第18話
「さて、次は『
携帯食糧を食べ終えた弩門は自分の
それは封院所有者が作り出せる
「攻具ってどうやって出すんだ? こうか?」
弩門が両手を前に出し目を閉じて意識を集中させると、何も持っていなかったはずの両手に何かが置かれた重さを感じた。彼が目を開けて両手を見ると、そこには弩門だけの武具である攻具、弓と銃を組み合わせたような武器のクロスボウがあった。
「いくら俺が『弩』門だからって攻具までクロスボウにしなくても……」
弩門は自分の手の中にある攻具のクロスボウを見て、
雹庫県に生まれた子供のほとんどは、男の子だったら何らかの武器、女の子だったら何らかの動物が関係している名前をつけられている。
これは封院が現れて仁本が異世界と交流を持ち始めた頃から始まった風習で、「言霊」という考えが元になっている。言霊とは言葉に宿ると信じられている霊的な力のことで、仁本と交流を持った異世界の多くが魔術や霊力を使用していることが知られると、雹庫県の人々は言霊の力を強く信じるようになり災いや呪いに打ち勝てるようにと、自らの子供に武器や動物が関係する名前をつけるようになったのだった。
弩門という名前もそういった理由からつけられた名前で、他の場所ならともかく雹庫県では珍しくなく、探せば同じ字を使った似たような名前の人が数人はいるようなものである。それなのに封院所有者専用の武器である攻具が自分の名前と同じ武器の弩、クロスボウであるのを見ると、自分の名前に何か特別な意味があるのではないかと思ってしまう。
「まあ、いいか。それでこの攻具はどんな力があるんだ?」
弩門は自分の攻具であるクロスボウの細かいところまで調べてみたり実際に構えてみたりする。すると彼の中にある封院の知識が攻具の使い方を教えてくれて、まるで体の一部のように攻具が体に馴染み、一度も使ってもいないのに攻具に宿る力を理解することができた。
攻具のクロスボウは、クロスボウというよりもスコープ付きのショットガンに似た外見をしていて、銃身の下にあるポンプを後ろにスライドすると弓の弦が引かれると同時に紫色の光の矢が現れ装填された。
「これは凄いな。……でも」
封院の知識から攻具のクロスボウの使い方を教えられた弩門は、この攻具が武器としてだけでなく罠として使っても強力であると理解すると同時に、非常に危険で取り扱いが難しいことも理解した。
「できたら使いたくないけど……そんな訳にもいかないよな」
弩門はクロスボウに装填された紫色の光の矢を見ながら呟いた。
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