パトラの魔法

パトラの魔法

傷口は塞がり血は止まり、傷跡すら残さない。

僕は魔法が使える。

お父さんとお母さんには

人に変に思われるから

滅多に使うなと言われてるけど。

影響はアニメ。

小学校1年生の時に、お母さんが包丁で指を切った。

僕はその時にハマっていたアニメのキャラになりきって、

｢パトラ！！！！｣

と全力で叫び両手をかざした。

するとお母さんの指の傷が治った。

僕が無邪気に喜んでいたら

お母さんはびっくりしていた。

お父さんが玄関でこけて擦りむいた膝にも同じことをした。

お父さんはびっくりしていた。

僕がかけっこでコケちゃった時。

自分でも実験してみた。

治った。

お父さんとお母さんが話し合いをした。

｢この子のこれってもし、国とか医療機関にバレちゃったら実験されるんじゃないかしら、、？｣

｢、、わからない、まるでマンガの世界だ。。 けれど、この子の為にも隠した方がいい、この子には普通に生きてほしい｣

お父さんとお母さんの話し合いの結果、

僕はこの魔法をお外で絶対使えない約束になった。

皆の役に立てるのになぁ、つまんない。

でもお父さんとお母さんは怪我したら内緒で僕に頼んでくる。

しかたないなぁ！！！！！

僕はこのパトラの魔法をコソコソ使う。

それから三年生になった。

僕はクラスじゃ目立たない方だ。

勉強も普通、運動も普通。

パトラが使えたら人気者になれるのになー、、

でも怒られるのも嫌だし。

我慢。

そんなある日。

僕は帰り道で

事故にあった犬を見つけた。

息は、、

してる、、、

よかった、、、

でもこれほっといたら死んじゃう、、、

僕は周りにあんまり人が居ないのを確認して

『パトラ！！！』

と唱えた。

あれ？？？

もう一度、

『パトラ！！！！』

あれ？？？？

僕やお父さん、お母さんの怪我はこれで治るのに！！！

治せない！！！

僕は何度も

『パトラ！！！！』と唱えた。

早くしないと犬が死んじゃう、、、

力を両手に全部集中させるイメージで

今までにないぐらいの大声で

『パトラァ！！！！！！！！』

と叫んだ！！！！

、、、、、、、、、、、、、

あれから俺ももう高校生。

あの頃使えてた魔法はもう使えなくなった。

何故だろうとたまに考える。

でもいつも同じ結論に至る。

きっとこいつを助ける為の能力だったんだろうな、一時的なやつでさ。

我が家の愛犬、シロは今日も元気だ。