慣れない相手
屋敷に左京衛門と大曾根道之介を残したまま、いま平馬は
道之介が河童烏とおもわれる鳥から伝言布を拾わさせられたのがそのあたりというのである。詳細を
というのも。
やはり自分の出生にまつわることは聴きたくはないし、
いまさら、大名家の
《道を聴いておけばよかった》
そう呟いたのは平馬ではない。慌てて前後左右を見回しても、声の主は見当たらない。
《ここ、ここにいる》
膝下から声がした。みると十寸(約30cm)ばかりに身を縮めた伽紅耶が笑っていた。
「ど、どうして・・・・」
・・・・ついてきたのかとあとの言葉が続かない。
《ねえ、平馬》
膝のあたりで喋っているにしては、平馬には耳元の声としてはっきりと伝わっている。
《・・・・
「や!」
《や、でないぞよ。六町余の敷地ぞよ》
「あ!」
《あ、ではないぞえ。
「・・・・・・」
唖然として平馬は佇んだまま虚空を睨んだ。
それぐらいの智識は平馬にもある。
けれど慣れない相手にどのように対処していいか分からずに苛立ちだけがふつふつと
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