怨霊の残像
・・・・
清盛の邸宅といえば鴨川の東、
御所の西南部に位置する
・・・・いまは雑木林のなかに民家が点在しているだけで、疫病や大火のおりの緊急の避難場でもあるだけに、平馬は道なき道に遭遇して困惑していた。それを横から・・・・いや、膝下から伽紅耶が繰り返し指摘するものだから、たまったものではない。
ひとに道を
(はて、これは・・・・)
背にある短刀の
なにげに
・・・・すると、ひょいと身の丈を伸ばした伽紅耶は、平馬の頭一つ分抜き出て、周囲を舐め回すように
「あ!」
《あ、ではないぞえ!気配がない気配、が漂いきたることに気づかぬ平馬ではあるまいに・・・》
「や!」
《や、ではない!おや・・・・こ、これは、悪霊
「あ、悪霊おこし・・・・」
たしかに平馬はその
怨霊になりきれない力の弱いものどもの
では、だれとだれを、どの
それがわからない。
また、それを為そうとする意思をもった者とは、一体誰なのであろうか。
《・・・・どうやら、核にしようとしているのは、
伽紅耶の声に緊張が聴き取れた。あとはことばにはならず、ぶつぶつもぞもぞと呟いていた伽紅耶は、平馬の短刀に気づいて、しゅるしゅるるっと身の丈を縮めた。
平清盛の霊を
《・・・・なるほど、平馬の持つ刀が、われらの身を護っておるのじゃな。それがなくば、すでに二人ともども、悪霊の
アッと平馬は驚いた。
短刀のことは初耳である。師匠の
ところが。
やはり、目に見えぬものどもが、遠巻きにするようにじわじわざわざわとこちらに近寄ってきてはすぐに遠ざかり、頃合いよくふたたび近づいてくる感覚というものを、平馬は確かに察し、感じていた。
《抜くのじゃ!平馬、刀を抜き放ち、
伽紅耶の声が平馬の
〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️
※註釈︰平清盛の邸宅があった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます