残念な友人とその弟と妹
「兄さん、何してるの?あと2週間だよ。」
うるさいな。弟よ。今は心の充電中だ。ゴロゴロしてもいいじゃないか。
「こと姉様と、せい兄様の両方ともに振られたのがいまだに尾を引いてるのです。私が駄目元で頼んだのですが、たく兄様は私達のクランに入ってくれると思い込んでいたみたいで。」
妹よ。今ので俺の心の充電時間が更に延びたぞ。
「はぁ、あれから3週間はたってるのに。清一さんに、また泣かされるよ。今度は大勢の前で、それでもいいの?」
その前に今泣きそう。
「かい兄様、実際のところどうなのですか?」
「そうだね、兄さんのLVは確か104だったよね。戦闘系のスキルも中級まで育ってるし、ステータスもSTRに少し偏ってるけど穴はないと思うよ。装備も一級品だし悪くないんじゃないかな。相手が普通のプレイヤーならね。」
「せい兄様に勝てるのですか?」
「うーん、予想通りなら無理かな。」
弟よ。無理とか言うなよ。泣くぞ。
「未来も知ってるよね、お婆様の奏様と本気の稽古が出来る人間が何人いるか。まぁ、それだけが理由じゃないけど。」
「はい、奏様は化物です。鬼です。本気の稽古についていける、こと姉様も怖いです。せい兄様は時々稽古に付き合ってくれるのですが何か怖いです。」
妹よ。奏様は化物だ。琴音も怖い。だけど清一は奏様から一本とれるんだぞ。あいつが本気になったら........あっ、泣きそう。
「そうだね。華月の家の人は戦いになると容赦がないからね。このままだと兄さんはボッコボコだろうね。」
「ボッコボコですか。」
こら!淑女がそんな言葉を使うんじゃない。
「だから、少しでも戦えるようにするためにLVとスキルを可能な限り限界まであげておかないと、ゲームのスキル以前にリアルスキルで瞬殺されちゃうね。」
「たく兄様が無様をさらす暇なくやられるのであれば我が家としては問題ないですが。」
辛辣!言葉が痛い!痛いぞ!妹よ。お兄ちゃん心が泣いてる。もう泣いてるの。
「相手が琴音さんならそうなるかもだけど、清一さんだと、嬉々として辱しめるだろうね。」
「それは、まずいです。予選で負けてもいいですが、本選に残ってせい兄様と当たるのは避けたいですね。」
.......このままここにいたら、心の充電どころか兄としての立場もなくなってしまう。
「ちょっとLV上げしてくる。」
「あっ!兄さん。ついでに風属性の素材があれば採ってきて欲しいんだ。」
「わかった。」
うわーーーーん!兄ちゃんは、兄ちゃんはやれば出来るんだーー。
「はぁーーーー、兄さんもここまで言わないと動かないんだから。」
「かい兄様、本当に実際のところどうなんですか?」
「清一さんは、ランダム転移ではじめてるから、はっきり言って予想ができないよ。でも前のイベントで【セト】って人の出品物を覚えてる?」
「ええ。覚えています。見た目は果物でしたが効果が凶悪でした。」
「そう、たぶん清一さんだと思うんだ。あのクラスのアイテムを5種類も持ち込まれたら戦いにすらならないかもね。」
「たく兄様、ご愁傷さまです。それはそれとして、せい兄様はどこにいるのでしょうか?」
「アイランドタートルって琴音さんから聞いたけど。どこにいるんだろうね。今回のイベントが落ち着いたらクランの方針を清一さんの捜索にしても面白いかもね。」
「それは面白そうです。たく兄様もやる気になってくれると思います。」
「そうだね。兄さんにはもっとしっかりしてもらわないとね。」
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