第6話 フレンドデート
「真裕ちゃん」
「うわっ!ビックリした!」
バイトが終わり外に出た直後、名前を呼ばれ驚く私。
そこには智耶さんの姿。
「智耶さん!?えっ!?どうしたの!?」
私は、ただただ、驚く。
「いや、暗い夜道だし迎えに来た」
「えっ!?迎え!?いやいや私の事は大丈夫だから、お姉ちゃんと仲直りして欲しいんだけど」
「安心して良いよ。きちんと仲直りしたから」
「本当に?」
「参ったなぁ~」
困った顔をする智耶さん。
「だって私は二人の喧嘩現場を目の当たりにしてるんだよ」
「それもそうだよなぁ~。だけど、本当に仲直りしたから。とりあえず帰ろう。第一、夏奈に迎えに行くように頼まれた所で…後で証明するよ」
そして私達は色々話をしつつ、その途中、智耶さんはある店に寄った。
「ここは?」
「弟のバイト先」
「えっ!?」
《私のバイト先から超近いし!》
「弟、呼んでくるから車で待ってて」
「あ、うん」
少しして ――――
「よっ!お疲れ!」と、晴輝。
「よっ!お疲れ!ていうか、あんたの所から私のバイト先、超近いんですけど!」と、私。
「あー、そうみたいだな」と、晴輝。
「知ってたの?」
「知ってた」
「えっ!?だったら言ってよ~」
「何故!?言う理由が分かんねーんだけど」
「何かあったら、そっちに行くから」
「来なくて良いし」
「冷たっ!」
「気のせいだろう?」
私達3人は色々と話をしながら帰って行く。
そして、お姉ちゃんの口から仲直りした事を聞いた。
「残念だったね」
隣同士に腰をかけていた晴輝と私は晴輝にしか聞こえない声で言った。
私の両頬を摘まむ。
「…痛い…」
摘ままれた両頬から両手が離れる。
「本当、二人って仲良いわね」と、お姉ちゃん。
「辞めてよ!ただの喧嘩友達だし!」と、私。
「喧嘩友達ねぇ~」と、お姉ちゃん。
「でも、それって、どちらかが好意寄せてんだよなぁ~」と、智耶さん。
「断じてないっ!」と、私。
「そう、そう、そう」と、晴輝。
二人は、晴輝の想いを知らないから言える事であって……
私は晴輝の想いを知っている為、うまく誤魔化していた。
私達はテーブルを囲み食事をした。
ある日の事。
「真裕、明日休みだったわよね」
お姉ちゃんが尋ねてきた。
「うん」
「4人で出掛けようか?って話しているんだけど」
「えっ?」
またまた、お決まりパターンの、お出掛け計画。
もう何度付き合わされただろう?
別に嫌ではない。
一番辛いのは晴輝だろう。
「晴輝君も休みみたいで参加するって言ってたけど」
「…アイツはね…」
私はポツリと自分にしか聞こえない声で呟いた。
「ねえ、3人で出掛けて来たら?」
「何言ってんの?晴輝君の話し相手になってあげたら?」
「えーーっ!やだーーっ!アイツといると、いっつも喧嘩ばっかりだし!つーかさ、たまには二人で出掛けて来たら?私がこっちに来てから4人で出掛けてばかりじゃない?」
「そんな事ないわよ」
「そうだよ!それに久しぶり友達と会う約束しちゃったし。後、もしかすると休みとはいえ急なバイト入ったらいけないから」
「…そう?残念ね」
「ごめんっ!」
「じゃあ仕方がないわね」
そして ――――
「じゃあ、行ってくるから」
「うん、行ってらっしゃい」
お姉ちゃんは出掛けた。
智耶さんと合流する姉。
「あら?晴輝君は?」
「急なバイトが入ったらしくて」
「そうなの。真裕は久しぶりの友達と会う約束したからって。それに急なバイト入るかもしれないからって断られた所よ」
「そうかぁ~。じゃあ二人で出掛けるか」
「そうね」
二人は、出掛けた。
♪~
『起きてるか?』
そういうショートメールが晴輝から届いた。
♪~
『起きてるよ。3人で行ってらっしゃい』
♪~
『俺、行ってねーし』
♪~
『行ってないの?』
♪~
『お前こそ行ってねーの?』
♪~
『行ってない。友達と会う約束したからってって。後、バイト入るかもって嘘ついて断った』
♪~
『な~んだ。俺も行かなくて良かった。お前がいないんじゃ暇してたんだ俺』
♪~
『私は遊び相手でも暇潰し相手でもありません』
♪~
『まあ、もし、そうなった時は強制参加させるけど』
♪~
『やだ、それ聞いたら、もっと行きたくないよ』
♪~
『だったら俺も行かないで上手く言って、お前の所で降りて二人を見送る。お前いないんじゃマジで面白くねーし!』
♪~
『私はおもちゃじゃないって言ってんじゃん!』
♪~
『なあ、今から会えないか?』
ドキン
晴輝のメールに胸が大きく跳ねた。
♪~
『意味深メール辞めてくれないかな?』
♪~
『別に良くね?とにかく会おうぜ!デートする相手いないんだろうし』
♪~
『悪い?そういう自分は寂しいからでしょ?本当はお姉ちゃんと会いたかったくせに。私じゃ代理にならないんじゃないの?』
♪~
『とにかく待ち合わせしようぜ!』
晴輝から待ち合わせ場所などのメールを貰う。
断る理由なんてなく渋々行く事にした。
きっと行かなければアイツは私の所まで時間の許す限り足を運びそうな気がしていたから。
バカしあって
ふざけ合って
冗談混じりの会話
――― だけど ――――
あなたは姉への想いがあり
本当は
複雑でしょうがないのに
私と出掛けるなんて……
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