第5話 戦力強化

転移をして着いた場所はジュエリーショップだった

目の前には手が金属でできている男とその男に首を掴まれたショタがいた

……え?ショタ?なんでショタ?普通女性じゃない?


カタカタカタカタカタカタ……


ん?なんの音?

そう思い音のする方向を見ると戸比元が鍵盤を果てしないスピードでタイピングしていた


「……何してんの?」

「………………」


カタカタカタカタカタカタ……


無視された……


「できた!」


そう戸比元が行った瞬間空間……いや、空気が刃状に歪みショタを避けながら男に傷を付けていった


「い、いてぇ、な、なんなんだぁ」


歪んでいるのは空気なので見えづらいので、相手にはまった見えてないようだ


「なんだかよくわからねぇがどうやらお前が原因っぽいな……」


……こいつ感がいいな


「とりあえず死ねぇぇぇぇ」


うわ、切りかかってきた、一体戸比元はどうする!?

僕は危なそうになったら助ける!


「……予想通り単純な奴だったね」


そう一言言って男に背を向けた


「……な、なん…だ……いき……ぐる……」


そう言いながら男は倒れた


……酸欠か……なるほどね

どうやら戸比元は空気を歪ませて飛ばしたことによって空気が薄くなった所に誘導したようだ


「帰えるよ〜」

「うん」


転移!


……にしても秋の空気感が凄いな


「……お前いま俺の空気感が凄いって考えなかったか?」

「…………」

「おいなんか言えよ」


秋って感が鋭いよね


*  *  *


アジトに帰ってすぐに戸比元がある提案をした


「ねぇ、コードネーム決めない?」

「おぉ、いいね」


おもしろそう


「なんにする?」

「髪の色の英語読みは?」

「ダサい、というか使うときは女だよ?」


秋がある意味凄い提案をした、戦隊ものじゃないんだぞ?

……よくよく考えたら僕達結構戦隊ものっぽいわ


「じゃあ名前に関連するものにしようよ」

「……それって僕と秋は大丈夫だけど戸比元はどうするの?」

「あ〜……僕だけ苗字にするわ」

「うん、そうして」


次の戸比元の提案はまともだった


「じゃあ僕は六花(りっか)にする」

「へ〜、冷から冬に行ったのか」


六花とは冬の別称である、冬だと味気無いので六花にした


「じゃあ俺は楓(かえで)だな」

「まぁ妥当だね」


秋と言ったらもみじが出てくるが、もみじと楓は殆ど同じものである


「僕は……鈴(りん)で」

「…………あぁ……なるほど」


大分連想したな……苗木から林に行って林を鈴にしたのか


「さ〜て、コードネームも決まったしもうすることないね!」

「あ〜、やっぱり?」

「うん、マジでないよ、犯罪者も出てないし」

「そっか〜」


まぁやることが無いんじゃ仕方ない、スマホでも弄るか


そして二時間後……


「え?なにこれ」

「ん?どうしたの?」


僕はつい声を出してしまった


「これ見て」

「……え?」

「……へぇ、政府はそうすることにしたのか」


見せた内容は政府が能力によって発生した犯罪者を捕まえるための対策が書いてある


その内容は能力を使う犯罪者を倒した個人又は組織に報酬としてお金を与えることだった

ただし報酬は政府が正式に認められた個人又は組織のみらしい


「……でもまさか正式に認められるとはね」


政府はまず最初に認める人物を勝手に制定したらしい

驚くべきことにその中には僕等の隊名とコードネームが書いてあった


「そんなに出動してないよね?」

「うん、その筈だよ」

「じゃあなんで?」

「僕達って現れたらすぐに撃破したよね?」

「うん」

「そうだな」

「その迅速な行動が評価されたんだよ」

「そうなんだ」

「それに発生した事件は四分の一は僕達が解決してるし」


ん?


「のこりの四分の三って?」

「授業中や睡眠中に起きた事件だよ、犯罪は夜中が多いからね」

「へぇ〜、そうだったんだ、じゃあ犯人はどうなってるの?」

「四分の一はリヒリロケってやつに倒されてる、残りは逃げ切ったか複数の個人にやられてる」

「へぇ〜」


そういえばリヒリロケもさっきの政府の発表に載ってたな


「ところでなんで僕達の隊名やコードネームが書いてあるの?」

「あ〜、どうやら政府に犯罪者を倒している人物名、組織だと組織名とコードネームがあるならコードネームが分かる能力があるらしいよ」

「なるほど」

「ちなみにさっき僕が言った犯罪者を倒した割合もそこに書いてあったやつだよ」

「説明ご苦労さま、鈴」

「うん」


にしても報酬か〜、軍資金が入って来るんだよね


「報酬のお金はどうするんだ?」


そう楓が言った


「四分の一のずつ僕達に分配して残りの四分の一は組織の軍資金でいいと思うよ」

「軍資金……殆どは戸比元の装置開発に当てられそうだな」

「それはちょっと思った」


そんな事を話していると最近僕が設置したテーブルから音がした


「ん?なんの音?、ってお金じゃん!?」

「たぶん今まで倒してきた分のお金だね」

「え〜と……75万!?」

「……今まで倒した犯罪者は三人だから一人で25万か」


多いなぁ……、いや、命をかけてるんだから安いのかも


「ん?」


なんかポケットに違和感が……


「あっ、ポケットに25万入ってる」

「え?なんで?」

「あぁ、結成前に倒した分じゃない?」

「あぁ、多分そうだね」


普通に忘れてた


「にしてもお金を稼げるってことはもはや仕事だよね」

「まぁ、そうだな、今まではただの趣味みたいなものだったけどこうなるとただの趣味っていう感覚じゃなくなるな」

「そうだね、一層やる気が出てきた」

「う〜ん、にしてもそのうち本気の対能力者組織も出てきそうだよね」

「確かに、もしかしたら能力者を倒すための人材を育成する学校も出てくるかも」

「おぉ、もし出てきたらそこに入学しよう!」

「いいね、あ〜、将来楽しみだな〜」


いや〜、この先何が起こるか気になるな〜


「あっ、犯罪者が出てきたよ!」

「おっ、じゃあ行くか」

「だね!さ〜て、特別治安維持隊出動!」


*  *  *


そして一年後……


特別治安維持隊はリヒリロケと並んだ2大巨頭と言われる組織になった

所属メンバーは変わらずたったの3名である


そして僕達3人はこれから入学する高校の前に居た


「……ここが新しくできた犯罪を犯す能力者を倒す人材を育てる為の高校、陽彩(ひいろ)高校か……」

「そうだぞ、楽しみだな」

「……もうトップクラスの組織に所属してる僕等が入る必要があるのかは謎だけどね」

「あはは……確かに、まぁ、行くよ」


さ〜て、陽彩高校……何が起こるかな?

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