第22話 友人

 街へ着いてから城の前にたどり着く。


「さて、すぐに話もできますがどうしますか? 今日は私は予定は空いていますから、用事を済ませてからでも大丈夫ですが」

「うぅん……そうね」


 予定外だったから悩む。リリアちゃんに家のこと調べた事はまだバレたくないから、どちらにしてもなのよね。


「私、どこかで時間つぶしてたほうがいい?」

「あ……うぅん。ごめんね。じゃあ少し時間つぶしててくれる」

「わかったわ」

「街の中にいてくれれば、場所はわかるから」

「さすがに1人で外に行く勇気はないわよ」

「あんまりその言葉は当てにならないかしらね……」


 あたしはお金をリリアちゃんに渡して一旦別行動にしてもらう。そんなに顔とかにでてたかな。

 それとも、リリアちゃんの察しがいいだけか。

 ひとまず新しい契約に混ぜて、一定距離の間なら大まかな位置を特定できるように魔力をつなげてあるから安心かな。


「いいんですか? 本人の関係あるでしょうに」

「うぅん……本当にややこしいことなのよ。あとで機会があれば話すつもりだけど、ひとまず彼女とあたしは取引関係にあって、屋敷はその1つとでも思ってくれればいいわ」

「そうですか……まあ、それじゃあその屋敷についてお話しましょう」


 あたしはミリアーナさんに案内されながら城の中へと入る。

 案内された部屋には机があって、少し大きめな地図が広がっていた。


「これは?」

「リューシエラ周辺の地図です。早速本題に入ると、アルミシア家があったのがこの辺りです」


 そう言って、ミリアーナさんが指差した場所は、リューシエラから東に真っすぐ行った先にある街だった。

 その間にも小さい町が存在している。


「馬車つかっても4日ぐらいかかる?」

「ですね。ですが、ギリギリラシリア皇国の領地内になっていますので、取引は思ったほどの難しさではないかと。現在も購入者は現れていないようですので」

「そうなの?」

「確認してみると、あの街の中でも貴族の集まった区画などではなく外れに存在した一昔前の屋敷らしいですね。歴史があるといえば聞こえはいいですが、時代遅れ扱いがあるみたいです」

「その上で、元貴族の屋敷だから物好きでも簡単には額を出せなくてそのままってこと?」

「それもありますが、単純に立地が悪いのと最後の領主の噂がよろしくなかったせいで、根も葉もない噂が飛び交ってるのも原因みたいです」

「あぁ……なんとなくは理解したわ。でも、こっちとしては好都合かしらね」

「私の方で一応つかめた情報はこんな感じですね」

「ありがとう。十分すぎるほどだわ……えっと、それで」

「あぁ、情報料はいいですよ。元貴族の家なのもあって、シエーラさんでも調べれば自ずとわかるレベルのことでしたから。ただ、その……今後共仲良くしていただけると嬉しいです」

「それは騎士としてかしら?」

「う~ん。まあ、立場上そういいたいですけど、どちらかと言えば友人としてですかね。あはは」

「そういうことならこちらこそ歓迎よ。ずっとあそこに篭ってて、友人は少ないくらいだからね」


 そう言ってあたしたちは握手をかわした。


「ミリアーナさん、それともうひとつ興味本位なんだけど」

「アリアでいいですよ」

「じゃあ、あたしもアンジュでいいわ。この前、アリアさんは森を通り抜けてどこかへ向かってたけどどこにいったの?」


 あたしは地図の前まで改めて戻って確認してみる。

 森を過ぎた先には地図の広さ的に土地があるけど、不自然なほどに何もかかれていない。


「まあ、ちょっとした会議といいますかですね。この先に魔族の領地はあるんですよ」

「だから、こんなまっさらなのね」

「魔王がいなくなってからも、小さいいざこざが何百年も繰り返されてきたらしいですが、今ようやく一部の魔族とは良好になれそうな所まで来たんですよ」

「そういうこと。随分、重要な役目を任されてるのね。マギアメタルといい」

「こっちは心労耐えませんけどね。まあ、あの森は魔族領と私達の国境に近い役割を果たしているんです」

「それって、あたし住んでたらまずいかしら?」

「アンジュさんが住んでいる場所はかなりこちら側なので、問題ないですよ。ただ、今後魔族の方も通り道として使うかもしれないのと、一部は道として整備する可能性はありますが」

「まあ、別に家を壊されるようなことがないならいいんだけど」

「住んでいる方の前で言うのもあれですが、魔力濃度が濃いので通り抜けるにはともかく、住むなら周りに別の土地がある今は開拓の必要がありませんね」

「まあ、静かならそっちのがいいわ」


 リリアちゃんは今のところ大丈夫だけど、少し気にしないと駄目かしらね。


「まあ、話も終わりましたし、そろそろアルミシアさんを迎えに行きませんか? なんなら、お時間があるならお茶でも」

「いいわね。それじゃあ、迎えに行きましょうか」


 気づけばそこそこの時間が立っていたらしい。アリアさんの提案にのってあたしたちは城を後にする。

 この方向だとリリアちゃんはギルドとかがある方向にいるかしら。

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