第2話『お父上との一幕』
御先祖様の秀頼公に転生してしまったのはさておき、よく分からないままに、上等な着物を着させられた。
「さあさあ、拾丸様此方へ」
促されるままに絢爛豪華な一間へと連れられると……其処にはこれまた豪華な服を着る初老の男性がいた。
「おぉ〜〜拾丸♡おはよう」
おぉ……いきなり思いもよらない溺愛振りだ。やはりこの男性が羽柴秀吉、俺の、秀頼の父なのだろう。
一応ニッコリスマイルで挨拶をしておく。
「お父上おはようございみゃす!今日は何をして遊ぶの!」
敬語にするつもりが、年相応か、若干三歳ほどではやはり噛んでしまったり、言葉使いが変わってしまうらしい。もう少し大人しくした方が良いのだろうか……とも考えさせられる。
「なんでも良いぞ〜〜蹴鞠なんてどうじゃ。それか貝合わせか?それとも囲碁か将棋か」
「将棋をやりとうご」
「おぉそうか、では将棋をやろうではないか」
「盤と駒を持ってまいれ」
襖の奥から「ははッ」と声が聞こえると、暫くして明らかに高級そうな将棋の駒と盤が目の前に置かれた。
「父が駒を並べてやるからの〜〜♡」
明らかに楽しそうな様子である。最後の最後に産まれた子供だからなのか、非常に溺愛っぷりが激しい。
「駒の動かし方はのぉ〜〜」
と此処から五時間程お父様と将棋を打つこととなった。
因みに金銀飛車角落ちではあったが、現代でも将棋にハマっていた御蔭か、一勝だけすることができた。お父上はたいそう驚かれて、お喜びになっていた。
将棋を教えて貰い、打っている途中、父から突然に「拾丸♡今度上洛ゆる故準備しておくのだぞ〜〜」と言われた。
もしかして後陽成天皇と謁見でもするのかな……
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