第36話『天下分け目の戦い〜講和〜 』

関ヶ原の戦いにて思いもよらぬ敗北を喫した秀家は、勢力の立て直しに奔走していた。そんな秀家の下に、上方より秀頼の文が届けられた。


「殿!秀頼様の文が上方より!」


「なに!?秀頼様の文と!」


秀家は文を持ってきた家臣より、半ば強引に奪い取り目を通した。


「なんと……」


「秀家なんとある」


「金吾……我らは想定以上に失態を晒したかもしれぬ」


「……!?」


「一体なんと!?」


「秀頼様はこれ以上の内紛は国を衰退させるため、速やかに講和せよとのこと……また利家殿の葬儀の為上方へ参れと」


「実に彼処で勝たねばならなかったか……」


「あぁ……無視することは許されぬであろう。秀忠め……このまま逃れれると思うなよ」


秀家は雲一つない空を見上げ、いずれのうちに徳川秀忠を討ち果たすことを内心決意するのであった。





またそういった文は、大井川にて弟忠吉が西軍に敗れたとの情報を受け取り、焦っていた秀忠の下にも当然届けられた。


「どうするべきか!?大垣城をと考えていたが、明石が居るとなると容易くは落とせまい!しかも、父上の軍勢がお敗れになり、とてもじゃないが上方までは迎えん」


「申し上げます!上方より、秀頼様の文が届いております!」


「!?……文を」


秀忠は一体なにが書いてあるかと恐れで、震えが一向に止まらず、手に持つ文が小刻みに震えていた。


万が一にも父を裏切れとでも書いていれば、恐らく徳川方についた豊臣恩顧の諸大名は確実に裏切るだろう。


そうすれば自分の命など最早無くなったも同然であるのだが……文に目を通した秀忠は喜びを隠しきれない様子となり、「秀頼様の……秀頼様の御命令である。これより我らは前田方と講和をし、上方へと参上する!」と高々に宣言した。


こうして数日後、講和会談を執り行った両東山勢は、互いに関ヶ原にて討ち取った首を返還するなど、大まかであるが講和とした。


そして東西両軍の東海勢にも、秀頼の文が届けられた。その頃には既に駿府城が西軍によって取り囲まれていた。


尚家康は戦わずして、駿府城から退却し廃城となっていたが修築されていた蒲原城へと入城し、駿府城は家康の逃げる時間稼ぎとして寡兵のみが残された。


駿府城は僅か二日にして陥落。西軍により奪還された。また駿府城攻めと同時に人質交換の手筈が整えられ、駿府城落城後、秀頼の講和の命令と合わせる形で、蒲原城から近い中村・浅野両家の人質が、井伊直政、松平忠吉と緊迫した雰囲気の中で交換された。


そしてどちらの講和も共通で戦後処理については、後日大坂にて再度行われることとなった。


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またウマ育ててました。何回か育てるの失敗しました。天皇賞春が憎いです( ^ω^ )

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