第11話 変わり始める関係

ねえ晴輝




とても複雑なの……


晴輝は今幸せなの?





晴輝がお姉ちゃんと付き合いだして


私と晴輝の関係は変わり始めていた。




私達は


肩を並べて歩く事もなくなり


バカしあう事も


憎まれ口叩き合う事も


なくなり始めていた





「晴輝君」


「…夏奈さん…その呼び方辞めてもらえないかな?」


「えっ?」


「……まあ、俺も人に言える立場じゃないけど…。夏奈さん…俺と付き合えて良かったって思える?」


「晴輝…君…」


「…俺と付き合って幸せだって…そういう気持ち伝わって来ないし…つーか…笑顔見なくなった気がすんのは…俺の気のせいかな?…もしかして俺、夏奈さんに無理させてんのかな?すみません…今日は帰ります」



「待ってっ!」



ドサッと倒れ込み見つめ合う二人。




「ただ……」



≪うわっ!ヤバ……タイミング悪っ!≫

≪つーか玄関に靴がある事に気付かなかった!≫




私は帰宅するなり私の目の前に飛び込んだ光景は、ソファーの上で横になり見つめ合う二人の姿。


お姉ちゃんは、晴輝にキスをした。



私は胸の奥がズキンと小さく痛む。


好きとかそういう想いないのに、自分の胸の痛みに疑問を抱く中、部屋をバレないように飛び出した



私は近くの公園に行った。




「はあぁぁぁ〜……」



公園のブランコに腰をおろし大きい溜息を吐く私




少しして――――



「真裕?」



私に気付き声を掛けてくる。



ビクーッ

突然、声をかけられ驚く私。



「きゃあっ!」



ドサッ


ブランコから落ち地面に尻もちをついた。



「……っ…」



私はお尻をなでながらゆっくりと立ち上がりながら声のする方に振り向くと、視線の先には晴輝の姿。



「は、晴輝ぃっ!?あれ?お姉ちゃんの所にいた……」


「えっ?……つーか…つまりそれって一回帰って来たってやつ?」


「えっ?…あっ!いや…それは…ごめん…。まさかあんなタイミングで……慌てて出て来た所で…」




ストンとブランコに腰をおろす晴輝。


私もブランコに腰をおろす。




「晴輝?」


「最近さ…俺…夏奈さんの事…良く分かんねーんだ…」


「えっ?」


「付き合わない方が良かったのかなぁ?って……」

「……晴輝……」


「片想いの時はさ相手の機嫌とか客観的に見えていたから分かっていた気がすんだけど…今は…全然分かんねぇに近い……」


「自分のものになると見えるものも見えなくなるんじゃない?」


「えっ?」


「相手のものとか他人のものとか…そういう時…片想いの時が幸せだったって思う時あったりするからね。気付く思いとかある訳じゃん」



「………………」



「……何?私、なんか変な事言った?」

「…いや…別に…」

「そう?…さあ帰ろうっと。元気出しなよ!晴輝!」



私はブランコから立ち上がる。



「お前は…どうなの?」


「えっ?」


「兄貴と」


「私?私は別に変わらないよ。どちらかといえば……複雑……かな…?」


「えっ!?」


「好きとか嫌いとか…全然分からないし…つー事で帰りま〜す。晴輝、焦っても仕方がないよ。ゆっくりで良いんじゃない?」


「真裕…」


「なるようにしかならないって。じゃあね!」


「ああ」



私は帰る事にし、晴輝と別れた。

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