第20話『第二次上田合戦〜開戦前〜』

秀忠は、忠政、信幸の帰参の報告を聞くや、直ぐに陣に呼びつけた。


「安房守との会見……如何であった?」


「伊豆守殿報告を……」


「ええ。父安房守は数日後、敵対を不問にし、上田一体を安堵することにて開城する次第となりました」


「……さようか!!」


満面の笑みを浮かべて、少し経ってから元の緊張感のある表情の中に、少し喜びを垣間見させた。


「よし、よし。安房守が……おだやかに上田の城を明け渡すと!?それならば悪い様には計らわぬ。伊豆守も安心致すが良い」


秀忠は終始満足気であった。昌幸の掌で踊らされているとも知らずに……

 

安堵に包まれた徳川勢とは裏腹に、上田城では……昌幸を信繁が向かい入れていた。


「如何でありましたか?」


「源二郎にも見せたかったわ」


「いっ、一体何を……」


「源三郎の顔をだな」


「どのような表情を……」


「たいそう困りきっておった。感心に口を挟みはしんかった」


「我らの申し出でを、かの使者は受け入れましたか……」


「尻の青い若僧がのう。いと興奮しておった」


「美濃守忠政殿ですか?」


「いかにもじゃ」

 

そうして約束した三日目がやってきた。

正信は『まさかそのまま潔く開城するとは思えぬ』と秀忠へ進言をした。


物見の兵たちを上田へと差し向けてみると、城の清掃どころではなかった。


城下の民らを立ち退かせた後、城下一帯に柵を設け、武装した兵らが各地守備に当たっていた。


櫓には黒地に金の六文銭の戦旗が翻っていたそうして。城門を出た武装部隊が何処かへと移動しつつあった。

 

唐突の事に焦った徳川勢は「速やかに明け渡す様」という使者が出した。


真田は使者の文に対して、こう返信した。


「一時は、本城を明け渡すつもりであった。しかしながらに、亡き太閤殿下の御恩甚だ忘れがたく。斯くなる上は、此の上田城に立て籠りて、潔く戦い討死を致す所存。わが名を後代にとどめたく思う。上方へ向かわれる次いでとばかりに、之攻められよ」


と完全に人を馬鹿にした様な返答であった。此れに対して、後に知った秀忠はたいそう激怒し、本来一万を残して進軍する予定を、中止して、一先ず全軍で攻めることを決定した。

 

秀忠は全軍を率い、日も少々上がり始めた頃、戦闘の用意を見せた真田を征伐すべく、小諸を発ち、上田にある染屋の台地へ本陣を構えたのであった。


本多忠政・真田信幸の報告を聞いた秀忠は、怒りを抑え切れないながらに、「必ずや攻め落とせ……」と短く直ぐ様、上田攻めを下知した


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そろそろ毎日更新が辛い頃です……もしかしたら毎日更新が止まるかもしれないですね……

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