極道都市ヒロシマ。そこは女子高生たちが極道となりシノギを削る「こくどう」の街だった。東京から転校した孤独な少女・上島安奈は、少年院から帰ってきたばかりの日輪高子と出会う。高子は、現在のヒロシマを支配する天神会会長の白島に傷をつけた祇園会きっての武闘派だった。高子の出所を機に、ヒロシマを揺るがす騒乱の幕が開ける。
女子高生が部活動として極道をやるという世界観が個性的で、お互いのメンツをかけて切った張ったの修羅場を演じる女子高生たちの姿が衝撃的です。
日輪高子への復讐のために祇園会を生かさず殺さず延命させてきた白島、表向きは天神会に従いながらも祇園会復活のために虎視眈々と機を窺う高子、一手でもしくじればたちまち奈落へ真っ逆さま、クレバーな女子高生たちの駆け引きが緊張感を煽ります。
さらにミヤジマ市を仕切る道龍会がヒロシマの利権を狙って進出し、三つ巴の様相を呈して、その抗争に安奈も巻き込まれていく……。
うら若き乙女たちの命を賭けた血で血を洗う青春の日々。美しく咲き誇り、儚く散る桜のような可憐で苛烈な生き様に魅せられます。
(「極道の者たち」4選/文=愛咲 優詩)