第17話 あの時のおっさん、現る

 ついに、決勝戦がやってきた。


 相手はここまで、余裕で勝ち進んできたあのおっさんだ。

 このおっさん、どっかで見たことあるんだよなー。


「お前、俺が銀貨を貸した兄ちゃんじゃねーか」


 その男に言われて思い出した!あの親切な、いかついおっさんか。


「あの時は、ありがとうございました。借りたお金は、優勝して返します」


「言うじゃねーか!ガハハハ」



 ついに、始まる。

「決勝戦は、街の人気者グリット親父と期待の新人、杉本海斗だー!」

 

 会場のボルテージは最高潮だ。

「パパー!」

 レイン、見ておけよ。パパが優勝してやるぞ。


「試合を開始してください!」


 俺は今までの試合通り、おっさんの懐へ入った。その瞬間、体全体に衝撃を感じた。俺の体は三メートル程、吹き飛ばされた。


 司会の男が叫ぶ。

「でた~、グリッド親父のスキル衝撃波だ!」


 何てスキルだ。一発貰っただけで、気を失いそうになる。

 集中して、衝撃波のタイミングを読み取るしかない。俺は、目を閉じた。


 …ズッ、よし今だ!俺は超スピードで背後へまわり込む。勝った…


 あれ?おっさんが見当たらない。後ろから声が聞こえた。

「そのぐらい、わしも出来るわ」


 振り向くと、おっさんは目を閉じていた。


 ドカン……ドサッ


「勝者、グリッド!」


 こうして、ファイティング・フェスティバルは終了した。

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