8. ソレヲ、ヨコセ、ハヤク、ヨコセ

「僕に何かご用ですか?」


僕は視線を感じた方へ声を掛けたが、返事がない。.....恥ずかしい、だがもう一度だ。


「えっと、僕に何かご用ですか?」


 先程より少し大きめの声で言ってみた。反応がない。だか視線は感じる。....警戒されてるのかな?......もしかして。

 あることを思い付いた僕は手に持っていたバナナ?の皮をインベントリにしまい、2本目のバナナ?取り出す。


 その瞬間気配が急に接近してきた、早い、今のステータスでは反応すらできない速度だ。僕はとっさに身構えた。


「うぉっ!!あれ、なんともない。」


「キャー」


 足元に何かいるな、恐る恐る下を見てみる。



 白い三頭身くらいのフッワフッワのモッコモッコの生物がいた。頭のサイズは握りこぶし大の大きさ、手足はフッワフッワの毛に覆われ正確な大きさはわからないがそんなに長くはないだろう。最大の特長は、長い尻尾だ体のサイズと同じ長さがある。その目は大きくクリクリしていて、とてもかわいい。


猿だ、デフォルメされた人形に近い。


「キャー、キャー」


鳴き声もかわいい、だがこいつはバナナ?を見ている。

バナナ?を右へ左へと動かすと、キラキラした瞳が追従してくる。


「欲しいのかい?」


「ウキャー!」


力いっぱい鳴かれた。いっぱいあるからあげよう。かわいいは正義だと、クラスの女子が言っていたし、敵意は感じないので、まぁいいか。


「ほら、お食べ。」


「キャー!!」


バナナ?を受けとると猿?はその場で食べ始めた。


うーん、和む。かわいいは正義だ。猿を鑑定してみよう。


【モンキー?】

モンキータイプのモンスター。対象とのLV差があるため詳細を鑑定できません。


 ですよねー。まぁ、予想はしていたけど鑑定できなかった。敵意が無いのでよしとしよう。たぶん戦っても勝てないだろうし。


「キー」


「おっ!食べ終わったの?」


猿?は鳴くとバナナ?の皮を手渡してきた。


「キャーー!!」


 いきなり大きな声で鳴かれたのでビックリした。猿?は変わらずそこにいる、敵意もいまだ感じない、どうしたんだろう。


 背中がゾクッとした、後ろからいっぱい気配を感じる。一瞬で現れた感じだ。


「キャー」


猿?がもう一度鳴いた。


「「「キャー、キャー」」」


 と、後ろから聞こえた。仲間を呼んだらしい。



 今、足元に白い塊が5個ある。キラキラ輝く瞳が10個期待をするようにこちらを見ている。


 僕、バナナ?を出す。猿?達、目のキラキラが増す。僕、手を左右に動かす。白い塊が左右につられて動く。

 

 ちょっと楽しいが猿?達の物言わぬ威圧感がすごい。ヨコセ、ヨコセとよだれをたらす勢いだ。そろそろ意地悪はやめよう、無理やり奪われたらトラウマになりそうだ。


 インベントリからバナナ?を大量に取り出して猿?達の前に置く。


「さ、お食べ。」


「「「「「キャー!」」」」」


猿?達は嬉しそうに鳴くと、それぞれバナナ?を食べ始めた。


 うん、写真が取れたらクラスの女子に売れるのではないかと思うほどかわいい。

 さて僕も、ステータスの確認をしよう。


名前  セト

種族  ヒューマン

職業

LV 1

ステータス

HP:190/190

SP:54/54

MP:75/75

STR:10+2

VIT:19+5

SPD:10+1

DEX:12

INT:15

MND:10

LUK:7


スキル  鑑定LV1 インベントリ容量増加・小LV2  環境適応LV3  

     気配察知LV1  言語理解LV2  (NEW)採取LV1


称号  (NEW)バナナ好き (NEW)モンスターの友達


装備

右手:初心者用のナイフ(STR+2)

左手:

頭:

胴: 初心者の服(VIT+3)

足: 初心者のズボン(VIT+2)

腕:

靴: 初心者の靴(SPD+1)

アクセサリー:ナイフホルダー



 言語理解のLVが上がっているだと、まさか猿?との触れ合いが会話とみなされるとは、それはさておき、スキルと称号が増えてるね。詳細を確認しよう。



採取  

採取品の品質がLVによって上昇する。LV×2のDEX増加



バナナ好き  

バナナを一定時間以内に乱獲した称号。バナナを使った作成物に補正効果。バナナ好きが集まってくるかも?

 

モンスターの友達  

敵意が無く知性があるモンスターとの会話、交渉ができる


.....よし、僕の行動を整理しよう、

バナナ?を乱獲 → 称号バナナ好き 獲得 → 猿?が集まってくる → 猿?とのコミュニケーション → 称号 モンスターの友達 獲得 & 言語理解LVUP


 猿と遊んで、スキルと称号を手にいれた感じか......

まぁ、結果オーライだ。よしとしよう。僕はまだバナナに夢中な猿?達から少し離れ、インベントリからテントを取り出した。一回ログアウトして少し気分をリセットするためだ。


僕はテントに入り、メニューを呼び出してログアウトした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る