☆2nd Song☆

薄暗く冷たい空間…。

光は目の前の扉からしか入ってこない…。

扉の向こうからは2人の男の声。機材を設置するような音。


「来ちまった…」

屋上入り口の前でつぶやく俺…。

まだ取っ手に手さえかけられずにいる。

来てしまったもののどう切り出そうか迷っている。

今日こそきちんと断らないと。こういうのは早いに限る。でもどう伝えたらいいものか…

なぜここへ来てしまったのか。わざわざ来て断らなくとも、今日ここへ来ないことでNOを表現できたはずだ。

なのにわざわざどうしてここへ来ているのか自分でもわからない。

ただ、昨日の胸のざわつきが今もまたやってきている。

今まで他人とのかかわりをできるかぎり避けてきたツケが今、回ってきたような気がした。

できる限りかかわりを避けて、ひとりでいることを心掛けていた。思えばあの日から俺の人生は変わったのかもしれない。

しかし、今はそんなことを考えている場合ではない。

「どうしたもんかなぁ…」

独り言だけが増える。


ガチャッ


重い鉄の扉が開く音。

額に手を当てて考え、悩んでいた俺の目と開いた扉の隙間からのぞく目がぶつかりあう。

ケンだ。

「セーラぁぁ!来たんだったら入りなよ!入り口前で声が聞こえたから誰かと思ったじゃぁん!」

気まずい!!

「いや…あっ…うん…」

俺は衝撃のあまりまた流された。でもどこかほっとしている自分もいた。

なんでだ?なんて考える暇もなくケンに腕をひっぱられ屋上に入る。

ムネヨシは機材調整をしながらチラリとこちらを見た。

表情は昨日のようにあまりなく、感情は読み取れなかったがなんとなく「来たか…」とでも言われたような気がした。

そしてムネヨシはまた、調整に戻る。

「ほら!セーラあそこっ!!」

俺が固まっているとケンは子どもみたいにはしゃいだ声でムネヨシのほうを指差す。

「ドラムだよ!ドラム!!」

見るとそこには立派な赤と白のめでたい色のドラムセットが置かれていた。

「今朝ムネニクが持ってきてくれたんだぁ!ムネニクって仕事速いよね!俺、ドラムセット間近で見るの初めてだから超感動して興奮しまくって今日の授業は全部爆睡だったよぉ!」

突っ込みどころが多すぎてもうどうでもいい。きっとケンは勢いだけで生きてきたんだろうなぁ。

「ムネヨシだ。あと、お前は興味ない授業はほとんど爆睡してるだろう。むしろ興奮したら眠れないだろう。それから、この前楽器屋でドラム壊しそうなくらい興奮して見てただろ。っていうか俺ん家楽器屋。何回も来てるだろう。」

さすがムネヨシ。ケンの突っ込みに慣れている。そりゃこんなやつと一緒にいたらそうなるんだろうな。

っていうか家、楽器屋なんだ。

「まぁまぁ!そんな細かいことは気にしない!」

対してケンは軽い返答。ムネヨシに少しだけ同情する。一瞬だけ眉間に皺を寄せたムネヨシはすぐに切り替えて俺に向き直る。

「セーラ。試しにたたいてみるか?」

ムネヨシにセーラと呼ばれたのに驚いた。昨日出会ったばかりだがクールな印象があったムネヨシにニックネームで呼ばれるとなんだか新鮮に感じた。

しかし、まだ断り方を考えていた俺はその質問に曖昧に答えた。

「え…あ…う、うん…」

乗り気ではなかったが初めて間近で見るドラムセットの凄さと二人の視線に緊張し断りきれなかった。

ムネヨシからドラムスティックとかいう木の棒を受け取りドラムをボーっと突っ立って見つめた。

何かよくわからないが手と足が震える…。

背中がゾゾッとして体が硬直する。なんかすっげー緊張してる。

ムネヨシがそっと背中を押して俺にドラムの椅子に座ることをすすめる。

俺は硬直した体をぎこちなく動かし、大小さまざまな太鼓やシンバルに囲まれる椅子に座った。

「ドラムの音を自由に聞いてみろ。」

後ろからムネヨシが言う。ドラムセットを挟んだ目の前できらきらと期待した目を輝かせながらこちらを見ているケンが視界に入る。

まぁ…こんな状況まで来てしまったし、少し試してからやっぱり向いてないからって断ることにしよう。よし!それでいこう。

断る理由を思いついた俺はドラムスティックを握った両手を見つめる。手のひらはすでに汗だくだ。

一息飲んで深呼吸してそっと右手のドラムスティックを正面の太鼓に伸ばした。


【トンッ】


空に高くカラッと短く響く音。空っぽなんだけどしっかりした音。

上手く表現のしようがない心地良い音。


もう一度息を呑む。

そして、その右隣の少し高いところにある小太鼓をたたく。


【トンッ】


さっきよりも少し低い音。喉の奥に短く響く音。まっすぐに響く音。そして、やはり心地良い音。


続いてその上のシンバルに手を伸ばす。

次は息を呑まない。


【シャァン】


耳にうるさく響く。少し肩をすくめる。だけど鬱陶しくなくて、体中の毛がよだつような感覚。

ゾワゾワっとして…でもやっぱり心地良い。


それからは止まらない。なぜか止まらない。いや…止められない。止めたくない!!


息をするのも忘れて、すべての楽器をたたき鳴らす!踏み鳴らす!速度がどんどんと上がる!!

何度も何度も。初めておもちゃを与えられた子どもみたいに緊張しながら…いや、興奮しながら!!

何度も何パターンも鳴り響かせる!狂ったみたいに、捕らわれたみたいに、狂って捕らわれたみたいに、捕らわれたから狂ったみたいに、狂って狂って、素人丸出しの荒い音を鳴らす。

「楽しいか?」

ムネヨシが後ろから大声で言った一言で手足が止まる。同時にムネヨシを振り返る。

きっとすごい表情をしていただろう。目が大きく見開いているのが自分でもわかった。

脳天に響くドラムの音で断る理由どころか断ろうとしていたことすらすっかり忘れた。

俺はゆっくりと、ドラムスティックが握られたまま未だ震える両手を見つめながら答える。

「なんかよくわかんねぇけど…えっと…こう…なんかゾッとしてドキドキしてる。」

「それ!すげー楽しいってことだよ!!」

今まで静かに見ていたケンがムネヨシと俺の間に飛び込んできて言う。

ケンも興奮しているようだ。より一層興奮しているようだ。

「俺も…最初そうだった…」

俺の目をまっすぐに見据えながら、どこか遠くを見つめて言うケンの姿は出会って間もない俺にも珍しく、新鮮に思えた。

「そう…なんかな?」

「そうだよ!」

いつもどおりの元気で自信たっぷりの確かな答え。

「あぁぁ!!やべぇっ!早く合わせしてぇぇ!!なぁムネ!!」

胸の前で強くこぶしを握り締め、背後に居るムネヨシに問う。

「あぁ」

わずかに口角を上げてそれに短く答えるムネヨシ。

「よっし!じゃあドラムも合わせよう!!」

「「はぁ!?」」

ムネヨシとハモった。同時に激しく顔がゆがんだ。

「俺…今、初めてドラムたたいたんだけど…」

「お前、無茶は休み休みもいうな。」

俺とムネヨシは話しにならないとばかりにケンに背を向けて大きくため息を吐く。

「えぇぇー!?だって音楽って勘とかじゃん!」

今、こいつミュージシャンを敵に回した。

「あほう。」

さすがのムネヨシも突っ込みがてらにケンの後頭部をパシッと叩いた。

「うぅぅ…じゃあせめて俺らの曲を聴かせてあげようよぉ」

叩かれた後頭部を押さえながら眉間に皺をよせて言う。

「最初からそれくらいで言え。」

ムネヨシは静かにご立腹だ。

そして、静かにドラムの前に回りこんでベースを持つ。

その姿を見たケンは目を輝かせてパタパタと自分のギターの元へ行きストラップを肩にかけてギターを構える。

そして、まだスティックを持ったままドラムの前に座る俺に向き言う。

「どーもぉー!俺たちの初ライブにようこそ!」

いつもの調子でケンは言う。

「あんたは運がいい。」

いつもの調子でムネヨシは言う。

「しかも目の前っていう特等席!」

いつもどおりなのに少し違う。

「ちょいと近すぎて耳が痛むかもだが。」

いつもどおりなのに何か違う。

「俺のハートはでかいからねん♪」

いつもどおりなのにゾッとして。

「ハートがでかくても耳は痛まん。」

いつもどおりなのに目がそらせなくて。

「じゃあ…俺は激しいからねん♪」

いつもどおりなのに体が動かなくて。

「女子にはウケそうなセリフだな。」

いつもどおりなのに息ができなくて。

「やった!これから使おう!」

なんか…

「あほう。」

なんか…

「へへッ…んじゃまぁいきますか♪」

自分の中の何かが…

「おう。」

自分の中の不変な何かが…

「よーっし!

ワンッツッスリッ!」


―――変わりそうな気がするんだ…―――














【ギガガァァーン】


「ヴっ」

体中の毛がよだつ。耳が痛ぇ…。

確かに激しい。今俺はさっきよりもすごい表情をしていることだろう。

ケンのギターの最悪を忘れていた。


【ギャンギャギーーギガーッ】


もう…嫌だ…。さっきまでのあれは何だ。体が動かねぇ。頭がぐわんぐわんいってる。耳を塞いでももう間に合わない。


【ベンベン ベベン ベン】


その隣で平然とベースを弾いているムネヨシの耳を疑う。


【ベンベン ギガァーガガン】


あれ?ムネヨシの耳…なんかある…。

あ…耳栓。

さすがムネヨシ…抜け目がない。

もう嫌だとムネヨシにアイコンタクトを図る。しかし、手元を見ているから目があわねぇ。


【べンベンベンベン】

【ギュイーン】


前奏らしきものが終わろうとしている。ムネヨシにアイコンタクトを図り続ける。


【ベンベーンベン】


ムネヨシがちらりとこちらに視線を送る。やっと目が合い、苦を訴える。

だけどムネヨシはそれを無視し、目だけで笑って見せた。

ここからが本番。ここからがメイン。ここからが始まり。

昨日、ここにもう一度誘ったときの目で。


【ギャンッ】


声が響く。音のように滑らかで透きとおる声。

音が響く。世界がその音と自分だけになったように。

激しく楽しく。激しく美しく。激しく透って。激しく惹かれる。

激しく魅せられて。激しく虜にさせられる。

激しくて、そしてかっこいい。

時間がゆっくりとながれて。風もゆっくりとながれて。

見開いた目が閉じず。閉じられず。

薄く笑ったムネヨシを見つめながら。両手にスティックを持ったまま。

両手で耳を塞いだまま。


なんだ…なんだ…これはなんだ…。

違う…違う…何が…?知らない…俺はこれを表現する言葉を知らない…。

ともかくすごいんだ…。ともかくすごすぎるんだ…。

なんか心の底から…心の奥から激しい気持ち…。


両手が耳を離れる。

その心地いい音の方へ目をやる。すごい表情がまた違うすごい表情になる。

『驚き』それを表現するのはこれで十分。

視線の先ではケンが楽しそうに歌っている。歌詞はなんだろう…きっと適当だ。

でも伝わる。確かに伝わる。ケンの『楽しい』が伝わる。ケンの気持ちが耳から一気に入って体中に広がる。

あんな楽しそうに笑うヤツを見たことがない。あんなに楽しい表情を見たことがない。

あんな一生懸命な…

いや…これは違う…


キレイで美しく楽しいのに何かが足りない。

何だろう…もったいない。最高なのにそれがないだけでもったいない。

じゃあなんだ…この違和感…音楽の基本ってこの前、授業で習った気がする。

確か…ハーモニー、メロディそれからリズム…だったかな?

ハーモニー…ベースがギターをカバーしてそれにケンの歌がハモって、最高とまではいけなくてもケンの声がそれをカバーしている。

メロディ…メロディはやはりギターが邪魔をしてしまってはいるが俺が引っかかっているのはそれじゃない。

リズム…そうだ!リズムだ!ベースがリズムを作っているがそんなリズムじゃ足りなさ過ぎる。なんというか…激しさが足りない。パンチが足りない。ぜんぜん足りない。


何が足りない?俺の知っているものだ。俺はそれを知っている。

どれだ…どの音だ…知っている。知った。さっき知った。

感動と共に知ったものだ。


記憶を巡らす。記憶を巡る。

どれだ…どれだどれだどれだどれだどれだどれなんだ…!!!!!

イラだつ。イラだって手を握る。力任せに握り締める。

手?手にはドラムスティック…。

目の前には大小さまざまな太鼓とシンバル。


これだっ!!!

じゃあどの音だ?どの…どの太鼓?どのシンバル?どのリズム?どの組み合わせ?どのタイミング?どのテンポ?どの強さ?どの弱さ?どの…どの…どの…!

落ち着け…落ち着け…落ち着いて考えろ…

落ち着いて感じろ…俺は知っているんだから…

落ち着いて考えろ。落ち着いて思い出せ。落ち着いて見つけろ。

最もふさわしい音を…リズムを…感覚を!


それからは早かった。そこから確信にたどり着くのはすぐだった。

いや…気づけばそこにいた。

自分でも何をどうたたいているのかわからなかった。

ともかくたたきまくってた。でもそんな乱暴な意味じゃなくて。手が自らの意思を持ったかのような。自分の手が音楽を楽しんでいるかのような。


ムネヨシのベースとケンのギターとケンの歌声が耳に入ってくる。

さっきまで苦痛だったケンのギターが不思議とそんなに苦痛でもなくなっている。

むしろ溶け込んでいる。ムネヨシのベースとケンのギターとケンの歌声と俺のドラムが…溶けてひとつの音楽を作っている。それぞれが楽しんでひとつの音楽に集まる。


なんでだろ…なんか今…

スゲェ楽しい…


集中しすぎていて気づかなかったけど…いや…実際そうだったのかもわからないけどムネヨシとケンが驚きながらも喜んで俺を見た気がする。喜んでくれた気がする。

いや…そうだったらいいと思った。

こんなに俺が楽しいと思えた瞬間を共に喜んでもらえたらと思ってしまった。


そして、演奏が終わった。

心臓がばくばくいってる。

一気に現実に引き戻される。

ダメだって…ダメだよ…楽しいと思ったら…ダメだ。


「どうだった?」

フッとムネヨシの声が入ってくる。

「あ…あぁ…」

俺は体中に汗を掻き、汗ばんだ手でドラムスティックを握ったままムネヨシに目をやる。どう答えようか迷っていたらケンが強引に入ってくる。

「ちょーっと!セーラ!ドラムたたけるなら言ってよー!マジでびっくりしたじゃん!!びっくりしてギターずれたじゃんか!」

((いつもだろっ!!))

ムネヨシと心で同調した気がする。

「いや…でも確かに驚いたな。半端ない才能だ。たたき方はまるで素人。しかしはじめて聴く音楽に一瞬で的確な音を見出しリズムを作り出す。どれだけ素晴らしい腕のプロでも最初からこんなに才能を発揮できるヤツはいない。ましてやお前、さっきのでたらめにたたいたドラムがはじめてなんだろ?」

「あ…うん。」

「すんげぇ!まじかぁ!?天才降臨だ!!そんなのありかよ!」

「ありのようだな。」

「うっひょー!すんげぇ興奮してきたぜぇー!!」

「いつもだろ。」

はしゃぐケンに微かに笑って答えるムネヨシ。


いつもの会話が始まる。

だけどここで見てたらだめだ。止まってたらだめだ。

早く…早く戻らないと。

関わっちゃだめだ。帰れなくなってしまう。

俺は誰かと関わっちゃダメなんだ。

嘘ついてでもいいから帰らないと。逃げないと。

ここから逃げないと。逃げるんだ。


口を開いた。

「でも…でも俺は…」

ケンとムネヨシが俺を見る。

俺は地面を見る。

「俺はバンドなんて…」

【キーンコーンカーンコーン】

まただ…

タイムリミット…

チャイムなんて嫌いだ…

時間なんて嫌いだ…

ハッキリしない俺が一番嫌いだ…


「あーあ…もう時間だ…ノッてきたらいつもこうだ。」

「しょうがないさ。たった1時間…もないかな…」

「むーっ!っだね…。でもセーラのおかげでバンド組めたし、少しは先生わかってくれるっしょ!」

「…だといいがな。」

「セーラ!頑張ろうな!」


今だ!今ならまだ間に合う!「無理だ」「バンドなんて組まねぇ」って一言いえばいいだけだ。

でも、口が動かない。体が動かない。ケンの期待に満ちた目を見ているわけでもねぇのに何かが俺をとめる。

誰だ!俺を好きにさせてくれよ!頼むから…逃がしてくれ…


「よーっし!さっさと片して帰ろう!」

「そうだな。」

2人は片付け始める。

俺はまだドラムスティックを握ったまま立ち尽くす。

強く手を握って。

「セーラも手伝ってよー!」

ケンの声で現実に戻る。

「あ…あぁ…」

スティックを尻のポケットに入れてドラムセットを運ぶのを手伝う。

あぁ…ドラムって意外に重いなぁ…

すべての機材を屋上入り口前の踊り場に運び終える。

「うーっし!明日はもっと頑張るぞー!」

「踊り場で叫ぶな。声が響いてバカデカい声が割り増しする。」

「えへへ…ゴメーン!」

「じゃあ今日はもう解散ってことで。」

ムネヨシがまだ呆然とする俺に言う。

「お…あぁ。」

「セーラも一緒に帰ろうぜー!」

「あ…いや…よるとこあるから…」

嘘だ。

「そうなの?じゃあしょうがないね。今日も2人でラビュラビュ帰るか!」

「気持ち悪い。」

嘘つきだ。



「じゃあセーラ気をつけてね!」

俺は何も言わない。ただ微かに頷く。

「じゃあな。」

ムネヨシとケンは階段を降りていく。

俺は呆然としたまま。

2人は見えなくなった。


あぁ…なんてヘタレた嘘つきだろう…

どうしてこんなにもハッキリしないのだろう…


簡単なことだってのに…


俺は頭を冷やそうとまた屋上に出る。

初夏の香りの風が吹き抜ける。

扉を開け放った先に見えた夕日は昨日、背にしていた夕日よりも紅く感じた。


顔が疲れた気がする。

こんなに表情を変えたのはいつぶりだろう。

心が疲れた気がする。

こんなに感情が動いたのはいつぶりだろう。


でもダメだ。

ダメなんだ。

自分に素直になったらいけない。

でもどうしてだろう…

頭から離れないんだ…


ふいにお尻のポケットに違和感を感じる。

「ドラムスティック…返さないと…」

両手にそれぞれドラムスティックを握る。


まぶたを閉じればまだ鮮明に思い出す。

手が自然と動く。目を閉じたまま感じるあの感覚。

聴こえてくる音。

俺のぎこちないドラム。

ムネヨシの完璧なベース。

ケンの下手なギター。

ケンの心を奪う歌声。

離れない感覚。

離れてくれない感覚。

離したくない感覚。

なんて表現すればいいんだろ。

俺の表現力じゃ表現しきれないこの感じ…

なんか上手く表現できないけど…

あの瞬間すげぇゾッとして…ゾクゾクってきて…

なんかこう…生まれて初めて…




―――ビビッときたんだ――





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