が出るかわからないし、なーんか騙されてる感がおっきいんですけど!
冒険者としてやっていけるのか?
あと、
ヤンキー用語なら、その領域の知識は無いんですけど!
もう一つ気になる事が。
初めに衣装チェンジしたバニーガール。
「あのー。バニーガールってどんな事するんですか?お盆にシャンパングラス乗せて歩いてるってイメージしか無いんですけど……」
「んーなもんヤロウどもの夜のお相手に決まってんだろうが」
「え!?」
「フィフィフィフィっ!フィルフィーさんっ!?あなたはまたそんなコトをっ!?」
「別にムズカシイ事じゃねーだろー?股おっぴろげてヤロウのナニをだなー、こうやってだなー」
あろうコトか女神ともあろう者がお股を開いてジェスチャーし始めましたよ!?
安心して下さい。
ちっさいおパンツからハミ出しそうな大事な部分は『謎の光』で見えませんから。
「そんでもって、じゅるるるーって、口をすぼめて吸うとだなー」
「フィルフィーさああんっ!」
ばちーん!
「ぶあっ!?」
耳まで真っ赤になったペリメール様が本日二度目の平手打ちでの口封じ。
フィルフィーマートが避けられないんだから、相当、手練れてるんだろうなペリメール様の平手打ち。
いい音ですよ。
痛そうだけど、いい気味です!
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