11. 美味しいは偉大

結果からいこう、バナナ?による交渉は大成功に終わった。


僕の前には猿、ゴリラとフクロウそして亀がいる。


今現在の僕の状況に至るまでを簡単に説明しよう。



僕はバナナ?をマスターコング氏にプレゼント。

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マスターコング氏、バナナ?を食べて驚愕。僕をログハウスへご招待。

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マスターコング氏、たぶんスキルを使い誰かを呼び出す。

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フクロウ?と亀がやって来た。(ワイズオウルとアイランドタートルの分体だそうだ)

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ワイズオウル氏から他の果物の収穫を依頼される。

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マジカルモンキー達による転移からの収穫の繰り返し。

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果物をプレゼント、お礼は何がいいか、と聞かれる。

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僕は、悩んだ末、魔法と闘気について教えて欲しい。と頼む。 

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オリジンの皆さんは快諾。 

         


みたいなやり取りのあと今に至る。



 ちなみに、バナナ?の名前が判明した、ベイビーキングバナナというらしい。このバナナ、収穫する者の強さに応じて美味しさが変わる特殊な作物らしく、LVが低いと美味しく、LVが高くなるにしたがって味が下がっていくらしい。LV1の僕は最高に美味しいバナナをゲットしたみたいだ。

 他にも、ベイビークイーンアップルや、ベイビークラウンパイン、ベイビープリンスオレンジ等々がある。全てバナナと同じ特性がある。僕が収穫すると最高に美味しくなるらしい。


 魔法と闘気について学べることになったので、皆さんの呼び名をちゃんと決めようということになった。


マスターコング  【師匠】と呼ぶことになった。武術全般と、闘気の扱い等を教えてくれるそうだ。


ワイズオウル   【先生】と呼んでくれと言われた。憧れだったらしい。魔法と、錬金術など知識方面を教えてくれるそうだ。


アイランドタートル 【主様】と皆さんが読んでいるので僕もそうした。一番長く生きているらしく、歴史等この世界のことについて教えてくれるそうだ。


マジカルモンキー  見分け方がわからないので保留することにした。この子達はちょっと特別らしく、一緒に遊んでいると良いことがあると言われた。僕の中では癒し要員になる予定だ。

 

 とりあえずゲームの中での強くなる指針が立ったので、今日は一旦ログアウトしようかと考えていると、


「少年、今の少年がどの程度か知りたい。表に出て動きを見せてみなさい。フクロウ手伝いを頼む。」


「ホー、ウッドゴーレム辺りでいいですかな?」


僕は、これからウッドゴーレムと闘うみたいだ。


外に出ると、先生がホーと鳴いた。地面からニョキニョキ木が生え数秒後にはウッドゴーレムの姿になっていた。


「では少年、準備ができたら仕掛けなさい。なに、動きは単調な相手だ、気楽にやるといい。」


師匠は、気楽にと言うが、こちらは初期装備のナイフしか武器がない。やれるだけやるしかなさそうだ。


 僕は、まずウッドゴーレムの動きを観察することに注視した。師匠の言った通り動きは緩慢で単調だった。だが、攻撃力は圧倒的にあちらに分があるみたいで、まともに攻撃を受けるとすぐにテントに死に戻りしそうだ。


 しばらくウッドゴーレムの攻撃を避けながら、観察を続ける。ありがとう、ばあちゃん鍛えてくれて、今それが発揮されている。ついでに、じいちゃんも。

 リアルでの技術がある程度使えるなら、勝機はあるはずだと考えていると、ウッドゴーレムの喉元に直径2cmくらいの小さいガラス玉みたいな物を見つけた。


「......もしかして、あれが核かな?」


「ホー、よく気がつきましたな。ゴーレムは、魔力を核として体を形成しているのです。」


勝機が見えた。僕は集中力と体のギアを上げるべく一旦ウッドゴーレムから離れた。


「すー。ふー。すー。ふ、いきます。」


僕は、呼吸を整え。一瞬で周囲の音が聞こえなくなった。左手にナイフを構え一気に距離を詰めた。


ウッドゴーレムは、僕に向かって右ストレートを放った、この攻撃は何度も見たのでギリギリの距離で回避し懐に潜り込む、次の攻撃は左のハイキックここまではワンセットでの動きなので動作が変わることはないのは観察済みだ。僕はウッドゴーレムの右側面に移動しハイキックを回避。勢いを殺さないように、僕はウッドゴーレムの右脇腹に右手を添えそこを支点に遠心力を利用し、ウッドゴーレムの背中に抱きつくように飛び付くその勢いをそのまま利用し左腕を巻き付けるようにしてナイフの切っ先で首元の核を突き崩した。


 パリーンと、核が壊れる音がなるとウッドゴーレムは霧散し消えていった。


「はぁーー、何とかなったよ。」


 僕は、大きく息を吐くとその場で地面に倒れこんで大の字になった。


「動きに迷いがなく、洞察力もある。最後の動きはとても素人の物ではなかった。少年は、何かやっているのかね?」


「少しだけですけどね、元の世界の技術がどこまで通用するかわかりませんが多少は動けると思いますよ。」


「なるほど、多少の心得があるのならば訓練は多少容易となるだろう。フクロウそちらの評価はどうだ?」


「ホー、ホー、いいですな。魔法とは知識と想像力で如何様にも変化するのです。柔軟な思考と対応力を見れたので我輩は満足ですぞ。」


どうやら、僕は合格点を獲得できたらしい。


今日は色々あって疲れたので、ログアウトしようとテントをインベントリから出そうとしたが反応がなかった。僕は驚きシステムを呼び出しインベントリのリストを見る。


テントが無くなっていた。ヤバい、何故だ。落ち着け。冷静になれ。これは、ゲームだ、ログアウト出来ないなんて事故はないはずだ。


確かテントのテキストは、ログアウト用の拠点。回収すると何度も使えるが、最初の町に着くと消滅する。だったはずだ。ということは、僕は町に着いたということになる。


........僕は理解した。ログハウスだ。ここが拠点として認識されたみたいだ。


「すみません、申し訳ないのですが、寝る場所を貸していただく事はできませんか?」


「む?ああ、そうか、来訪者は元の世界に帰還する拠点が必要なのだったな。ならば、このログハウスを好きに使えばいい。私も、フクロウも住み処は別にあるし、日頃の管理をしてもらえるならこちらも助かる。」


「いいんですか?ありがとうございます。」


簡単に皆さんに挨拶を済ませると、ログハウスに入りログアウトした。


 



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