ぴいこちゃんは目が見えない。だけど、いつもまっすぐ前を見ている

 11月になると、ぴいこちゃんはごはんの匂いをクンクンすることがありました。

 それまでは、鼻に触れた感触で食べ始めていたので、もしかしたらこの先、鼻の機能の回復も少しは望めるのかもしれません。




 解体工事現場で瓦礫がれきの下から救出された時は、1日か2日の命と思われた仔猫のぴいこちゃん。

 だけど、Oさんの決断とぴいこちゃんの生きようとする力と運、そして緊急手術を執刀した先生や看護師さんのおかげで、こうやって命をつないでくることができました。


 後遺症は残り、痙攣けいれん癲癇てんかんの発作が起きたり、時に一進一退はするものの、ぴいこちゃんはそれを丸ごと受け入れ、今ある感覚や機能をフル回転させて一日一日を大切に生きています。


 ぴいこちゃんは目が開いていても何も見えません。大きな目はいつもまっすぐ前を向いています。

 きっと、その澄んだ瞳には暗闇ではなく、今生きている事、今できる事がきらめいているのでしょう。


 ぴいこちゃんは、ぴいこちゃんらしく、今日もOさん一家の真ん中で暮らしています。


 


 前半の『お話をはじめる前に。まずは、ぴいこちゃんのこと』は、ぴいこちゃんの医療費のためのクラウドファウンディングの記事と、保護主の愛玩動物救命士Oさんのツイッターを参考にさせていただきました。

 ありがとうございました。


 次回からは、後半のフィクションになります。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る