第13話
「朝か……」
ダンジョンアイランドにやって来た次の日の朝。弩門は自分に与えられた六畳半程の広さしかないマンションの一室で目を覚ました。
「……布団、買っとくべきだったな」
意識がはっきりするのと同時に体から僅かな痛みを感じた弩門は天井をぼんやりと見上げながら呟く。
昨日、コンビニで買った弁当を食べ終えた弩門とロロアはそのまま眠ることにしたのだが、部屋にはベッドや布団などの寝具がなく床で寝るしかなかったのだ。昨日は疲労が限界だったので気にはならなかったのだが、こうして目覚めると硬い床で寝たことにより体が痛みを感じているのだった。
「それにしても妙にあったかい……ん?」
そこまで呟いたところで弩門は自分の体が動かないことに気付き、唯一動く首を動かして横を見てみるとそこには……。
裸の女性の乳房があった。
「ふぁっ!?」
すぐ目の前に艶やかな褐色の肌で、見るからに柔らかそうで、それでいて弾力がありそうな女性の巨乳があるという光景に弩門の口からよく分からない声が漏れた。
弩門が混乱しながら首と目を動かして周囲を見回すと、彼の目の前にある巨乳はロロアのもので、彼女は弩門を抱き枕代わりに抱きついて眠っていた。
「ろ、ロロアさん!? 一体どうして? い、いや、そんなことよりも! とにかく起きてくれ!」
自分より体が大きく力も強いロロアに抱きつかれ身動きの取れない弩門の悲鳴のような声が部屋に響き渡った。
『それでロロアさんは何故裸で、俺に抱きついていたのですか?』
それから数分後。床に座っているまだ顔が赤い弩門がスマートフォンの翻訳アプリを使ってロロアに質問をすると、何故か裸のまま正座をしている彼女が返事をする。
『この部屋の床はとても綺麗で寝心地が良かったのです。でも服が邪魔だったのでつい脱いでしまいました』
ロロアの話によると、今まで彼女と仲間達は草木で作った即席ベッドかそのまま地面に寝るのが普通らしい。そしてこの部屋の床はそれらとは比べ物ならないくらい寝心地が良く、弩門が気になっていた床の硬さはロロアには大した問題ではなかったそうだ。
『それで弩門さんに抱きついたのは、なんだか寝苦しそうだったのと、自分の仕事を少しでもしようと思ったからです』
『ロロアさんの仕事?』
ロロアの言葉の前半の意味は理解出来たが後半の意味が分からなかった弩門が聞くと、ロロアはそれに頷いて口を開いた。
『はい。私は弩門さんに騎士達から助けてもらった上にこうして手下にしてくれました』
『手下、ですか?』
『弩門さんは
『そうなるのですか?』
ロロアの言葉に弩門は困惑した表情となって首を傾げるのだが、ロロアはそんな彼の目を真っ直ぐに見て話す。
『はい。そして私のような女がまず最初にする仕事といえば、主人である弩門さんにこの身を捧げて楽しんでもらうことです。ですから一緒に寝かせてもらいました』
(ええ〜? 何それ……?)
恥ずかしがる様子など一切見せず、当然のように「自分の体を捧げる」と言い切るロロアの姿に、弩門は異世界人との感覚の違いを実感するのであった。
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