チートスキル、ゲット!?
「なにしやがんでい、ペリ子っ!痛……っくはねえけどよっ!」
「女神ともあろう者が、ハレンチで不浄なお言葉を連発するからですわっ!私からの戒めですわっ!」
ちょっと涙目になって強がるヤンキー女神の口の周りに、ペリメール様の手形がくっきりと赤く浮かんでる。
……面白い。
端から見れば、スケスケひらひらのほぼ全裸のキレイなお姉さん二人が言い争ってるようにしか見えないのが、なんともはや。
「あ!?なんっだよヒカリ!?何ニヤニヤしてんだよ!?」
「あ、えーと……仲良くて羨ましいなあ、って」
「「は!?」」
フィルフィーマートとペリメール様の言葉が重なった。
その時点で仲良し確定ですよ。
「私とフィルフィーさんがお仲良しっ!そんなコトあり得ませんわっ!私達はっ!ライバル!幼い頃からライバルなのですわっ!」
「
「カタハラ痛いカタハラ痛いですわよヤンキー女神フィルフィーさん!まず!ポイントを貯めてからライバルを名乗りなさいですわっ!ほーっほっほっほ!」
「クソが……!そのうちテメェなんざぶち抜いてやるからな!」
俺は知ってる。『そのうち』なんて言ってるヤツに、そのうちなんてやってこない、って。
そんなだから手持ちに8ポイントしか持って無いんじゃないの?ペリメール様の9000ポイント超えとは大違いでしょ。
女神ランクアップするには1万ポイントかー……遠いなー。
ヤンキー女神を更正させて、とは言ったものの更正させないでもポイント貯めてくれればそれでいいのかも……
「おもらしペリ子がよー、エラくなったモンだよなー!」
「なっ……!幼稚園の頃の話をヒカリ様の前で言わなくてもよいではないですかっ!?」
サイテーです。
サイテーですよヤンキー女神。
幼い頃の失態を嘲笑うヤンキー女神のストップ安の株に対して、恥じらって顔を赤らめるペリメール様の株が爆上がりです。
あ、株のコトはよくわかんないけど、父さんが晩酌しながらそういう話をしてたから、うろ覚えですけど例えてみました。
やっぱ更正させないと1万ポイントなんて、到底無理だろうなー。
真なる女神になれとまで言わないにしても、せめて常識ある女神になってもらわないとっ。
「フィルフィーマート様っ!そんなコトばっかり言ってたら女神の資格剥奪されちゃいますよっ!ペリメール様っ!昔のコトなんて気にしないで下さい!」
俺は勇気を振り絞って言ってやったさ!
そして素早くペリメール様の背中に隠れる!
ささっとね!
「ヒカリ様っ!私の味方をしてくださいますのですかっ?」
「……チッ」
図星を突かれたのかフィルフィーマートは舌打ちをして俺を睨み付けるに
……ホッ。
「弱っちいですよね、ボク。チビっこいし、体重も軽そうだし……」
ペリメール様の背中に隠れたまま、ポツンと呟く。
「ヒカリ様……それなら鏡に聞いてみるとよいですわ。身長と体重、体脂肪率、BMI、骨密度、筋肉量なども計測可能ですわっ」
この鏡、採血無しで健康診断出来るんですか。なんて便利な。
「じゃあ……身長と体重を教えて下さい!」
俺は、空中に浮いたままの鏡に向かって聞いてみた。
『はいはーい。少々お待ちをー』
喋ったよこの鏡。
軽ーい返事の後、待つコト数秒。
『はいっ、出ましたー。身長148センチ、体重41キロでやんす』
身長150以下!ちみっこい!体重41キロって軽すぎない?俺が小学6年の頃と変わらないくらいですよっ。
『ちなみにペリメール様は、身長172センチ、体重は5……』
「らああああっ!ですわああっ!」
がしゃーん!
突然、ペリメール様が叫びながらコブシで鏡を叩き割った!
「乙女の体重を軽々しく言うものではありませんですわっ」
乙女がいきなり鏡を叩き割るのはアリなんですかペリメール様っ!?
割られた鏡はふわあっと砂塵のように消えていく。
二人とも同じくらいの背格好って事はフィルフィーマートも172センチ以上はありそうだけど、それより大きく見えるのはハイヒール履いてるからだろう。
……180くらいあるんじゃないの?
それって俺が希望してた身長に近いんですけど。
今の俺は148センチの小柄な男の
俺を真ん中にして二人と手を繋いだ姿を想像すると、それは『囚われた宇宙人』!
こんなひょろひょろちゃんじゃ、やられ役のチンピラとかゴロツキとか、弱小モンスターにすら勝てる気がしないっ!
あっと驚く超絶スキルでもないと……
スキル……!
そうですスキルですよ!それまだ聞いてない!
せめてスキルくらいはちゃんとしたモノを!
指一本で山吹っ飛ばせるくらいの無双でチートな超絶スキルを!
これから冒険に出るっていうんなら、ノースキルなんてありえませんって!
異世界転生者にチートスキルは、今のご時世ではもうセットみたいなモンですからね!
めちゃめちゃ美少女なのに男の
「フィルフィーマート様っ!スキル!スキルってどうなってるんですかっ?指一本で山吹っ飛ばせるような超絶スキル!それがあれば、この姿でも生きていける気がします!」
もちろん、ずっとこのままで過ごす気はありませんけどね!
フィルフィーマートの女神ランクを上げるまでは!この姿のままでしょうがないですけどねっ!
「あれやこれやとウルセエなあ、ヒカリよぅ」
「神様が仰ってましたよねっ!望み通りにしてあげなさい、って!言う事聞いてくれないと、女神事務所に報告しちゃいますよっ!」
俺も大概、弱っちい。
いーけないんだ、いけないんだ。セーンセイに言ってやろー、みたいな!
「グダグダうるせえ……」
「……えっ?」
「グダグダうるせえ!くっそド底辺がぁっ!」
このパターンは!なに、またキレるの!?
「キューティービィィィーム!」
ださ!ラブリービームにファイナルフィニッシュビーム。そんでもってキューティービーム!ネーミングだっさ!
本日三度目のフィルフィーマート光線が指先から放たれる!
ビキビキっどかーん!
キューティーって名前の割りに落雷のような派手な音!
ピリピリ、パチパチと静電気みたいな音がして、あっさりと俺へのスキル付与が完了したみたいだ。
何も変化したように感じないんだけど……
「あのー……これで終わり?」
「バッチこいだぜっ。試してみろや!」
フィルフィーマートは例によって至極満足、してやったりのどや顔だ。
「ここで!?大丈夫なんですかっ!?」
ペリメール様は無言で一連の流れを見てたけど……おかしな所は無かったのかな?
「どしっと構えて右手を下から上に振ってみろや。ボーリングのタマタマ投げるみてーなカンジでな」
なんでタマタマって言う?言いたいのかな?
「あ……ハイ」
俺は言われるままに構えを取った。
うわ。ドキドキする!
無双でチートな超絶スキル!
山をも吹っ飛ばせるアルティメットスキル!
この白い空間をねじ曲げちゃうようなスーパースキル!
そうだ!名前付けようかなっ!言いながらスキル発動はお約束ですからね!
「いきますよぉっ!」
俺は勢いよく、右手を下から上に振り挙げた!即興で思いついたスキルネームと共にさ!
「
山吹っ飛ばすから『
え!?ダサい!?
俺は妄想しましたよ!
ズゴゴゴゴオォッドガアアアッ!!
と凄まじい轟音と共に、辺り一面を焼け野原にする破壊力を!
爆風でぶるんぶるんと暴れまわるペリメール様とフィルフィーマートのオパイをさ!
爆風で真横になびく長い髪を押さえて『これはっ!』と驚く二人の女神様の姿をさ!
瞬時に妄想してみましたよ!
しかし実際は!
っぽん!
ノンアルコールの子供用シャンパンの栓を抜いたような軽ーい音。
は?
え?
ズゴゴゴゴオォッドガアアアッ!!
じゃないの!?なに、っぽん!って。
そしてそして。
ひらひらと数枚の紙吹雪が舞い落ちてきた。
なんだこれ?
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