二章

第13話 アクトレイザーな人々


               ※


「いやあ、まいったなあ」


「どうしたんです?」


「今上がってきたログ・チェックの報告なんだけどねえ。新実装の〝へカトンケイル〟……早くも解放されちゃったみたい。しかも九番機」


「おや、あなたのイチ推しじゃありませんか」


「ホントねえ、まさか真っ先に解放されるとは。でもまあ、コイツの条件はヤリコミ系じゃないし。それにほら、解放したプレイヤー、真結月まゆづき家の次男坊だ。ある意味、仕方ないよ」


「マユヅキ……? 有名人ですか?」


「おや、知らない? やれやれだ、もっと自国の伝統文化に目を向けたまえよ、お嬢さん」


「上司がフリーダムなせいで多忙なんです。……………………ああ、確かにこれは仕方ないっていうか、むしろ、この人たちにアチブ解除できなかったら誰ができるんだって話ですね」


「だって、そもそも〝解除できるもんならやってみろ〟ってコンセプトなんだし」


「で、あっさり解除されちゃいましたか。ダサ」


「いやあ、面目ない」


「それにしても、がVRゲーム、しかも巨大ロボットで銃撃戦ですか」


「たぶん、彼は銃撃戦してるわけじゃないでしょ? だからこその〝剣帝けんてい八翼はちよく〟解除だ。そもそも、武士でも騎士でもゲームを楽しむ心は同じだよ。僕は──」


「はいはい、私が間違ってました。御高説もっともですから、さっさと準備してください。もうライブ放送始まりますよ、数少ない宣伝チャンスを大事にしてくださいな。いちおうはプロデューサーなんですから」


「りょーかーい、がんばりまーす」


「余計な発言は控えてくださいね。例えば〝隠し機体のヘカトンケイル、早速解放されちゃいました♪〟とか。ただでさえGTCは情報管理がブラックなんですから」


「…………」


「おい、返事はどうした」


「……前向きに善処します」


「いや、今は前じゃなくてこっち見ろ。逃げんなコラ」


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