第34話『関ヶ原の戦い〜序盤南宮山等〜』

南宮山にて指揮する明石全登の


「狙うは!秀忠が首ただひとぉぉぉぉおおおつ!!邪魔するものは全て薙ぎ払えぇぇえ!!進めぇぇぇえええ!!」


の一声により、織田秀雄ら諸将の軍勢合わせて一万五千の軍勢は山を駆け降りた後に、先ず富田隊二千と相対した。


西軍方が狙うは宇喜多本隊らと宇喜多副隊(明石隊)による秀忠の挟撃であり、挟撃する前に撤退されてはこの作戦が水の泡となってしまう。その為にも速やかに秀忠の退路を断つ必要があった。


そうした事を背景に、全登はこう下知する。


「道を阻む者は全て殲滅せよ!秀忠が首はここで取らねばならんのだ!」


一方で大きく士気の上がる宇喜多副隊らに攻撃を受けていた富田信高は「なんとしても此処を死守せよ!秀忠様の退路は残さねばならん!」と軍を鼓舞し、柵や火縄銃を効率的に使用した戦で、長時間に渡って退路の防衛を果たした。


また鼓舞するのと同時に池田輝政に送った援軍の使者が少し置いて到着し、使者を送ってから数十分後には池田隊が加わり防備に厚みがました。


富田信高は前線で力戦奮闘し、池田輝政を出迎える為に、後方へと下がった。


「信高殿間に合ってようござった!」


「あぁ……しかし、輝政殿申し訳ない。我ら軍勢は敵の大軍により、最早潰走寸前である。輝政殿に多大な負荷をかける事許し願う」


「よく二千の軍勢で耐えられた!一豊にも使者を送った故、更に兵は増える事違いなし!この道を守り抜けば我らが勝利!」


「あぁ!必ずや、守り抜こう!」


厚みが増したとはいえ当然、一万五千と山内隊合わせても九千と兵力差は大きかった。ただ、この九千にも増した防衛を、中々宇喜多副隊らは突破出来なかった。しかしながら、一時間以上にわたる攻防と、繰り返し行った突撃の末に遂に、防衛側に亀裂を生じさせ、突破することに成功した。


こうして序盤は西軍優位に戦は進む。


尚笹尾山に於いては西軍、東軍両軍共に、火縄銃の撃ち合いによる睨み合い。膠着状態に業を煮やした仙石秀康(秀久)の突撃と奮戦、秀康を援護する様に動いた田中吉政の活躍に依り拮抗している。


また天満山に於いては、天満山全体の強力な防御力の前に、東軍は手も足も出ずに局所的に、両軍睨み合いが続いている。

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