ヒッチハイクはあらゆる面で便利
何だコレ。
砂漠…と思っていたが。しばらく歩くと
かつて街だったのであろう。
コンクリートの塊が転がっていた。
道路もまだ残っていた。
[…そういえば、音量上げないんですか?]
え?
音量?
よく見るとスマホとかについている
縦長のボタンがついていた。
「こんなんあったんだ…」
「ふぅ。やっと声出せました…」
うわ喋った。
「こんにちは。改めて私がアールです」
「おぉ…」
何か気まずい。
しっかし暑い。選別と言っても人も居ない。
まさかこんな過酷とは。
しばらくすると、後ろから懐かしい音が聞こえた。
車だ。
振り返るとそこにはトゲだらけの火炎放射付きの
いかついトラック…を期待していたが。
ただの軽トラでした。残念。
窓が開いてる。まぁ暑いもんね。
運転していたのは、いかにも大工っぽい格好をした
恐らく30代程の男だった。
大工おじさんは窓から身を乗り出していた。
「おぉ、お前暑くないか?良かったら乗ってけよ!」
あぁいい人そう。
「あ、ありがとうございまーす」
僕は軽トラの助手席に座った。
中は意外とスッキリしていた。ということは、
どこかに拠点があるのだろう。
「あの…おじ…お兄さんはどこに行くんですか?」
「今から俺たちの街に帰るとこだ。お前もついてくか?」
おぉありがたい。
「お願いしまーす」
もちろん選別を忘れちゃいないが。
まぁこの人は生かしておいていいだろう。
そうしてたどり着いたのは木でできた小屋だった。
…街?
「ここから地下に入るんだ。そこに俺たちの街がある」
あぁなるほど。
中は割と普通だった。どうやら電力も通っているようで、
冷蔵庫、扇風機やらが稼働している。
「よし。ちょっと待ってろ」
そう言って大工おじさんは奥へ。
「…アール、あの人どう思う?」
「どうでしょうね。優しすぎて、逆に疑います」
それは僕も少し考えてはいた。普通こんな状況で、
こんなに受け入れてくれるものだろうか。
「よし、おーい!こっちに来い!」
大工おじさんに呼ばれ、僕は小屋の奥へと進んでいく。
「教えておきます。危ない時には私の中の物を」
アールが言った。そういえば中身見てなかった。
大工おじさんが立っていた部屋には地下に続いているらしい扉があった。
開けると、長い階段が続いている。
「さぁ、降りて」
…
僕は階段を降りていく。後ろについてくる大工おじさんと少し距離を取りながら。
僕はアールを確認する。アールも気づいているはず。
コイツはヤバい。
階段を降りると、また小さな部屋。前にはエレベーター。
何故わざわざエレベーターなのか。
「よし…ちょっと待ってろ」
大工おじさんはエレベーターのボタンを押す。
その時、後ろで嫌な音がした。本当に嫌。
振り返るとさっき降りてきた階段に続くドアが閉まってる。閉めた記憶は無い。
おまけに大工おじさんはいつの間にか拳銃を構えている。
やっぱりね。
「はははっ!まんまと引っかかるじゃぁないか!」
まぁ、気づいてはいた。ただどうすることもできない。
できなかった。この30代男性独特の次々と話を進めていく雰囲気から抜け出せなかった。
「さぁ…そのバッグを渡してもらおうか」
あ。ラッキー。
僕はバッグを開ける。そこにはスタンガンが入っていた。
んんー?殺傷能力低くない?
「おい、開ける必要はないはずだ。そのまま渡せ」
やば。
さぁどうするか。このまま渡してアールがどうにかしてくれるとも限らない。そもそも何ができる。
「…嫌だね」
僕は大工ジジイと平行になるように真っ直ぐ立った。
「早く渡せってんだよ!」
僕の足元に撃った。僕が下に目線を下げた途端、大工ジジイが向かってきた。
凄い勢いでタックルされた僕は、床に強く打ち付けられた。その反動でアールも飛んでいった。
「はぁ…何が入ってるんだ?」
楽しんでいるようだった。まずい。非常にまずい。
「おい、触んじゃねぇ。ゴミが」
と言ったのはアールです。もう一度。アールです。
「…!?なんだこれ…?喋った!?」
どんだけビビってんだ。ぶん投げてきた。僕の方に。ただのアホだったこの人。
少しの隙も見逃さず、初めて触ったスタンガンを大工アホジジイの首にぶっ刺す。
「うっ…ちっ…きしょう…」
あれ?動いてる。気絶ぐらいするかなーと思ってたけど。
ちなみに僕の手には拳銃も握られてます。さっき大工アホジジイが驚いた衝撃で砲丸投げの如くぶん投げてた。
僕は容赦なく大工アホジジイの胸を狙って引き金を引いた。
割と反動が凄くて、何歩か後ずさりしたけど、大工クソジジイは無事死亡。
エレベーターのボタンを適当に操作して、なんとか地上に脱出。
「あのクソジジイ…なんであんな奴が生きてんだよ」
と言ったのはアールです。
急にどうしたんだ。
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