第16話 目を閉じろ!

「試合を開始して下さい!」


 あれほどの剣士となれば、なかなか近づくことができないな。


 リゼの方から攻撃を仕掛けて来た。

 攻撃は俺の足を狙ったものだった。


 なるほど、俺のスピードを封じてから戦おうとしているんだな。なかなか、頭が回るやつだな。


 その後も、リゼは隙を与えずに攻撃を仕掛けてくる。俺は逃げ回るしかなかった。

 よける、よける、よける、よける………


 ズバッ


 リゼの剣撃が俺の服をかすめた。危ない、危ない。

 集中しろ。シザーバットを倒したときを思い出せ。

 俺は目をつむり、音に集中した。


 ザッ、タッタッタッ、ヒュンッ


 今だ!音の方へ拳を突き出した。


 パキン


 目を開けると、リゼの剣は真っ二つに折れていた。女に手は出したくないが、仕方ない。俺が攻撃をしようとすると、リゼは両手を空に突きあげた。

 まだ何かあるのか?


「降参。参りました」


「勝者、杉本海斗さん!」


 やった!勝ったぞ、レイン!これで、三位以内には入ったから、賞金は出る。次は、一位になれば金貨十枚である。


 リゼが近づき、声をかけてきた。

「優勝してくれ。私に勝ったんだからな」


 冷たいやつだと思ったが、なかなか良いやつじゃないか。決勝は今まで勝ってきた相手のためにも絶対に勝たなければいけない。

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