エピソード(6)相談相手
それから、秋人は良い聞き役になってくれた。
話を聞くのは、もっぱらあの空き教室でだ。
「えと、玲はね昔から男勝りで、私の前ではすごく強がるの、昔なんかね、苦手な牛乳をのんだときも大丈夫だ!なんて言って・・・」
花は、今まで玲のことを秘密にせねばならず、行き場のない思いを抱えていたので、玲に関する話をすることができる人がいることが嬉しかった。
それ故に一度話し出したら止められなかったのだ。
「そうか、そうか」
秋人は穏やかに頷いた。
花がどれだけ玲のことを話そうとも秋人はずっと聞いてくれていた。
「桜は玲のことがほんとに好きなんだな・・・」
花の顔がボッと赤くなった。
図星を疲れてとっさに対応できなくなる。
「そうか・・・」
秋人は呟いた。
「私は玲のこと大好きだけど、玲はどうなんだろう・・・」
花は、宙を見ながら切実に呟いた。
「それは・・・」
秋人は言葉を紡ごうとした。
そのとき、キーンコーンカーンと予鈴の音が鳴り響いた。
「あ、時間だ!またね!」
そういうと花は駆けだしていった。
「桜・・・」
秋人は独りでにそう呟いたが、同じく教室に戻っていった。
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