第4話 救世主【セイヴァー】
50年前、ゲートからモンスター現れた。
だが、ゲートから出現したのは、モンスターだけではなかったのだ。
その出現したモノが、【魔力】と呼ばれるモノだ。
そして、その魔力を利用して使えるのが【魔法】だ。
【魔力】の出現は、人類に大きな力を与え、それを体内に宿せる者は、モンスターに対抗できる強力な戦力となった。
人々はその魔力を体内に宿せる者達を讃え、救世主セイヴァーと呼ぶようになった。
セイヴァーは、魔力だけではなく、超人的な身体能力も持っている。
なので、セイヴァーの殆どは、都市の外でモンスター相手に活躍し、人類を救おうとしている。
そして、幼馴染である光原 奈々も、セイヴァーである。
_____________________________________
「へぇーそうなんだ。隼人君に、従姉妹がいたんだね。知らなかったよ」
あっぶねぇぇぇぇ!
バレなくて良かったぁ。
「ああ。こっちで預かる事になってさ」
奈々は、従姉妹だと知ると、スライムに近寄った。
「お名前は?」
そして、質問する。
ん? 名前?
「……」
当然、スライムに日本語が分かるわけがない。
ここはまた誤魔化すか?
「わ、悪いな奈々。こいつちょっと精神に障害があってさ。中々言葉の理解とかが出来ないんだ」
無理矢理過ぎにも程があるか?
「あ、そうなの?」
「そうそう」
「そっか。ごめんね。急に話しかけたりして」
バレている様子はない。
奈々が素直に信用してくれてる良い子で良かった。
「じゃあ、隼人君。この子のお名前は?」
「はぁ⁉︎」
「この子は答えられなくても、隼人君が型あれば問題無いでしょ」
結局名前教えなきゃなんかい!
当然、モンスターに名前なんかある訳ない。まぁ、スライムという種類名はあるのだが。
「あー名前は……み、水音みずねだ、水音」
マジでテキトーすぎる。
スライムの移動する時の音が水っぽいから水音って。
「水音ちゃんね。よろしく」
すると奈々は、スライムに手を差し出す。
握手を求めているのだ。
「な、奈々。そいつは……え?」
その時俺は目を疑った。
なんと、スライムは奈々の行動を見様見真似でやろうとしていたのだ。
「ふふっ。よろしく」
そして、2人は握手を交わした。
「どうしたの隼人君? 不思議そうな顔をして」
「いや、なんでも」
モンスターが、人間の行動を真似た? どういう事だ? ありえるのか?
という事は、もしかしたらこいつは、人の言葉を扱えるようになったりもするのか?
それならばコミュニケーションが可能になる。
「って隼人君! 学校は⁉︎」
「え? ああ今日から俺の学校臨時休校らしくてさ。ほら、この都市にモンスターが出ただろ。そのモンスターが討伐されるまで休みなんだとよ」
俺の今の心境は、二つに別れている。
それは、モンスターによってあの惨劇が繰り返される前に討伐しなければならないという【焦り】、臨時休校という事で、追試までの期間が空いたという【安心】である。
「そうなんだ」
「ああ。聞くまでもないと思うが、お前は?」
「うん。あるよ」
当然のように奈々は答える。
彼女の通っている学校は、セイヴァー専用の学校なので、モンスターに対抗できる力を有している。
だから学校側は、日々訓練しているので問題無いだろうとでも思っているのだろう。
「……いいよな魔法とか使えて高い身体能力もあってさ。俺もセイヴァーならよかったな」
もしその力さえあれば、あの時、家族を助けられたかもしれない。
本当にセイヴァーは羨ましい。
「隼人君。だからって夜に外で彷徨いたりしないでね」
「や、やってないだろそんな事」
「少し前まではやってたじゃん。深夜の偵察とか何とか言って」
奈々の言っている事は事実だ。
またモンスターが襲ってくるのかもしれないという恐怖で、この都市に来た数年間は、火炎瓶片手に夜な夜な家の周りを偵察していた。
通報された事もあったかな。
「前の事だろ。今は当然やってない。寧ろそんな事で敏感になってたらまともに生きられないだろ」
「分かってるのならいいんだよ。じゃあ私行くね」
そう言うと、奈々は立ち上がる。
「ああ行ってらっしゃい」
そして俺は、奈々を見送った。
彼女がいなくなり、再び沈黙が訪れる。
「よし」
俺は立ち上がる。
「それじゃあ……水音って呼ぶか。水音、今からお前の事、色々と教えてもらうぞ」
そう言うと、俺は台所に向かい、朝飯を作り始めた。
明日も投稿しますが時間は未定です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます