9月28日


 金曜日。曇りのち晴れ。


 また冷え込んで足首がシクシク痛んだけど、体育の授業に出た。バドミントンより準備体操の方がよっぽど辛かった。


 ガウンは小さく丸めて保管。ツルツル滑るから難渋した。クローゼットの扉を透かしての分身に見張られているようで気持ち悪い。投げ与えられたときの甘いぬくもりがずっと残っているみたいで。いっそ切り刻んで捨てるか。それとも衆人環視の中で突っ返してやるか。あるいは、半年に一度開催されるらしい的な暇つぶしイベントの折に余興として、これを着て踊ってみせようか。素裸の上に羽織り、仮面をかぶって。フィニッシュは回転技と共に衣装を高く放り上げ、落ちてきたところに滑り込んでもぐり、身を縮める。とけかけたゼリーのような亡霊が痙攣している間に暗転。そして、後片づけする人が湿気た絹布を恐る恐る取りのけると、そこには輪郭を失ったあたしの残骸が煮こごりのように冷たく青光りして震えているのだ……。


 面会の予約が入ったと事務室から通知。明後日の日曜、ママが来るらしい。直接対決だ。おばあちゃま……じゃなかった、美鈴おばさまも同席して助け船を出してくれたらいいのにな。

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