第23話 魔法を習得
ひとまず冒険者ギルドまでやってくると、何やら賑わっていた。
「おっしゃあ、最後だな!」
「負けるかあ!」
中に入ってその中心を見てみると、でかい樽の上で腕相撲をしている。青い鱗をまとっているドラゴンマンと、筋肉が種族的な限界を超えてるんじゃないかとすら思うほどにある人間の2人だ。
そして、その近くで椅子に座らされながら震えているリリアちゃん。
「ちょっと、これ何してるの?」
適当に近くにいる野次馬の方をつついて聞いてみる。
「冒険者証を作りたいって言う子が現れたんだが、職員が今日は会議やら何やらで対応しきれなくてな。ならば、この店に常駐している冒険者が教えてやろうじゃねえかってなったんだが……誰が教えるかでこうなった」
「あぁ、そういうことなのね……」
「新人かもしれねえやつに優しい奴らばかりであったけえギルドだよなぁ」
「本音は?」
「冒険者してるとどうしても、あんな風な可愛い子とお近づきになれること少ねえから本気になってるんじゃねえかな」
「へぇ……」
リリアちゃんが可愛いのは認めよう。
しかし、あたしの物なのに勝手に周りで取り合いになってると聞いて、何故かモヤッとする。
だけど愛されることは良いことよね。
リリアちゃんはこっちに気がついていないみたいだし、2階で少し魔法覚えてこようかしら。
「あらら……どうしましょうか?」
「まあ、この空気壊すのもあれだし、2階でちょっと冒険者証の更新とかしてくるから。リリアちゃんのことお願いしても良い?」
「任せていただけるとは嬉しい限りですが、私でいいので?」
「まあ、アリアさんは信用出来ると思うし。仮にも働いている城がある街で下手なことはできないでしょう?」
「若干複雑ですが、たしかにそう言われれば信用しやすくもあるかもしれませんね」
「まあ、普通に信用もしてるから。よろしく」
人混みの中をゆっくりと歩きながらあたしは2階へと移動する。
そして前に教えてもらった通りに冒険者証を設置して魔石に触れて操作してみる。
たしかに頭のなかに色々と浮かんできた。
隷属魔法の細かい魔法とか、操霊魔法とかもあるな。その他にまだ覚えていない魔法もだけど、ひとまずあたしはエクスブレイクだけというのも不格好なので、火属性魔法の基本的な物をすべて習得する。ついでに光属性も適正があるので、日常生活で役立ちそうな物を光らせる魔法とかを少しだけ習得して終了した。
そして改めて更新された冒険者証を確認してみる。
――――
アンジュ・シエーラ
レベル 測定不能
性別:女
年齢:プライバシーのため本人の記載許可が必要
魔法:土属性魔法、隷属魔法、操霊魔法、火属性魔法、光属性魔法
特殊能力他
不老、女神の加護、直感、真・魔力抵抗、真・魔素抵抗、観察眼、酸性物理抵抗【弱】
魔力感知【弱】
経験数値:記載不可
使用経験数値:10000
――――
なんか抵抗まで増えている。
スライムに飲み込まれたので酸性物理抵抗がついたのは理解できる。ただ、魔力感知はなんでだろう。魔法の一種といえどリリアちゃんのことを魔力を元に探したからかな。
それと、基礎的なものだけでも数は覚えたと思ったけど1万も使用されている。他の人の基準を知らないからわからないけど、もしかして経験数値って結構貯めるのにも努力が必要なのかな。それだったら昔の修行に似たことはやっぱり必要なのかも。
更新を終えてから2階から1階を覗いてみる。
腕相撲も佳境を迎えて両者の手が痙攣するように震え始めている。ずっと拮抗しつつも全力で力入れてたらそうなるか。
それと同じようにリリアちゃんが戸惑いでプルプルしてる。
そろそろあたしも混ざろうかな。
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