第6話『醍醐の花見〜序〜』
資料を探しながら醍醐の花見を書きました。間違いが有れば報告をお願いします ( *・ω・)*_ _))ペコリン
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
慶長三年三月十五日(太陽暦/西暦1598年四月二十日)醍醐の花見は開かれた。
父の最後の、一世一代の花見の宴にふさわしく、約1300名女性が招待され、700本の桜木が植樹されるなど大金が注ぎ込まれ、女性の衣装代だけで三万三千貫(約四十億円)をかけたらしい。初めは島津に命じて用意させたらしい。流石は太閤である。
ただ用意する様に命じられた島津は可哀想である。関ヶ原の戦いの際に、三河狸本陣目掛けて突っ込み、戦線を離脱して、西軍に属しながら本領安堵をもぎ取った、忠臣と言える島津を不憫に思った俺は一応、『お父上、競わせる為に、西の島津だけでなく東の徳川にも手伝わせては』と言ってみた。
その後聞いた話だと『其れは面白いと』五奉行を通じて徳川にも命じたらしい。これで島津の財政危機を抑え、徳川に240万石を誇る徳川に多少なり打撃を与えれればと思う。
因みに島津はというと、『秀頼が提案した』という事を聞き歓喜したらしい。
用意されたのは、漆で描いた模様の上から金箔を貼った
江戸時代には倹約令の為に禁止された摺箔や、西陣織を脅かす程に成長した為に、制限を受けた鹿の子はとても絢爛豪華である。
男は全くいない。全て女性か男性だと俺と父のみが入る事を許される女の花園なのだ。
母ら一向は久々の外出ににこやかだった。しかし問題は宴会の席で、起こってしまった。
正室である北政所の次に杯を受けるのが予定では母であったのだ。この事に松ノ丸殿(京極高吉娘)は不機嫌だった。
「杯を取らす」と父が言った直後、松ノ丸殿が突如言葉を発した。
「何故妾が淀の下でなければなるまい!杯を取らせて貰う」
「順番が違うではないですか!」
「そもそも京極家臣の浅井出身の貴方が、私よりも序列が高いのがおかしいのよ!」
「秀頼の生母はこの私です!貴方よりも上なのは当然でしょう!」
松ノ丸殿の京極家は、室町幕府の政所を担う四職に連なる名家だ。一方、母の浅井家は京極の一家臣に当たる。
しかも下剋上により京極から北近江を奪った相手だから一層蟠りがあるのだろう。
松ノ丸殿が序列を無視して母より先に杯を取りに行ってしまった。母は慌てて松ノ丸殿を押しのけて杯を取りにいこうとしていた。
もみ合う二人を見て、俺は利家の妻であるまつの出番を奪おうと思った。
「母上みっともないのでやめて下さい」
と言って母を宥めながら「まつ様、おね様との旧知のまつ様がお先に!」と勧めた。完全にもう直ぐ五歳児となる子供とは思えないのだが、神童と持ち上げられているので大丈夫だと思う。
多分大丈夫だよね?
この一件は女性伝いに諸大名に伝わり、秀頼を褒め称える言葉で溢れたらしい
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます