謎の光は、○○○○○!

 いきなりパンツ下ろされた!


 咄嗟に押さえたからギリギリ膝で止まったけどさらに!

 フィルフィーマートが俺のパンツを脱がそうとっ!!


「いやあっ!やめてくださいいいっ!」


「イヤよイヤよも好きの内、ってなあ!うらあっ!」


 フィルフィーマートが俺の右足首を掴んで軽々と、そして高々と持ち上げたっ。

 しかも片手で!なんて力持ちなんですかヤンキー女神!41キロですよ!?


 逆さまになった人形みたいに、ぷらーんとぶら下げられる俺!

 膝と膝をくっつけて『あらわ』にならないよう押さえましたよスカートを!必死にね!


「ジャマなパンツだなあ?」


 フィルフィーマートが空いた左手で半分脱げかけた俺のパンツを剥ぎ取ろうとする!


 あ、今気付いたけど、やっぱ女の子の履くようなパンツです。

 パンティー?ショーツ?よくわかんないから、おパンツって言っときます。


 ……白のおパンツか……


 ……おパンツってガーターベルトの上なんだな。ふむふむ。

 

 イヤ、冷静におパンツ見てる場合じゃない! 


 美少女メイドのおパンツを無理矢理ひっぺがそうとするヤンキー女神!


「あっ!いやあっ!」


「やっぱりイイ声じゃねえかよ、おい!」


 どうなってるんですか前代未聞ですよなんなんですかこの女神!


「そうらっ!」

「やあっ!やだあっ!」


 びりびりっと音を立てて引きちぎられましたよ、おパンツが!

 晒す気だ……!俺の『ブツ』を!『ナニ』を!晒す気ですよヤンキー女神!


 なに考えてんだー!?


「助けてペリメール様ぁっ!」


 ダメでした。

 ペリメール様は気絶したままピクリとも動きません。


「ペリメール様ぁっ!」


 もう一度助けを求めるがしかしダメでした。

 ペリメール様が起きる気配はありません。


「へっへっへっ……ほーうら、見えちゃうぞーう?」


 ワルの顔が似合い過ぎだよヤンキー女神!

 次の瞬間!

 フィルフィーマートが左手で俺の両手をがしっと掴み自由を奪う!


 両手で押さえてたひらひらスカートが重力に逆らえずに、ぺろん、と捲れて……


 晒しモノっ!俺のカワイイ『ブツ』が晒しモノにぃっ!


「いやあああんっ!……あれ!?」


 愛しい『ブツ』が晒された!


 と、思いきや!


 俺の目に飛び込んできた『モノ』は!


 謎の光!!


 キラキラとまばゆい謎の光でガードされてます、俺の『ブツ』!


「どうでい、大したモンだろうがっ。全然見えねーし、これなら女湯だって入れるぜっ!」


 フィルフィーマートは俺を変身させた時と同じ様にドヤ顔だ。


 え!?ちょっと待ってナニこの光!?


 黒い!?


 黒い光って……


 俺のコカンが黒光り……


 ヒワイすぎやしませんかっ!?


「いーい黒光りじゃねーかヒカリぃ?」 


 と、いきなりフィルフィーマートが掴んだ俺の右足をぱっと離した。

 当然、地面に落ちる俺。


「うぎゃ!」


 うぎゃ、なんて初めて口にした。

 イヤ、小柄で良かったよ、大した高さじゃないから怪我しなかったけれども!

 いきなり離すなんてヒドイ!

 首の骨いっちゃうトコでしたよっ。


 さささっとスカート直して隠しましたよ、俺の『ブツ』。

 いくら謎の黒光で隠れるとは言え、おパンツ穿いてませんからね、今の俺!

 ノーパンメイドですよ、何処のいかがわしい店ですか!


「せっかく『謎の黒光』スキルゲットしたんだから、オマエの『ナニ』に名前付けてやるよ」


 え?それ、要る?

 ていうか、謎の光ってスキルなの!?


「たった今から、オマエの『ナニ』の名前は『コヒカリ君』だ!ちっちゃいんだからピッタリだろ!」


 勝手に俺のコカンの愛しい『ブツ』の名付け親にならないで下さいよヤンキー女神。


 あと、ちっちゃいとか言わないで下さい。

 ちゃんとおっきくなるんだからねっ!まだまだ成長期なんだし!


 に、しても。


 変身させたりスキル付与したりは出来るのに、なんかずれてるんだよなあ。


 ん?


 俺の中にある疑惑が浮かび上がる。


「謎の光って……男も女も同じように隠せるんですよね?」


「モチのロンギヌスだぜ!」


 ださ。なんですかそのダジャレ。


「ジジ……神様だって服脱いだら『謎の光』で隠れるからな!」


 今、確実にジジイって言おうとしたよねヤンキー女神。

 神様にも『謎の光』が……

 うーん。想像しないようにしよう。


 俺の中に湧いた一つの疑惑をフィルフィーマートに聞いてみる。


 ちょっと怖いけど確認です!


「男も女も、って……もしかして!!フィルフィーマートにも『ブツ』が付いてるとかっ!?」


「バカヤロウ!あたしは正真正銘の女だっ!なんならよーう、触ってみるかあ、ヒカリぃ?触ったコトねーんだろーう?女の『アレ』によーう?女の『おまんじゅう』は柔らかくてキモチいいぞーう?」


 聞いちゃった俺も俺だけど、なんってコト言うんだこのヤンキー女神……


「フィフィフィフィっ!フィルフィーしゃああんっ!嫁入り前の小娘がナニを言ってるんですかああっ!」


「誰がコムスメだっ!」


 いきなり目覚めましたよペリメール様。

 由々しき事態に反応したんですかね?


「ペリメール様ぁっ!フィルフィーマートがヒワイな言葉責めでボクをイジメるんですううっ!」


 俺はよよよと泣きついた。

 そして定位置であるペリメール様の背中に隠れます!

 まあ、情けないってのはわかってますよ!

 でもね!無いんですよ対抗手段が!

 どうやったらこのヤンキー女神に対抗出来るんですか、誰か教えて下さいよ!


「なんであたしは呼び捨てなんだよヒカリっ!」


 え、だってフィルフィーマートだって俺のコト呼び捨てでしょーに。

 ついさっきまで『様』ってつけてたけど、その素行不良っぷりでは『様』って感じでもないでしょーに。


「どーせ呼ぶならフィルフィーって呼べ!コンビニみてえだろうがっ!」


 コンビニが由来の名前ってコト、気にしてたのか。

 ……フィルマって呼んだらキレるかな?


「こら、お前達」


 ごす!

「あだっ!」

 ぺち!

「あいたっですわっ!」


「騒がしいと思ったら、まーだこんなところにおったのか。サクサク進めて部屋を空けんと後ろがつっかえとるぞ」


 いきなり再び現れましたよ、神様が。


 フィルフィーマートはグーで脳天殴られたのに対して、ペリメール様は平手でおでこを叩かれただけ。


 さすが神様。わかってらっしゃいます。


「第3話でも言った通り、フィルフィーマートには地上に降りてこの少年……少女?が立派に一人立ちするまで誠心誠意込めて面倒見る事を命ずる」


 何ですか、第3話って。

 神様と女神様の暗号ですかね?


「ペリメールよ」


「はいっ何でしょうかっ?」


「もう少しで昇格の所をすまんが、お前にはフィルフィーマートを監視してもらいたいと思う。もちろん、女神ポイントは付くからの。安心して監視してくれい」


「はいっ。元よりそのつもりでおりましたですわっ」


「うむ。頼もしい限りじゃ」


 ペリメール様がすごーく嬉しそうな顔をしてるのに対して、フィルフィーはものすごーくイヤそうな顔をしてる。


「コウダヒカリよ」


「はいっ」


「その弱っちいステータスでは冒険者としてやっていけんじゃろう。そなたには学生としてこの世界を学んでもらおうかと思う。パープー高校に入学して三ヶ月でポックリ逝ったじゃろ?」


 神様、もうちょっとコトバをお選び頂けませんかね?


 まあ、パープーな高校でしたけれども!

 まあ、ポックリ逝きましたけどれども!


 あと、ステータスってあるんですねやっぱり。

 ウインドウもなーんも出て無いんですけど?神様にはお見通しなのかな?


「留学生として編入、というカタチで半年ほど高校に通ってもらおうかと思っての」


「高校に半年、ですか?」


 高校に編入?留学生?

 頭の中身はおバカなままのような気がするんだけど、大丈夫なのかな?

 さっさと冒険してフィルフィー昇格させてリセットしてもらいたいんですけど?


 まあ、お着替えガチャだけじゃ冒険なんて危険過ぎるような気もするなー……『謎の黒光』なんて何の役にも立たないだろうし。

 

 神様がドコからか取り出したファイルをパラパラとめくって、ああコレコレと手を止めて俺に見せてくれた。


「天界立『くろがね』魔王女子高等学校の勇者育成コース。ココが良いかと思う」


 え?なんですかその学校名!?

 

「若者の間ではは『クロジョ』と呼ばれておるんじゃよ」


 へー。


 イヤそうじゃなくて!


 なんかイロイロとツッコミどころが渋滞してるんですけど!?

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