10. ここはどこでしょう?
僕は、大和さんに事の経緯を説明した。
『あはははは(´▽`)、華月くんのお母さんすごいね~。あっ、お母さんの事は喋らないから安心してね。ランダム転移ね~、メリットよりデメリットが多いからみんな選ばないよ、それに選んだ人もすぐにキャラデリしてやり直してるし。華月くんは、このまま続けてね、クラス掲示板の題材がほしかったの。』
やはりデメリットの方が多いらしい。周りに誰もいない、施設もない、もはやサバイバルだ。
「とりあえず、スクショくらいは撮りたいんだ。」
『そっか~。スクショの撮りかたはね。顔の横に手を持って来てカメラのシャッターを押す動きをすれば撮れるよ。カシャッてね⭐で、何か撮りたいものでもあったの?まぁ、男の子だから1つや2つは....うふふふふ( *´艸`)』
「(ここは流そう)そうなんだ、ちょっとモンスターだけど可愛い奴を見つけてね、もう1つ聞きたいんだけど鑑定できない物の条件ってなにかな?」
『可愛い..モンスターで可愛い....華月くん、スクショ撮ったら必ず私に送るように、絶対!!!でないとクラス掲示板で、華月×川上を拡散するから。』
電話越しでも圧が凄い、これは拒否したり、忘れたりすると本当にやりそうだ。
「わかりました!!今日送ります。」
『よろしい。理由は今度話すけどΩファンタジーは今、可愛いが足りてないの。で、鑑定だっけ、華月くん鑑定でなに見たの?私の初期の頃の鑑定でも鑑定できない物なんて見たことないし。ランダム転移した人の話でも聞いたことないわよ。』
「バナナっぽい物と、猿っぽいモンスターかな。2つともLV差があるため詳細が見れませんって、でてたよ。」
『うーん( ´~`)、考えれる可能性は2つ。まず1つ目、自身のLVが1で鑑定LV1の状態でもLV50のNPCやレアリティ★5のアイテムでも詳細が見えた情報があるの、だから華月くんが鑑定したのは両方ともそれ以上の存在の可能性があるわね。次に2つ目、隠蔽や偽装みたいなスキルがあった場合ね。でもこの場合は、スキルにより妨害されましたって、鑑定結果が出るから可能性は低いわ。』
「そっか、ありがとう。」
予想通りの答えがかえってきたので、猿?と敵対しなくて本当によかったと、改めて思った。
『質問はそれだけ?ならちょっと用事できたから電話切るね。あと、スクショは送ること、いいわね。』
「助かったよ、スクショは送るから心配しないで。」
『ふふふ、掲示板が荒れる予感。楽しみ~(((o(*゚∀゚*)o)))。』
不穏な事を言いながら大和さんは電話を切った。
新しい不安の種ができたが、問題のいくつかは解決したのでゲームに戻ろう。
僕は本日二度目のΩファンタジーへとログインした。
テントから出ると猿?達が足元にいた。
「キャー」
「ああ、食べ終わったんだね。」
猿?の一匹が食べ終えたバナナ?の皮を渡してきたのでインベントリに収納した。
「君たち、ここがどこかわからないかな?」
僕は、ダメ元で猿?達に質問してみた。
「キャ?」「キー」「キャ、キャ」
何やら相談しているみたいだ。こちらの言葉はある程度理解できているみたいなので、もしかしたら何とかなるかもしれない。
そうだ!!今のうちにスクショを撮っておこう。カシャッとね。
よし、ミッションコンプリートだ。これで変な噂を流されなくてすむ。
「キャーー」
相談が終わったみたいで、一匹が僕の前に来た。他の4匹が体に張り付いてきた!一瞬の事で近寄ってきたのが認識できなった。
「「「「キャー」」」」
体に引っ付いた猿?達が鳴くと視界がぶれた。
ぶれた視界が戻ると、とても大きな木が目の前にあった。木の周囲はひらけており、木を中心に半径50メートルくらいの大きな広場になっている。更に目を引くのは、木の根本にあるログハウスだ。
「これは、転移?魔法か?この子達、魔法がつかえるのか?」
僕はこの場所にも驚いたが、猿?達の転移にも驚いていた。
「この子達が人をこの場所に連れてくるとは珍しいこともある。して、少年はだれだ?」
正面に白いローブを目深に被った人?がいた。身長は二メートル近くある。話しかけられるまで認識できなかった。存在が周囲に同化している感じだ。自然体の極地を体現しているような感じがする。
「おーい、少年、聞こえてるか?」
「あっ、ああ、すみません。僕はセトと言います。誰かと聞かれたら困るのですが、外の世界から来たとかそんな感じです。」
僕は、何とか心の平静を取り戻し返事を返すことができた。
「ほー。外か、となると来訪者か、女神も酷なことをする。この島に来訪者を寄越すなど。」
「島なんですか?ここ。」
「なんだ?知らなかったのか。ここはアイランドタートルの甲羅の上、世界の海を気ままに漂う生きた孤島だ。」
「甲羅の上?モンスターなんですか?」
「ふむ、モンスターか。間違いではないが少し違う。この島もこの島にいる全てのモンスターはオリジンモンスターだ。もちろん私も、その子達も。」
そう言うと、目の前の人は顔が見えるようにローブをずらした。
ゴリラだ。動物園でみたゴリラと同じ顔がそこにあった。ナイスミドルなお顔だ。野性味よりも知性を感じる目が印象的な感じだ。
情報量が多すぎるが、整理するのは後にしよう今は会話での情報収集が急務だ。
「オリジンとはなんですか?」
「オリジンとはなにか?か、そのままの意味にとればいい、我々は原種、世界に生息するモンスターは我々の姿を神々が劣化模倣したものにすぎない。」
.......これは、初心者が聞いていい情報なのだろうか、いきなりエンドコンテンツの裏ボスにあった気分だ。
「もう1ついいですか、この子達と、あなたの名前を教えてください。」
「おっと、これは失礼した。私は、マスターコング、その子達はマジカルモンキーだ。名前で呼ばれる習慣がないのでな。好きに呼んでくれ。」
ここまできたら、とことんいってやろう。ランダム転移を強行したマイマザーが悪いのだ。ネタバレだろうが知ったことか。さぁ、コミュニケーションの時間だ。
僕は、インベントリからそっとバナナ?を取り出した。
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