曲がりくねった窟
洞窟・・・・というには間口は横に広く、岩肌はぬめぬめとてかっている。いたるところから湧き水が滲み出しているようで、
伽紅耶は平馬の耳朶にしがみついたままで喋らない。
洞窟ではない、と平馬が感じたのは、洞内が朝焼け
難があったのは壁だけでなく地も濡れていたことで、足に鎖を巻いていてもなお滑らないように、躰の重心を両の手でとりながら進んでいく。それを察して伽紅耶は耳から出てこないのだろう。
「お!」
平馬は首をかしげた。奥から人の
相当興奮しているようで、
「あ!」
「や!」
「う!」
としか聴こえない。
なるほど、いつも自分がよく発する
・・・・さらに進むと、喚き声の元が平馬にわかった。
人間・・・・である。転げながら叫んでいたのは、侍であった。
「や!」
平馬が声をあげた。衝動で口をついて出るのは仕方ない。
なぜなら、その侍たちは、竹沢左京衛門についてきたあの三人だったからだ。
「や!」
叫んだのは、平馬ではない。
一人が平馬の姿を認めて、思わず喜びの一声を放ったのだ。
「ひゃあ、わ、
「あ!」
一斉に叫び出したもので、誰があげた声かはわからない・・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます